《歩くだけでレベルアップ!~駄神と一緒に異世界旅行~》第76歩目 はじめての対等!妖狐と二人っきり⑦

前回までのあらすじ

斬撃も撃も理じゃないよ?

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□□□□ ~苦戦!~ □□□□

再び妖狐との模擬戦が始まった。

気を付けなければならないのは、斬撃符と撃符は防ぐ手段がないということだ。

つまり避ける必要が出てくる。

どちらの符もダメージじたいは大したことないものだったが、それはあくまでも妖狐が模擬戦だからと加減してくれたものだからだ。

妖狐の符はLv.2だ。

を持たない俺では、本來の強さを出されたら何発か食らうだけでお陀仏となる。

俺の命は妖狐のご機嫌次第ということだ。と言っても、奴隷は主人を殺せないので実際は安全なのだが・・・。

.....掌で踴らされているこのじ。案外悪くない!

俺はお姉さんがとても好きだ。

と言っても、ただ年齢が上ならなんでもいいというものではない。

つまり年上が好きなのではなく、お姉さん屬がたまらなく好きだということだ。

だから、デキるお姉さんの雰囲気を纏っているニケさんは理想のタイプになる。

また、ニケさんとは別のお姉さん屬を醸し出しているスカイさんもタイプだ。

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そして・・・

まるで小悪魔のように微笑を浮かべつつ、俺のことを簡単に手玉に取る妖狐もまたゾクゾクくる。

「では、いくのじゃ」

妖狐の合図とともに戦闘が再開される。

投げつけられた符は全部で3枚。

叩き落とすことができない以上は避けるしかない。

向かってきた符を左にステップして軽やかに避ける。

───ボンッ!

───ボンッ!

───ボンッ!

俺に當たらなかった符が後方で弾ける音がした。

全部撃符を使用してくるあたり、妖狐のいやらしさをじる。

.....この遠慮のなさ!たまらんな!

しかし、そんな悠長に余韻に浸っている暇はなかった。

俺が避けるのを見ると同時に、妖狐が新たに符を1枚ずつ計3枚投げつけてくる。

今度はしタイミングをずらしての投符だ。

最初に向かってきた符を先ほどと同じように左にステップして避ける。

───ボンッ!

次に向かってくる符も、最後に向かってきた符も同様に避け続ける。

───ボンッ!

───ボンッ!

いずれもそこそこのスピードで迫ってはくるが、そこはLv.3。

素早いのこなしで苦もなく避けることができた。

そんなやり取りがしばらく続くと、

「.....ふむ。やはり當たらぬか。では今度はし趣向を変えてみるかの」

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妖狐はそう言って、1枚の符を投げつけてきた。

當然それを橫にステップして避ける。

・・・。

「???」

意味がわからない。

趣向を変えると言ったのに、先ほどまでと何も変わらない。

あの妖狐が何もしてこないとは思えない。

俺が困していると・・・

───ボンッ!

「いってえええええええええええええええ!?!?!?!?!?」

背中に激痛が走った。

音からすると撃符をけたようだ。

.....はあ!?避けたはずなのになぜだ!?

とりあえずヒールで痛みを回復しつつ、一旦落ち著くことにする。

慌てふためく訳にはいかない。これ以上、妖狐にけない主人の姿を見せたくはない。

當の妖狐も、俺が回復し終えるのを待っている。

.....妖狐に遊ばれている!?本當に魔のお狐様だな!

回復が終わるのと同時に、再び妖狐の攻撃が始まる。

今度はじっくり観察する。

符じたいは普通に投げている。特になんの変鉄もないようだ。

當然軽々とそれを避ける。符が後方に飛んでいくのを確認した。

・・・。

「???」

意味がわからない。

ただ先ほどと違う點を挙げるとするならば・・・

妖狐が指揮者の如く手を忙しなくかしている。

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まるで何かを作しているかのようだ。.....え?

「.....!ま、まさか!?」

「.....ふむ。気付かれたか。.....でももう遅いのじゃ」

振り向くとすぐ目の前に符が迫ってきていた。

妖狐の慈悲のない言葉通りだった。

そして・・・

───ボンッ!

「ぐううううううううううううううう!」

加減してくれているとは言え、痛いものは痛い。

ちょっと泣きそうになる。

くぅぅ。。。なんでこんな痛い思いをしないといけないんだ?

これも全て、耐を教えてくれなかったアテナのせいだ!後で頬をつねってやる!

「.....まさか投げた符をれるとは思わなかったよ」

「これも一種の妖力なのじゃ。魔力を妖力に変換することで自在にることが可能となっておる」

どこの○弾だよ!?というツッコミは置いとくとして、これはかなり厄介だ。

今までは避ければそれでよかった。

それだけで符は勝手に消滅していたのだから。

だが今後は追尾型になる訳だ。

符を処理をしない限り、ずっと付きまとわれることになる。

ただ.....どのように符を処理すればいいのかが全くわからない。

俺が絶に浸っていたら・・・

「どうやら現狀を理解できたようだの。だが妾の力はこんなものではない。さぁ続きをするのじゃ」

妖狐からさらに小悪魔的な提案をされた。

.....もうやめていいですかね?かなりいっぱいいっぱいなんですが・・・

□□□□ ~大苦戦!~ □□□□

追尾型の符を避け続けること數分。

だいぶが慣れてきた。最小限のきだけで避けることが可能となった。

今は俺の回りを縦橫無盡に飛び回る6本の符を避けているところだ。

符がこれ以上増えると避けきれないのだが、どうやら無理っぽい。

もしかしたら、れる符の數は尾の數に比例するのかもしれない。

手だけではなく、尾も忙しそうにぶんぶんと振られている。

ただ尾が振られていると言っても、なにも嬉しい訳ではないのだろう。

事実、妖狐もあまり余裕はなさそうだ。いささか厳しい表になっている。それでもしいけど。

「.....むぅ。こんなにも早く順応されるとは思ってもみなかったのじゃ。なんか悔しいのじゃ」

「しゃ、、ちくの、、てき、、おう、、りょくを、、なめて、、もらって、、は、、こま、、る」

追尾する6本の符を避けながら話すのはとても困難だ。

でも裏を返せば、話せるだけの余裕がでてきたってことにもなる。

正直、撃による痛みは怖い。

大したことがないと分かっていても、痛みがあると思うだけでも構えてしまう。

ただ・・・それも當たらなければどうということもない。

痛みによる恐怖心で始めはなかなか思うようにけなかったが、しずつ慣れてきた。

今ではさながら闘牛士ばりに、縦橫無盡に飛び回る6本の符をひらひらとわし続けている。

アモーレ!.....さすがに違うか。

・・・。

しかし、避け続けていても意味がないのだ。本的な解決にはならない。

どうにかして符を処理しないと、妖狐に力を示すことすらできない。

俺が苦悩していると、妖狐が新たなきをし出した。

「.....ふぅ。案外この作も疲れるものなのじゃ。だから終わりにするとしようかの」

「どう、、いう、、こと、、だ?」

「こういうことじゃ。意識をしっかり保つのじゃぞ?」

妖狐はそう言うと、

───すかっ

「「・・・」」

多分、指パッチンをしたかったんだと思う。

そんな仕草をしていたから間違いない。ただ鳴らなかっただけだ。

.....いちいちかわいいな!もう!俺を萌え殺す策略か!?

その後、何度指パッチンするも音が鳴らない。

妖狐が何をしてくるのか不安だが、それよりも泣きそうな表をしているのでコツを教えてあげることにした。

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・中指を軽く曲げる

・親指を、中指の第1間接の上のあたりに付ける

・薬指を親指の付けに付ける

・親指と中指をこすり、中指は親指の付けに振り下ろす

・この時、薬指はばしておく。そうしないとうまく鳴らないので注意しよう。

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どうして俺がこんなことを知っているのか。

それはしでも凡人から卻するべく日夜練習していたからだ。

理由はできたらなんとなくカッコよさそうだから。ただマスターしたはいいものの、結果は當然・・・。

早速妖狐がアドバイス通り練習を始める。

飛び回る符が邪魔でゆっくりとは見れないが、それでもほのぼのとする景だ。

そしてついに・・・

───ぱちんっ!

「やったあああああ!できたのじゃあああああ!」

それはもう嬉しそうに喜んでいる。

指パッチンもいい音だった。もう免許皆伝を授けてもいいぐらいだろう。

俺は、既にだけど妖狐の長したその姿を見て、今まさに慨に耽けろうとしたその矢先・・・

───ボンッ!

───ボンッ!

───ボンッ!

───ボンッ!

───ボンッ!

───ボンッ!

「!?」

のどこにも一切れていないはずの撃符が怒濤の6連発を引き起こした。

「.....ぐふっ。.....痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!」

1発じたいの威力はれた時のに比べれば弱冠低いものの、それでも怒濤の6連発だ。

1発1発が発するかのように発していき、最終的にはれた時以上の威力を誇っている。

を削られるような激痛が全を襲った。

食い縛らないと意識が飛んでしまいそうになる。

妖狐の為にと指パッチンのコツを教えはしたが、まさか自分で自分の首を締める事態になるとは・・・。

自業自得もいいところだ。

「痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!」

「うむ。それは痛かろうな。妾の必殺技だしの」

確かに必殺技だと自慢するだけのことはある。

手加減されているとは言え、今の6連発で1500ほどのダメージを負っている。

これが実戦で妖狐が本気だったとしたら・・・背筋が凍る思いだ。

こ、これが元危険度『中』の実力・・・。

これで『中』とかマジかよ・・・。この世界の強さの基準おかしくないか!?

・・・。

とりあえずヒールをかけながら、れてもいないのにいきなり符が発した経緯を尋ねた。

「先ほども言ったであろう?妖力に変換することで自在にれるとな。その応用なのじゃ」

「お、応用?どういうことだ?」

「妾と符の間には目に見えぬ妖力の糸みたいなものが繋がっておる。例えるならり人形みたいなものじゃ。

その糸に妖力を流し込んで自在にっておる。これが先ほどまでのカラクリとなる」

「.....なるほど。符を自在にる原因はそれでよくわかった。でも発したのはなんでだ?」

「簡単なことじゃ。.....風船で考えればわかりやすいかの?

糸を通して妖力となる空気を注ぎこんでおるのだが、一定以上の空気をずっと注ぎ込み続ければ・・・」

「.....風船は発するな」

「その通りなのじゃ。要は時限弾みたいなものじゃな。

時限弾とし違うところは、妾が自在に発させることができるところぐらいかの?」

.....任意で発可能な時限弾とか兇悪なのもいいところだろ!妖力萬能説きたんじゃね、これ?

ようやく避けることに慣れた矢先にこの事実。

完全に妖狐の掌の上で踴らされている。

これが過酷な奴隷生活を必死に生き抜いてきた者の戦闘経験値というものだろうか。

俺が妖狐との圧倒的な経験の差に打ちひしがれていたら・・・

「でも安心せい。これで妾の手札は全部見せたのじゃ」

「.....そ、そうか」

「主、待たせたの。これからが本番なのじゃ。主も攻撃してきてよいぞ」

妖狐の言う通り、これからが模擬戦の本番である。

今までは妖狐の希で、俺はずっとになっている約束だった。

だからこそ戦闘中にも係わらず、悠長に回復できたり、のんびり話せていたのだ。

ではなぜ妖狐がそんな希を出してきたのか・・・それは単純な理由だ。

フェアじゃない。

ただそれだけだ。

俺は妖狐の駆使する符を全く知らない上に、攻撃魔法の類いは使用止のハンデも背負っている。

強さに憧れを持つ妖狐だ。そこは正々堂々と戦いたいのだろう。

さらに付け加えるなら対等に見てほしいとも言っていた。フェアな條件はまさに対等の証だろう。

甘いとは思ったが、でも強さに憧れを持つ妖狐らしいとも思った。

事実妖狐の希れず、ぶっつけ本番をしていたら、俺はなすすべもなく敗北していただろう。

だからこそ、自分の手のを全てさらけ出した上で模擬戦をしたい、との希れた。

「では早速本番といこうかの。妾も全力で主を倒すつもりでいくので覚悟するがよい!」

妖狐は妖力を駆使することで変幻自在に符をり、しかも好きなタイミングで発も可能。

対するこちらは攻撃魔法は止な上に、符に対抗できる耐は一切なし。

しかも地のステータスは妖狐よりも低い。更には符にどう対処すべきかも全く見當がついていない。

.....絶絶命とはこういうことを言うのか・・・。

”大妖怪”妖狐が俺の前に立ちはだかる。

模擬戦の本番は、いま始まったばかりだ。

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後書き

次回、経験の差!

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今日のひとこま

~そもそも模擬戦ってできるの?~

時は妖狐のステータスを確認してすぐのこと。

「模擬戦をするのはいいんだが、そもそも妖狐は俺に攻撃できるのか?」

「『主人を殺めるな』の命令があるから、普通危害は加えられないのじゃ」

「やっぱり。じゃあ模擬戦できなくね?」

「人が作り出したものなど、決まって抜けがあるものなのじゃ。それを使えばよい」

かわいい顔してとんでもないことを言ってるな。

まぁ、法の抜けなんて、日本でも普通にあるし當然か。

「どうすればいいんだ?」

「妾に命令すれば良いのじゃ。攻撃をしてもよい、とな」

「.....え?そんなことでいいの?」

「うむ。これで命令された者の最小限度の力を出すことが可能になるのじゃ」

「最小限度?」

「うむ。妾なら符はLv.2ではあるが、それがLv.1となる。主ならLv.3がLv.1となるのじゃ」

「へ~。うまいことできてんだな。ただ.....それでも主人を殺せそうではあるけど・・・」

「主も魔法が使えるならわかるであろう。Lv.1でも強制的に限界まで力を落とされるのじゃ」

あ~、なるほど。

俺の初級火魔法を、生活魔法の點火レベルにまで落とすじの調整が強制的にるのか。

「だから殺すことは不可能なのじゃ。.....安心したか?なら安心して妾にボコられるがよい!」

「.....誰が、誰をボコるって?その言葉、そっくりそのまま妖狐に返すよ」

「.....ほう?妾はこう見えても結構強いのじゃぞ?後悔しても知らぬぞ?」

「なにを今更。もう妖狐のステータスは見たからな。恐るるに足らないさ!」

「.....ふん(笑)。その傲慢な自信が、絵に描いた餅にならなければよいがの」

「ねぇ!?今、鼻で笑った!?鼻で笑ったよな!?」

「笑いたくもなろう。主の判斷は機上の空論でしかなかろう?」

「どういう意味だ?」

「百聞は一見に如かず!妾の実力をとくと見るがよい!參る!」

こうして妖狐と模擬戦を開始するのだが、ひどく後悔することになる

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