《歩くだけでレベルアップ!~駄神と一緒に異世界旅行~》閑話 脅威の意外な結末!

前回の閑話のあらすじ

王命をけたサダルメリクは、実はするアルレシャの為に謀叛を企てていた!

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□□□□ ~王の余裕~ □□□□

ここはとある場所にある王城。

時はサダルメリク達が出陣の準備をしている最中にまで戻る。

「王よ。本當にサダルメリク將軍に任せても良かったのですか?將軍には・・・」

「.....謀叛を企んでいる噂があるのであろう?」

「ご存知だったのですか!?そこまでご存知で、どうして將軍に?」

「良いではないか。自ら捨て石になってくれると言うのだから」

そう言って兇悪な笑みを見せているのは、ドラゴンの王と呼ばれる存在であるダークネス・ドラゴンロードだ。

そしてその傍らで控えているのは、王の信頼厚き部下である宰相その人である。

「そうは言いましても、サダルメリク將軍です。

將軍に敵うものなど地上におりましょうか?これではみすみす姫殿下を賜るだけに過ぎないかと・・・」

「余の悲願は世界征服にある。その為であれば、多の危険は承知の上だ。

確かにサダルメリクには不穏な気配がある。かと言って、奴以上の強者がいないのもこれまた事実。

蟲食い程度の被害で悲願を棒に振ることはできない。小事を持って大事を計ることはできないという訳だ」

「蟲食い程度の被害で済めばいいのですが・・・」

「宰相安心するがいい。余もただ手をこまねいていた訳ではない。ちゃんと手は打ってある」

不敵な笑みを見せるダークネス・ドラゴンロード。

そしてその『手』とやらを聞き、改めて王へ畏敬の念を捧げ、かしづく宰相。

ダークネス・ドラゴンロードは、サダルメリクの謀叛に対してどのような『手』を打ったというのだろうか?

□□□□ ~幸運中の幸運~ □□□□

所変わって、こちらはサダルメリク一行。

王に謀叛の企てが見しているとも知らずに、王都へと進軍している最中だ。

「將軍!ご報告申し上げます。まもなく人間どもの町に到著致します。いかがなされますか?」

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「・・・」

目指すべきは王都だと全軍には伝えてある。

しかし、その前に幾つかの町は経由することにはなる。

つまり、王都へ攻め込む前に戦いの狼煙をあげるかどうかの指示を仰いでいるという訳だ。

斥候部隊からの報告に考え込むサダルメリク。

その様子をジッと見つめる複數の目。アルレシャと4人の主だった面々だ。

「.....アルレシャよ。どう考える?」

「そうですね.....私は反対です」

「.....その理由は?」

「攻めれば簡単に落とせはするでしょう。しかし、その代償は計り知れないものとなる可能があります」

「「「「代償?代償とは?」」」」

サダルメリクを除く、4人の主だった面々が意外といった表で訊ね返した。

この者達はアルレシャと同等の地位に付き、竜戦士50騎それぞれの部隊長を兼ねる歴戦の勇者である。

サダルメリク軍は50騎を5つの部隊に分け、それぞれに部隊長を配屬している。アルレシャもその一人だ。

「宰相様から聞いたのですが、人間どもはこの100年の間に相當文化を発展させたようです。

中でも報伝達の文化は発展目まぐるしく、僅かな時で遠方まで報を屆けられる技を持っているのだとか」

「.....なるほど。大事の前に敢えて危ない橋を渡るべきではない、と言いたいのだな?」

「その通りです」

「「「「???」」」」

サダルメリクだけがアルレシャの言いたいことを理解しているようだ。

「アルレシャの言を採用する。全軍、眼下の町は無視し、そのまま王都へと進軍せよ」

「「「「ははっ!」」」」

本來ならアルレシャの意図するところは、最低でも部隊長である主だった4人には共有すべきだろう。

しかし、サダルメリクは敢えてそれをしない。する必要がないからだ。

それは・・・

尊敬すべきサダルメリク將軍である。

『將軍の言葉は絶対であり、意味がわからなくともただそれに従うべき』と考えているのが、この部隊長達なのである。

それを分かっているからこそ、サダルメリクも敢えて説明をしないのだ。

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百戦百勝將軍とも云われるサダルメリクに、絶対の信頼と尊敬を置いている忠実な部下達なのである。

こうして、サダルメリク一行は王都に向けて進軍を続けることになった。

アルレシャの進言で、最東端の町パレスは救われた形となったのだ。

(※これ以降、side -アルレシャ-、となります)

□□□□ ~苦悩~ □□□□

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「・・・?・・・のか?」

「.....は、い。お父様」

「ボ~っとしているんじゃない。いいかい?よく聞くんだ」

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耳にたこ。

い時から、父にそれはまるで呪文のように、もう何篇も聞かされてきた。

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「いいかい?よく聞くんだ。我が家系では絶対に將軍職はめない。

だからどんな手を使ってでもいい。周りが納得するだけの大功を上げるんだ」

「.....はい。お父様」

「お前にはその才能がある。我が一族の悲願である將軍職をお前が勝ち取るのだ。

その為ならば、を捨てよ。けをかけるな。恩にこだわるな。裏切りを躊躇うな」

「.....はい。お父様」

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本當に耳にたこ。

い時から、それはまるで呪いのように、いつも私の神を蝕んでいた。

そしてそれは今でも・・・

「・・・?ア・・シャ?・・・アル?」

「・・・!は、はい!も、申し訳ありません!な、なんでしょうか?」

「.....大丈夫か?気分が優れないようなら、進軍を1日見合わせるが・・・」

サダクが心配そうに聲を掛けてきた。

私達は今、サダクを將として王都に向けて進軍中だ。

既に2つ目の人間の町荒野の宿場町ガタツを過ぎた辺りだろうか。

「い、いえ。し考え事をしていただけですので・・・。お気になさらず」

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「.....違う。ワシは副將のアルレシャに訊ねたのではない。馴染みのアルに訊ねたのだ」

「.....ええ、本當に大丈夫。心配してくれてありがとう」

「.....そうか。無理をするなよ?人間などいつでも滅ぼせる。1日ぐらい進軍を見合わせても、何ら問題はないのだからな」

そう言うと、サダクは私だけにしか見せない不用な笑顔で笑ってみせた。

本當に優しい人。

一刻も早く王都を、人間を殲滅せよとの王命よりも、私を優先してくれている。

そう、この優しさは私だけに向けられたもの。

私はサダクにされている。そして私もサダクをしている。

その昔、サダクからプロポーズをされたことがある。

嬉しかった。でも.....斷った。

今の環境では決してサダクと結ばれることができない。

しきたりが.....、家柄が.....、周囲が.....、そして私自が.....、それを許さなかったからだ。

すべきサダクを、くだらないしきたりのせいで苦境に立たせたくはなかった。

すべきサダクを、私との結婚のせいで栄譽ある將軍家の家柄に傷を付けさせたくはなかった。

すべきサダクを、分の卑しいものと結婚した等と周囲に侮辱させたくはなかった。

すべきサダクを、せばするほどにサダクのプロポーズを斷り続け希を持たせたくはなかった。

だって私は.....、私では.....、サダクとは釣り合わないのだから。

でも、日増しにサダクへの想いが募っていく。

サダクも同様なようで、的にも、神的にも、私を激しく求めてくるようになった。

そして私は、ついにサダクのれた。

けれども、結婚だけは斷り続けた。

なんて酷いなのだろうと、我ながらに思う。

だって私は.....、私では.....、サダクとは釣り合わないのだから。

どうしたらサダクと一緒になれるのだろうと日々苦悩した。

そしていつも浮かんでくるその答えは・・・

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「いいかい?よく聞くんだ。我が家系では絶対に將軍職はめない。

だからどんな手を使ってでもいい。周りが納得するだけの大功を上げるんだ」

「お前にはその才能がある。我が一族の悲願である將軍職をお前が勝ち取るのだ。

その為ならば、を捨てよ。けをかけるな。恩にこだわるな。裏切りを躊躇うな」

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耳にたこができるほどに聞かされてきた、お父様の言葉だった。

私の分が卑しいからサダクと一緒になれないのだ。釣り合いが取れないのだ。

だったら.....私も將軍になればいい。

そうすればしきたりも、家柄も、周囲も、そして私自も文句を言えないはずだ。

その為ならば・・・

を捨てよう。

けはかけない。

恩にこだわらない。

どんな裏切りも厭わない。

そう決意した矢先に、思いも寄らない好機が、いや、魔の手が私に襲い掛かってきた。

□□□□ ~するが故に~ □□□□

あれは戦後報告をしに、王であるダークネス・ドラゴンロードの元へと訪れた時のことだった。

戦後報告は私の役目だ。

如何にサダクが素晴らしい働きをしたのかを王に伝える為には、サダクや他の部隊長達では口下手過ぎる。

恩賞への影響に於いて、戦後報告は無視できないものである。

「・・・以上でございます」

「ふむ。此度もサダルメリク將軍は良い働きをしたようだな。大儀であった」

私はいつものようにサダクの偉大さを王に認めさせた。

そしていつものように退出しようとしたその時・・・、

「アルレシャよ、待つが良い。々で話したいことがある。近う寄れ」

「・・・」

王より意外な言葉を掛けられ、私は思わず構えた。

この王は偉大にして有能なのだが、『英雄、を好む』の例え通り、癖が酷い。そういう噂も何度か聞いたことがある。

しかし・・・

私とサダクは結婚していないとは言え、名で結ばれている。

まさかとは思うが、仮に王が私に手を出そうものなら、その瞬間サダクは激怒するだろう。

そうしたら政権はひっくり返る。私がサダクの役に立てるのなら、こんな嬉しいことはない。

そう思いつつ、王の言葉に従い近くに寄った。

そして、王から放たれた言葉は驚きのものだった。

「単刀直に言おう。アルレシャよ、將軍になりたいとは思わないか?」

「!?」

に稲妻が走った。青天の霹靂だった。驚天地の心境だった。

まさか將軍になる為の決意をした矢先に、好機が舞い降りてくるとは思わなかった。

それだけに.....王の次の言葉に絶した。

「將軍になる為の條件は、サダルメリク將軍の向をこと細やかに報告することだ」

「!?わ、私にサダ.....將軍を裏切れと!?」

「誰も裏切れとは言っていない。奴の向を報告するだけでいいのだ。

余が何も知らないとでも思っているのか?奴が謀叛を企んでいることぐらい既に知っているのだぞ?

そしてアルレシャ。そなたもそれに一枚噛んでいることもな」

「!!!」

王が不敵な笑いで、私を嘲っている。

まさか既に企てが見しているとは思わなかった。

どこかられた?私達の仲間に裏切り者が?

いや、今はそんなことを詮索しているときではない。

王は私も企てに協力しているのを知った上で、取引を持ち掛けてきている。

將軍になると決意をしたのだから、斷る理由がない。・・・サダクに関すること以外なら!

「.....そこまで知っておられるなら、私がその取引に応じるはずがないのはご存知なのでは?」

「そうであろうな。だから余も、アルレシャの協力を得る為には手段を選ばないつもりだ」

「.....例えどんな手段で挑まれましても、私の將軍への忠誠心は変わることはございません」

「そうであれば良いがの」

王はニタァと嫌らしい笑みを向けてきている。気持ち悪い。

そこには偉大なるドラゴンの王の風格はなく、一人のな謀略家の嫌らしさ、気持ち悪さが滲み出ていた。

「余が死をれることは、そなたも知っているだろう?」

「.....それがなにか?例え私が殺されようとも、將軍の意思は揺るがないものと思われます」

「そなたを殺してしまっては意味がないだろう?」

そうなると、お決まりの大切な人ということになる。

「私の家族がどうなろうと、私の意思は変わりません」

「いやいや。そなたの家族ではない。もっと大切な人がいるであろう」

もっと大切な人.....私にとっての大切な人はサダクその人だけ。

しかし、王ではサダクを殺せない。力量差がありすぎる。

王はサダクに生かされている存在なだけだ。

サダクがいまだに手を下さないのは、王を排除した後の混と王と対峙した際の損害が計り知れないだけだ

「.....正気ですか?王では將軍には適いませんよ?」

「なにを勘違いしている。余がわざわざそんな危険な賭けをする訳がなかろう」

「.....?では一誰を人質にするつもりですか?」

「先程も言ったが、余が何も知らないとでも思っているのか?そなたと奴の関係の事も耳にっている」

王の言葉を聞いて、一瞬目の前が暗くなった。

立ち眩みに襲われるような衝撃が全を覆った。

「で、では・・・まさか人質というのは・・・」

「くははははは!その通り!その通りなのだよ!アルレシャよ!」

聲高々に勝ち誇ったように笑う王。

そして私は、もはや立つ気力さえなくなり、崩れ落ちてしまった。

そんな訳はない。そんな訳はないはずだ。

サダクでさえ知らない事実を何故王が知っている?

私はもはや錯していたが、王の様子からどうやら間違いではないのだと確信してしまった。

裏切者が確実にいる。

それもかなり近な所に・・・

それもかなり信用していた者の中に・・・

それもずっと味方だと信じていた者の中に・・・

「これは取引ではない。命令だ!王命だ!!勅命だ!!!」

「・・・」

「勅命を言い渡す。アルレシャよ、サダルメリクの向を余すことなく報告せよ。

さすればそなたは將軍となれるであろう。.....よいな?しかと命じたぞ?」

「.....か、畏まりました。王の言う通りに従います」

こうして私はサダクに協力するフリをしつつ、一部始終を王に報告するという二役を演じることになった。

ごめんなさい、サダク。私はサダクがしい。しいからこそ斷れなかったの・・・。

□□□□ ~突然の別れ~ □□□□

王都上空に到著した。

いよいよ先祖の悲願が葉う時。

「「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」」」」」

「「「「「人族誅すべし!人族誅すべし!人族誅すべし!人族誅すべし!」」」」」

「「「「「勇者誅すべし!勇者誅すべし!勇者誅すべし!勇者誅すべし!」」」」」

軍の士気は非常に高い。

竜戦士50騎の咆哮が、まるで空を、大気を、この世界を震撼させているようだ。

しかし・・・

「.....アルレシャよ、その後は大丈夫か?」

「.....お気遣いありがとうございます。ですが何も問題はありません」

私の気分は晴れなかった。

この侵攻戦をきっかけに謀叛を起こすことになっている。

しかしそのことは既に王には筒抜けになっている。當然報告したのは私だ。

サダクは私とのを葉える為に王に謀叛を起こし、私はサダクとのを守る為にサダクを裏切った。

王都に近付けば近付くほどに、私はだんだんと暗澹たる気持ちに陥っていった。

王への恨みと、裏切者への憎しみと、サダクへの申し訳なさと、そして・・・。

「.....やはり優れないようだな。ここはワシと4將で攻める。アルレシャは後陣で指揮をせよ」

「いえ、しかし・・・」

「.....何度も言わせるな。これは命令だ。後陣で休んでいよ」

「.....ありがとうございます、將軍」

「.....気にするな。を労われ」

そう言うと、サダクは私だけにしか見せない不用な笑顔で笑ってみせた。

サダクの気遣いが嬉しかった。

それだけに余計、私の心は申し訳なさで締め付けられた。

ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。

私はサダクに心の中で一杯謝罪を繰り返しつつ、後陣に移った。

任されたのは5騎。所謂、戦の検分をする検使役ということになる。

実際に戦に加わる訳ではないので、本當に休むことができる配屬先だ。

そして、いよいよ侵攻戦が始まろうとしていた。

「我が勇猛なる鋭達よ!時は來た!

祖先の無念を!怒りを!!憎しみを!!!今ここで全て清算する!人族は皆殺しだ!!」

「「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」」」」」

「「「「「人族誅すべし!人族誅すべし!人族誅すべし!人族誅すべし!」」」」」

「「「「「大將軍萬歳!大將軍萬歳!大將軍萬歳!大將軍萬歳!」」」」」

再び空中に竜戦士達の咆哮が、怒號が、喚が飛びった。

まさに士気は最高といったじだ。

サダクもこの頼もしき鋭達に満足している。

そして一拍置き、ついにサダクから突撃の合図が為された。

・・・。

そう為されたと思ったら・・・

「全軍!とつげ・・・きぺっ!?」

「サダク!?」

「「「「將軍!?」」」」

私を始め、この場にいる全てのドラゴンの時が止まった。

なにが起きたのか理解するのに時間がかかった。

いや、目の前で起きている景は、見れば誰でも、それこそ子供でも理解できるものだ。

しかし、頭がそれを理解するまでにはどうしても時間がかかった。

到底、信じられない景。

到底、信じたくはない景。

到底、有り得ない景。

到底、誰もが想像できない景。

・・・。

最強のドラゴンと謳われたサダルメリクが、たった1本の矢に貫かれ、絶命してしまった。

・・・。

そして、サダルメリクだったものが落下していく。

最強という名をほしいままにし、誰からも恐れられ、誰からも尊敬されていた『ドラゴンだったもの』が無殘にも落ちていく。

「「「「「・・・」」」」」

「「「「「・・・」」」」」

「「「「「・・・」」」」」

それを呆然と見守る『ドラゴンだったもの』の元配下達。

いまだに目の前の景が信じられなく、どこか夢を見ているような覚に陥っている。

しかしそんなどこか夢見心地だったのを、悪夢へと、現実へと引き戻させたのは・・・

「いやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」

一人の、哀しみのどん底に突き落とされたドラゴンの悲鳴だった。

「.....ハッ!アルレシャ殿!?どうなされた!?」

「いやああああああああああ!サダクが!サダクが!!私のサダクが!!!

噓よ!こんなの噓よ!!サダク!サダク!!サダクううううううううううううううう!」

私は泣きび錯している中、なりふり構わず全力で、サダクに追い縋ろうとした。

しかし、そんな私の前に立ちはだかったのは4人の部隊長だった。

「ア、アルレシャ殿!お、落ち著くのだ!」

「サダクが!サダクが!!サダクがあああああ!!!」

「ま、周りを見るのだ!アルレシャ殿!つ、次々と部下がやられていってる!」

「サダクが!サダクが!!サダクがあああああ!!!」

確かに部隊長達の言う通り、部下が1人、また1人とやられていっている。

それも常識では到底信じられないような凄慘な景だ。

しかし當の私の瞳には、ただただサダクしか映っていなかった。

「あ、あなたは副將であろう!ど、どうされるのか指示を出されよ!」

「サダク!サダク!!サダクうううううううう!!!」

「ダ、ダメだ。ア、アルレシャ殿はすっかり錯されてしまっている。こ、このままでは・・・」

「サダク!サダク!!サダクうううううううう!!!」

部隊長達に阻まれた私はサダクの元へとも行けずに、ただただサダクが落ちていく様を見つめることしかできなかった。

そしてついに・・・

「ああああああああああ・・・サダク.....サダク.....サ、、ダ、、ク・・・」

サダクが視界から消え失せると、私の中にあった何かがぷつりっと切れて、そのまま意識を失った。

(※side -アルレシャ-、はここまでとなります)

□□□□ ~竜族への怨念~ □□□□

その後、無事帰還できた竜戦士はアルレシャと4人の部隊長、そして後陣に配されていた5騎の全部で10騎だけだったらしい。

そして王に語られたその凄慘な報告は、王を始め、王城に集まった全てのドラゴンを震撼せしめた。

「.....そ、それではサダルメリクはたったの一撃で死に、殘りの40騎はたった1本の矢で壊滅したというのか?」

「.....その通りでございます。矢はまるでうが如く自在に飛來して、我らの急所を抉っていったのでございます」

「「「「「・・・」」」」」

「「「「「・・・」」」」」

「「「「「・・・」」」」」

地上の支配者足るドラゴン達が一斉に息を飲んだ。

そしてその景を想像でもしたのだろう、中には恐怖のあまり倒れる者すらいた。

「.....なにが原因かわかるか?」

「.....わかりません。逃げるだけでいっぱいでしたので。しかし、そんなことが可能な存在と言えば・・・」

「.....勇者しかあるまいな」

「「「「「・・・」」」」」

「「「「「・・・」」」」」

「「「「「・・・」」」」」

王の言葉に、またしても王城にいる全てのドラゴンが息を飲んだ。

恐怖が恐怖を呼び、そしてまた恐怖を呼び込む。

ほぼ全てのドラゴンが恐怖を抱き、そして勇者という存在に恐れ慄いている。

ドラゴン達のそんな厭戦気分をいち早くじ取ったドラゴンの王ダークネス・ドラゴンロードは、一つの決斷を下した。

「.....勇者の力、いまだ侮り難し。世界征服は一時中斷とする。各々己が武を磨きつつ、再び命があるまで待機せよ!」

「「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」」」」」

「「「「「我らが王萬歳!我らが王萬歳!我らが王萬歳!我らが王萬歳!」」」」」

「「「「「死なずにすんだあああああああ!怖かったああああああああ!」」」」」

その時の王城は、いつもの王を稱える歓聲とはまた別に、し違う大歓聲が聞こえてきたらしい。

こうして竜族の世界征服は一時中斷となり、また長い長い年月を待つことになった。

・・・。

ダークネス・ドラゴンロードが世界征服を斷念して數日後、一つの勅命が下された。

そして、その勅命に多くのドラゴン達が恐れ慄いた。

その勅命とは・・・

『サダルメリクが謀叛を企てたとしてこれを罰す。その一族と親族は皆殺しに処す』

というものだった。

そして、処刑されたドラゴンの數はゆうに100を超えたという。

サダルメリクの家族や一族、そして親族はもちろんのこと、長年サダルメリクに付き従ってきた部下達やその家族、その親族。そしてサダルメリクを尊敬していた派閥の者やその家族、その親族など様々だ。

そして処刑されたドラゴン達はみせしめの為、全員が曬し首となった。

そのあまりの凄慘な景に、多くのドラゴン達が嘔吐を催したらしい。

そして、その曬し首の中にはアルレシャの首もあったとか・・・

『父の力と母の知をけ継ぎし、我が子よ。

いつの日にか父と母の恨みを晴らしてほしい。憎きはドラゴンの王と裏切りし竜族。

貴方に宿りし、父と母の無念のを絶やしてはなりません。すべき貴方以外の全ての竜族に死を!』

サダルメリクとアルレシャ (完)

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『サダルメリク』 (死亡) レベル:15680

種族:竜族(黒炎竜)

年齢:2900

別:♂

職業:竜闘士

稱號:百戦百勝將軍/竜將四天王

力:80000

魔力:78000

筋力:85000

耐久:99000

敏捷:90000

技能:ステータス

Lv.1:浄化魔法

Lv.2:

Lv.3:初級闇魔法/中級火魔法/中級風魔法

Lv.4:索敵/知/隠/理耐/魔法耐/狀態異常耐

斬撃耐/呪/黒炎ブレス/黒氷ブレス/格闘

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『アルレシャ』 (死亡) レベル:8800

種族:竜族(飛水竜)

年齢:2880

別:♀

職業:竜

稱號:従士

力:35000

魔力:40000

筋力:22000

耐久:33000

敏捷:48000

技能:ステータス

Lv.1:浄化魔法

Lv.2:中級火魔法/中級水魔法/中級風魔法/中級土魔法

中級闇魔法/廻天魔法

Lv.3:索敵/知/隠/理耐/魔法耐/狀態異常耐

斬撃耐/呪/治癒魔法/初級火魔法/初級水魔法

初級風魔法/初級土魔法/初級闇魔法

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後書き

次回、神アルテミス③!

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今日のひとこま

「王よ。意外な結末でしたが、萬事上手くいきましたな」

「うむ。世界征服前にサダルメリクを失ったのは痛いが、いずれは始末せねばならない存在。ここで死んでくれて何よりだ」

「失ったと言えば、アルレシャ殿の件は驚きました。將軍確約の約束をされていたのでは?」

「あぁ、確かにしておったな」

「それではどうして処分を?」

「なに単純なことよ。裏切り者は繰り返す。ただそれだけだ。これほど側に置くに信用のならない者はないだろう?」

「それでは最初から、処分をするつもりで口から出任せを?」

「出任せではない。最初から処分するつもりではあったがな」

「出任せではない.....と申されますと?」

「軍功帳にアルレシャの將軍位就任を記せば、噓にはなるまい?

まぁ、そのアルレシャの一族も滅んでいるからただの列記に過ぎないがな」

「なるほど。それならば噓とは申せないですな」

「その通りだ。王は手柄あるものには報いねばならない。それが王の勤めだ」

「宰相よ。軍を、人事を一新せよ。余の意に従い、駒となることを厭わない忠実なる僕を作り上げるのだ」

「仰せのままに」

「それらが出來上がり、再び世界征服に乗り出す!今度こそ、先祖の悲願を就するのだ!」

しかし、ついぞこの悲願が就されることはなかった。

それは遠い遠い未來になってのお話である。

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