《歩くだけでレベルアップ!~駄神と一緒に異世界旅行~》第77歩目 はじめての兆し!妖狐と二人っきり⑧

前回までのあらすじ

苦戦も苦戦、大苦戦!

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世界観の世界編!に一部追記をしました。

追記箇所は、『種族紹介』・『奴隷契約』・『周辺地図』・『世界の倫理観』となります。

ご興味をお持ちの方はぜひ覗いて見てください。

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□□□□ ~妖狐の描くシナリオ~ □□□□

ついに模擬戦の本番が始まった。

早速妖狐は6連撃符を投げつけてくる。

初っぱなから俺を倒す気満々でいるらしい。おぉ、怖っ!

対する俺は大きく間合いを取って避ける。

こういう何かを避ける作の場合、隙を作らないようにする為、最小限度のきで避けるのが一般的だ。

ただし今回の場合、それをやってしまうと撃符に被弾してしまう恐れがある。

妖狐の撃符は任意で発させることが可能だ。だから被弾を避ける為にも間合いは大きく取る必要がある。

しかし間合いを大きく取ることで、どうしても避けることだけで一杯になってしまう。

反撃する余裕が全くない。これこそ妖狐の目論見通りな気がしてならないのは気のせいだろうか。

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「どうしたのじゃ?逃げるだけでは何も変わらぬぞ?時間がなくなってしまっても知らぬからな」

「・・・」

妖狐の言う通り、避けるだけでは狀況は何も変わらない。

しかも妖狐がでいられる時間は殘り15分となっている。

このままではタイムオーバーを迎えてしまう可能が高い。

そうなると引き分け。いや、実質なにも手出しできなかった俺の負けになるだろう。

気ばかり焦るが、符に対する対抗策が全く浮かばない。

.....いっそのこと、痛さを我慢して特攻するか?

日本人らしい、策が思い付かない時の特攻選択。

今も昔も、どうして日本人は策が思い付かないと特攻を考えてしまうのだろうか・・・。

しかしそれ以上の策も思い付かないので、結局そうすることに決めた。

『死中に活を求める』の例え通り、僅かな時間の中で勝利への條件を模索する為には必要なことだ。

・・・。

そう思うことにした。

そう思わないと、痛みに対する恐怖心に打ち勝てない。

幸い大きく間合いを取るようになった為、発符1つ1つの間隔が広くなっている。

これなら2~3個被弾する覚悟で特攻すれば、妖狐の所まで一気に詰め寄れる可能がある。

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俺にはLv.3がある。

しの間、時間さえ稼げれば、妖狐との距離を詰めるのはなんら問題はない。

そして近接戦にさえ持ち込めれば、妖狐も戦闘スタイルを変えざるを得なくなるだろう。

・・・。

作戦は決まった。後は行あるのみ。

虎視眈々と特攻するタイミングを図る。

チャンスは恐らくこの1度のみ。妖狐相手に同じ作戦が2度通じることはないだろう。

そして・・・

俺は妖狐に向かって走り出した。

───ボンッ!

───ボンッ!

「ぐうっ!」

被弾した撃符の痛みを、を噛み締めて我慢する。

およそ300後半のダメージだ。

力:5555【↓380】

符の數が減った為、撃符の包囲網に綻びが生じた。

その一瞬のチャンスを利用して包囲網から出する。後は妖狐に詰め寄るだけだ。

「むっ!?」

無茶な行に妖狐がし驚いている。

俺の後方では発音が聞こえ、目の前の妖狐は再び6枚の符を投げようと準備している。

後方の符では守りきれないと判斷して、符を新調するつもりなのだろう。

この切り替えの素早さ・・・さすが妖狐と言わざるを得ない。練の猛者の風格がある。

だがしかし・・・

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実力が均衡する戦闘に於いて、その僅かな時間は命取りとなる。

妖狐が新たに符を投げる前に一気に距離を詰めることに功した。

【妖狐との距離わずか3m】

目の前の結界さえ破れば俺の勝ちだ。

全力で走りながら、右拳に力を溜めていく。

【妖狐との距離わずか2m】

妖狐が慌てふためいている。その姿もしい。

力を溜めた右拳を全力で振り抜くために大きく振りかぶる。

【妖狐との距離わずか1m】

しで右拳を叩き込める距離だ。

これでようやく、この恐ろしい模擬戦ともおさらばだ。

そしてついに・・・

俺の間合いにることができた。

「もらったあああああ!」

.....この一撃で全てが終わりだ!

振りかぶった右拳をまさに振り抜こうとしたその瞬間、

「.....実に淺はかじゃな」

妖狐がぽつりっと何かを呟いた。

なんて言ったのかは分からなかったが、ただ一瞬だけ妖狐の口角がまるで悪魔の嘲りかの如く吊り上がったように見えた。背筋が凍る。

.....もしかしたら、この展開すらも妖狐が周到に用意した罠だったとしたら?

そう考えると同時に、俺のは無意識のに妖狐から距離を取ろうとしていた。

戦闘経験がないとは言え、ボス猿戦など、それなりの危機には遭遇してきた。

俺の中の危機管理能力が、【このままではマズい。離れないと】と、無意識のに働いたのだろう。

そしてその行は正しかった。

俺が妖狐から離れる間際、足元から発が起こった。

「!?」

「むむっ。それを避けるとは見事」

間一髪直撃には巻き込まれずに済んだが、それでも多発には被弾している。

力:5355【↓200】

今のは所謂、地雷と言うやつだろう。

妖狐は自を守るために、結界だけではなく、あらかじめ地面に撃符を配置して地雷まで展開していたのだ。

用意周到.....一手先二手先も考えての行に最早帽だ。

地雷全段被弾という最悪の事態から逃れた俺はホッとしていた。

そう油斷していたのである。してしまったのである。

だからこそ・・・

「妾の奧の手を避けたのは見事。しかし.....主は詰めが甘いのう」

「.....え?」

妖狐の次の行は避けることができなかった。

視界には6枚の符が映った。

その6枚の符は既に目と鼻の先ほどまでに迫っている。

.....謀られた!ここまでが妖狐の描いたシナリオか!

避けることは最早不可能。全力で歯を食い縛る。

符は避けられなくとも、せめて気を失うような無様な結果だけは意地でも避けたい。

そして・・・

───ボンッ!

───ボンッ!

───ボンッ!

───ボンッ!

───ボンッ!

───ボンッ!

6連撃符を全段被弾してしまった。

「ぐぅぅぅぅぅ!い、いってええええええええええええええええ!」

まるで全が焼かれ、削られていくような恐ろしい覚。

気を失うことはなかったが、これを耐えるぐらいならいっそ気を失ったほうがいいでのないか、と思わされる激しい激痛。

.....痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!

これが最小限度にまで力を落とされた実力だと言うのだから恐ろしい。

本気の妖狐とか対峙しただけでチビりそうになる。

.....俺の奴隷で良かった。本當に良かった。

今の6連撃で1200ほどダメージをけた。

以前と比べてダメージを軽減できたのは、その技を知っていたのとあらかじめ食い縛る用意ができたからだろう。

力:4155【↓1200】

痛みを堪え、妖狐から距離を取る。

ヒールで回復したいところだが模擬戦中だ。

當の妖狐も俺を休ませる気はないらしい。新たに6連撃符を放ってきている。

・・・。

相変わらず避けることしかできない。

符をどのように処理すればいいのか方法がわからない。

かと言って、特攻しても妖狐の回りには地雷が展開されていて近付けない。

解決手段が全く浮かばない。

妖狐の描いたシナリオに、俺は無様に踴らされるのみだ。

う~ん。『恥は一時、志は一生』とも言うし、タイムオーバーでもいいかな?

まぁ、そんなご大層な志はないんだけど・・・。

「痛いからやめたい」ただそれだけだ。

□□□□ ~兆し~ □□□□

力:3355【↓800】

あれからさらに數分が過ぎた。

妖狐の解除まで殘り10分。

相も変わらず避けることしかできていない。

変化は何もないと言いたいところだが、実は被弾することがしずつ増えてきた。

なんとかしなければと気が急いているせいか、避けることに集中できてない。

───ボンッ!

「ぐぅっ!」

力:3205【↓150】

またしても被弾してしまった。

このままだと・・・

「なんじゃ?もう打つ手なしなのか?主はそのまま撃符をけ続けるだけしかできぬのか?」

妖狐からは心底殘念といったじの気持ちが並々と溢れている。

「・・・」

.....くそ!俺だってなんとかしたいのはやまやまなんだよ!でも解決手段が・・・。

───ボンッ!

───ボンッ!

───ボンッ!

「ぐ、、はっ」

力:2665【↓540】

さらに3連続の被弾。

力がじわじわと削られていく。

このままだとなにもしないまま、いや、下手したらタイムオーバーですら迎えられないという最悪のケースに陥る可能すらある。

.....な、なにかしらの対策を講じなければ・・・。

───ボンッ!

力:2515【↓150】

・・・。

こういう絶絶命のピンチの時に力を借りたい人と言えば、真っ先に思い浮かべるのはアテナのことだ。

なんとなくだが、アテナならこの非常事態でもなんでもないことのように笑って解決策を出してくるような気がする。

以前のボス猿戦の時もそうだった。

あの時も俺とは違う視點で事を冷靜に分析していた。俺が見落としていた事実の欠片を拾い上げて・・・。

───ボンッ!

───ボンッ!

力:2205【↓310】

・・・。

しかし、今この場にアテナはいない。

頼りたくとも頼ることができない。

ならどうする?諦めるか?.....NOだ!俺はまだ妖狐に力を示せてはいない!

タイムオーバーを待つか?.....それもNOだ!妖狐を失させたくはない!

───ボンッ!

───ボンッ!

───ボンッ!

───ボンッ!

力:1445【↓740】

力がじわじわじわじわとなくなっていく。

既に黃信號もいいところだ。

それなのに・・・

.....考えろ!考えろ!!考えろ!!!

俺の中の闘志はますます燃え上がってきている。

ピンチに陥れば陥るほど、ようやく本腰がるようになってきたということだろう。

全神経を集中して意識を済ます。

3つの符が迫ってくるのがじ取れる。

それらを軽やかに避ける.....どうやら気を落ち著かせることに功したみたいだ。

「.....む?主の雰囲気が変わった・・・?」

妖狐が怪訝な表をしているが、俺にはどう変わったのかはよくわからない。

でも.....心はとても穏やかだ。ここに怒りさえ加わればスーパ○サイヤ人にすらなれそうだ。

───ボンッ!

力:1295【↓150】

「.....?やはり気のせいであったか?まぁ、主は雑念の塊だしの」

「・・・」

と、とりあえず被弾する數は抑えられるので対策を講じる。

現狀の確認として、アテナはいないから頼ることはできない。これは事実。

でも仮にいたとしたら、きっとなにかしらの解決手段を出している。これは憶測。

もしそうなら、アテナにできることは俺にもできる可能が多はある。これは推測。

そして俺が今この場ですることは、推測を確信へと変えること。

ただアテナのように事を見て、ただアテナのように事を考え、ただアテナのように事を組み立てる。

ただそれだけのことだ。

・・・。

今まさに勝利への兆しは見えた!

───ボンッ!

力:1145【↓150】

「.....む?やはり先ほどまでは違う雰囲気。.....いよいよ本気ということなのじゃな?」

「・・・」

妖狐が嬉しそうに微笑んでいる。しい。

そのしい笑顔をさらに彩る為にも、ここからが俺の力の見せどころだ。

.....さて、アテナのように意地汚く足掻いて勝利を勝ち取ってみせるか!

俺の決意も新たに、いよいよ妖狐との模擬戦も最終幕を迎えようとしていた。

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後書き

次回、決著!

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今日のひとこま

~権利があるそうです~

「.....妖狐、強すぎじゃね?」

「だから言ったであろう?妾は強いと。決してマスコットではないのじゃ!」

あ・・・。その言葉まだ気にしてたのね。

「それでも凄まじい強さだよな」

「大妖怪だから當然じゃ!.....と言いたいところだが、獣人族は大概そういうものなのじゃぞ?」

「.....え?どういうことだ?」

「獣人族は他の種族に比べて能力が高い特徴がある。

エルフ族が風や自然に恵まれるように、ドワーフ族が力や鍛冶に優れているのと同じじゃな」

「なるほど。.....となると人間族は知恵に優れているとかか?」

「ふん。下賤な人間族が知恵?.....そんな訳なかろう。知恵は魔族なのじゃ。魔族は知恵と魔力に優れておる」

「.....お、おぅ。すまん。なら人間族はなんなんだ?」

「人間族はと數と言われておる。.....人間族ぐらいなものじゃ。バカみたいに尾をするのは、な」

「・・・」

な、なんとも言えん・・・。

他の種族は生存本能のもとでそういう行為をするのだろうが、人間は快楽の為にすることもあるしな。

「そ、そうか・・・。なんかごめん」

「なぜ主が謝るのじゃ?」

「いや?なんとなく?」

「変な主なのじゃ。まぁ、そうは言っても妾も尾じたいは嫌いではない」

「.....へ、へぇ。ちょっと意外だな」

「何を驚いておる。そんなに不思議なら試してみたらよかろう?」

「なにを!?」

「なにをって・・・。尾に決まっておろう。妾は主の奴隷なのじゃぞ?主はその権利がある」

「いやいやいやいや!いくら権利があるとは言っても、無理矢理はマズいだろ!」

「勝手に無理矢理と決めつけるでない。誰が嫌だと言うたのじゃ?」

「.....え?嫌じゃないの?」

「主なら構わぬ。嫌でもないしの。それにできることなら主との間に子を設けたいとも思う」

「ここここ子供!?な、なんで!?」

「主と妾の間にできた子ならさぞかし強いであろう?楽しみなのじゃ!」

そういう意味か。しかし妖狐と子作りか・・・。いやいや!俺にはニケさんがいるから!

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