《歩くだけでレベルアップ!~駄神と一緒に異世界旅行~》第41歩目 はじめての衝撃!雇用契約最終日

前回までのあらすじ

スカイさんはタイプだけどダメなやつ。

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□□□□ ~旅立ちの準備~ □□□□

本日はラズリさんとの契約最終日。

明日俺とアテナは旅立つ予定だ。

そのための準備を午前中にあらかた済ませていた。

準備と言っても、食材の買い出しと調理、宿泊用の準備、それと馬車の手配だ。

まず食材に関しては、約3ヶ月分を用意した。

収納には、アイテムボックスと魔道店で購した制限あり50種類収納可能のマジックバックを利用した。

アイテムボックスはレベルによって収納數が異なる。

だから、Lv.3にすることで60種類収納可能になった。

マジックバックは俺とアテナの2人分購した。

だから、使い分けることで実質は100種類収納可能だ。

アイテムボックスとマジックバックの違いは、収納したものの保存狀態が異なる點だ。

アイテムボックスは、亜空間の中の時間が止まっているらしく、保存した時點の狀態で保存される。

収納種類は無制限。主に食材関連はこちらに収納している。

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マジックバックは、亜空間の中の時間が進行しているので、腐るようなの保存には向かない。

主に調理や宿泊セット、旅途中での素材を収納する予定だ。

あとアテナのお菓子。お菓子も腐るものもあるが、問答無用でこちらだ

アイテムボックスとマジックバックの併用。

これはAランク昇格試験時のラズリさんを參考にしている。

休憩時に用に使いこなしているのを見た時は心したものだ。

調理は簡易的なだ。マジックバックに収納している。

ラズリさん並の腕前はないが、一応簡単な料理はできる。

4年間一人暮らしをしていたのだから當然だ。得意料理はTKGたまごかけご飯。

宿泊セットは布や簡単なテントなど。マジックバッグに収納。

こちらに関しては、準備する必要はないと説明されている。

だからしだけお言葉に甘えた。

そして最後に馬車の手配。

今この町は空前の旅ラッシュを迎えている。それもそのはずだ。

町の収源の一つであるダンジョンが、2つとも機能を停止しているのだから。

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ダンジョンは1度クリアされてしまうとその質上、1年間は機能が停止してしまう。

冒険者の主な収源はダンジョンだ。それが全て停止中.....

結果、冒険者は新たなダンジョンを求めて旅に出ることになる。

そこに目をつけたのが商人だ。

町から町への輸送は主に馬車となっていて、輸送には護衛がいる。

そして冒険者の、この空前の旅ラッシュ。

普段よりも格安で護衛が雇えるという訳だ。

このことを冒険者の夫を持っていたスカイさんに教わった。

だから俺もそれを利用することにした。

雇い主からは宿泊の用意だけしてくれる條件での契約だ。

これで旅に必要な全ての準備が整った。

あとはラズリさんと話すだけだ。

俺はラズリさんと待ち合わせの場所へと向かうことにした。

□□□□ ~ラズリさんの決斷~ □□□□

ラズリさんとの待ち合わせ場所はよく利用しているカフェだ。

午前中はそれぞれ別行だった。

俺は旅の準備。ラズリさんは雇用契約解除の事務処理だ。

店にると、すぐラズリさんが見つかった。

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ラズリさんの容姿は群を抜いてきれいだ。目立つ。目立つ。

「お待たせしました。待ちました?」

「いえ。私もいま來たばかりです」

いま來たばかり?それにしては、積まれている皿の數が.....

み、見なかったことにしよう。

「アテナさんはどうしたんですか?」

「スカイさんに見てもらっています。二人きりで話したいので」

「ふ、二人きりで!?よ、よろしくお願いします///」

「は、はい」

最近分かったことがある。

ラズリさんはアテナがいると積極的なのだが、二人きりになると急にらしくなる。普段とのギャップが可らしい。

だから大事な話をするなら、アテナはいないほうがいい。

スカイさんへの最後のお願いというのは、アテナの面倒を見てもらうことだった。

アテナはアテナで、スカイさんに甘えていたし問題はないだろう。

「明日、旅に出るつもりです」

「.....やはりですか。薄々予想はしていました」

「今までお世話になりました。ありがとうございます」

「・・・」

冒険者がこの町から続々と旅立っているのは、ギルド職員のラズリさんなら知らない訳はない。

俺がいつか旅に出ることは既にわかっていたことだろう。

「ラズリさんには様々なことを教わりました。

間違いなく最高の雇用契約者パートナーでした。

それにアテナのことも.....本當にありがとうございます」

「・・・」

ラズリさんは俯いたままだ。俺は構わず話し続ける。

「またいつか立ち寄らせてもらうこともあるかと思います。

その時はまたお世話になります。

あと、ラズリさんの婚活をながら応援させていただきます」

「・・・」

とりあえず俺から伝えたいことは伝えた。

後はラズリさんが口を開くのを待つだけだ。

相変わらずラズリさんは苦悩に満ちた顔で俯いたままだ。

ただ.....人というのは悩んだ顔をしていてもきれいなものだ。

見ていてるだけでもドキドキしてしまう。

しばらくすると、ラズリさんが口を開いた。

「こ、この町で私と一緒に暮らすというのは無理ですか?」

「すいません」

つまり結婚してくれってことだよな?諦めたんじゃないのか?

しつこいとは思うが、こればっかりは仕方がない。

ラズリさん以外のギルド職員も同様だからだ。

冒険者の収源はダンジョンだ。

そのダンジョンが機能停止をすれば、冒険者は自然といなくなる。

それはつまり、町の防衛力も損なわれるということだ。

それを防ぐために自警団などがあるが、それらのほとんどが元冒険者だ

つまりこの地で暮らすために冒険者を辭めた人々だ。

冒険者が冒険者を辭める最たる理由が、その土地の人間との結婚がほとんどらしい。

當たり前だ。結婚するぐらいなんだから一緒に暮らしたい。

つまりラズリさん達ギルド職員の婚活は、この町の自衛に一役買っている側面もある。

必死になるのも仕方がないのかもしれない。

でも俺には目的がある。到底れられない。

「で、では、私がアユムさんやアテナさんの面倒を全部みます」

「.....え?働かなくていいってことですか?」

「はい。私に任せてください」

「條件はラズリさんとの結婚ですか?」

「もちろん、それが理想です。ですが.....

どうしても嫌と言うなら、一緒にいてくれるだけでもいいです」

す、すごいな。ヒモ生活でもOKって.....

しかも結婚しなくてもいいんだろ?

いつかは俺を落としてみせるって自信の表れか?

でも答えは決まっている。

「すいません。ありがたい申し出ではありますが.....」

「.....ニケさんですか?」

「その通りです」

「アユムさんとアテナさんは異世界の方ですよね?

旅に出ることがどうしてニケさんに會えるのかわかりません」

ぐっ!?さすがラズリさん。賢いのも考えものだ。

ただ.....俺達の素を教えるつもりは全くない。

特にアテナの本當の素を知られるのは危険な気がする。

アテナはバカだから神だと信じられていないが、正真正銘神だ

その本神と知り合い.....それだけでもやばい気がする。

この世界にも宗教なんてものはきっとあるだろう。

宗教は時に危険な側面を持つ。

平和ボケしている日本でさえ、宗教で々あったぐらいだ。

まして異世界で、さらには象徴たる神。.....絶対やばい。

ラズリさんのを守るためにも教えないほうがいいだろう。

第一、教えたところで信じてもらえるかどうか。.....いや、ラズリさんなら或は.....

「・・・」

「はぁ.....本當は知りたいのですが。すいません。

アユムさんにはアユムさんの事があるんですよね?」

「助かります」

ラズリさんは賢いだけではなく空気も読める。本當に助かる。

「それにもし俺がラズリさんの提案をれる気があるなら、俺はラズリさんとの仲を真剣に考えますよ。と言っても、ニケさん一筋なのは変わらないので、結局ラズリさんの気持ちをれることはできませんが.....すいません。でも、それぐらいラズリさんのことは好きです」

「噓.....ではないんですよね?」

「もちろんです。ラズリさんと一緒にいると楽しいですから」

「嬉しいです.....まだ私にもチャンスがあるんですね」

「話聞いてました!?ニケさん一筋って言いましたよね!?」

どこをどう聞いたらラズリさんにチャンスがあるってなるの!?

「別に私は何番でもいいんです。

アユムさんと一緒にいられるだけでも幸せですから」

「はぁ.....?何番?どういうことですか?」

「アユムさんは異世界の方ですから知らないのも仕方がないですね。

この世界は重婚が認められています。

奧さんをたくさん娶っても、その逆でも問題ありません。

とは言っても、経済的理由から大はそうなりませんが」

つまり経済力さえあれば、一夫多妻でも、一妻多夫でもいいってことになる。

この世界はも積極的に冒険者になっている。ラズリさんがいい例だ

そうなると人口の減は凄まじいだろう。

そんな世界で一夫一婦制では、人口は減の一途を辿るだけだ。

だから一夫多妻制や一妻多夫制になるのはある意味自然の流れだ。

まぁ、最終的には経済力次第になるわけだが.....

結局、世の中は金。異世界も地球も世知辛い。

「アユムさん。私決めました!私もアユムさんに付いていきます!」

□□□□ ~衝撃の事実~ □□□□

ラズリさんが俺に付いて來るらしい。

スカイさんの予想通りで、俺も予想していた。

「せっかくアユムさんが私を好きって言ってくれたんです。

こんな大チャンス逃すことはできません!」

「・・・」

「そうなると私も旅支度をしないといけませんよね.....」

「・・・」

「これから々準備したいので付き合ってもらっていいですか?」

「・・・」

「アユムさん?」

ラズリさんは既に行く気満々らしい。

確かに付いて來る気なら準備は必要だ。協力だってする。

でも.....

「本當にいいんですか?」

「.....え?付いていっちゃダメですか?」

「別に構いませんよ。頼りになりますし、アテナも喜ぶでしょう」

「なら、問題ないですよね?」

「・・・」

敢えて意識しないようにしているのだろうか?

やはり確認しないとダメだろう。

「本當にいいんですか?

この町を、いや、スカイさんと別れることになっても」

「・・・」

「スカイさんのことが心配なんですよね?」

「そ、それはそうですが、私はアユムさんと一緒に.....」

ラズリさんは母親想いだ。

それは普段の生活を見ていればよくわかる。

だからこそ俺もあることに気付けた。

昨夜スカイさんにそのことを話したら驚かれたが、納得もしてくれた。

母親であるスカイさんが納得するぐらいだから間違ってはいないはずだ

「嬉しいんですが、ラズリさんのその気持ちって、

がスカイさんからきてないですか?」

「え?どういうことですか?」

「俺の見解なんですが、ラズリさんが段階をすっ飛ばしていきなり求婚したりするのも、卑下してでも自分を売り込んだりするのも、全てスカイさんを安心させるためじゃないんですか?」

ラズリさんはまだ18歳だ。

異世界ではどうなのかは知らないが、まだそんなに急ぐ歳でもない。

なのにこの普通ではない必死さ。

ずっと気になっていた。

「娘が所帯持ちになれば親としては安心できるでしょう。子供が産まれれば、孫ができるわけですからスカイさんは喜ぶでしょう。さらには結婚すればスカイさんと一緒に暮らすこともできます。そうなればラズリさんも安心できる」

打算的と言えば、打算的だ。

でもラズリさんは、きっと打算でいていたわけではない。

心からスカイさんを心配して無意識下にそういていたんだと思う。

「だから、ラズリさんの行全てがスカイさんのためなような気がしてならないんです」

「そ、そんなことはありません!私は本気でアユムさんを.....」

「ありがとうございます。

ラズリさんが好意を持ってくれているのはわかります。

だからこそ俺はわからないんです」

「な、なんですか?」

俺がずっとじていた違和

俺ならきっとこうすることが、ラズリさんにはなかった。

「ラズリさんから一度も気持ちを伝えてもらったことがないんです」

「.....え?」

「今まで一度も好きだと言われたことがないんです」

旦那になってくれ。私を貰ってくれ。彼にしてくれ。

々なことを言われたが、一度も好きだとは言われなかった。

ラズリさんからの好意はびんびんじる。

俺のことを好きなことは好きなんだろう。

ただ.....スカイさんへの想いに勝るかと言えば、恐らくNOだ。

だからこそちゃんと言わないといけない。

「曖昧な気持ちで付いてきて、もしスカイさんのになにかあった時、ラズリさんはきっと後悔しますよ?それでもいいんですか?」

ラズリさんにはよく考えてほしい。

よく考えた上で、それでも付いて來る、と言うなられるつもりだ

「一晩よく考えてみてください」

「.....わかりました。最後に一ついいですか?」

「なんですか?」

「わ、私のことが好きなのは本當ですか?」

「は、はい」

「うれしい.....」

照れながらも嬉しそうに微笑むその姿に心をぬかれそうになる。

本當にかわいい。

ちゃんとしてれば本當にきれいな人なんだよな~。ぺったんこだけど

その後、ラズリさんと仲良く手を繋ぎ、デートを楽しみながらも俺は思う。

重婚ありなのか.....ニケさんはどう思うんだろう?

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後書き

次回、甘えるラズリさん!

次話にて2.5章の本編が終了となります。

また第1部の本編も終了となります。

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今日のひとこま side-ラピスラズリ-

「好きです。好きです!.....う、う~ん。難しいな~」

「ラズリさん、なにしてるんですか?」

「ア、アユムさん!?」

「えっと?お邪魔でした?」

「い、いえ。あ、あの.....」

「なんです?」

「す、す.....(む、無理!恥ずかしくて言えない!)」

「す?」

「お、お酢が切れてたんです!一緒に買いにいきませんか?」

「.....ええ、構いませんよ」

はぁ.....ベタな展開しちゃったな~。ちゃんと言わないと

「アユムさんは私のこと、す、好きなんですよね?」

「ええ。好きですよ」

「あぅ.....///は、恥ずかしくないんですか?」

「恥ずかしいに決まってるじゃないですか」

「じ、じゃあ、なんでそんなにハッキリと言えるんですか?」

「まぁ俺はもう26ですし、伝えたいことはちゃんと口にしないと伝わらないと知ってますから」

伝えたいことは口にしないと伝わらない.....アユムさんは大人だな~

「アユムさん!」

「な、なんです!?」

「す、す.....」

「別に無理して言う必要ないと思いますよ?」

「.....え?」

「言いたいと思った時に自然と出るものらしいです。

俺の世界の娯楽テレビがそんなことを言ってました」

言いたいと思った時に自然と出る.....なんか、ロマンチックかも

「じゃあ、もう一度言えますか?」

「なにをです?」

「そ、その。私のことをす、好きって.....」

「もちろん。ラズリさんのことが好きです」

「嬉しいです!じゃあ、もう私は彼ですね!」

「それはごめんなさい」

「な~んでですか~!私のことを好きなくせに~!」

「あんたも本當にしつこいな!」

重婚ありなんだからアユムさんも折れればいいのに!

アユムさんは本當に頑固者。

でも、そんなアユムさんが私は好きです。

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