《歩くだけでレベルアップ!~駄神と一緒に異世界旅行~》第93歩目 vs.バット!神の試練①
前回までのあらすじ
アテナがこそこそ隠れて悪だくみをしていた。
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□□□□ ~デビュー戦~ □□□□
意地汚いアテナにお仕置きをして既に1週間が経った。
あれからもコツコツとダンジョンに通い、遂にはダンジョンマスターのおわします最終フロアにまでたどり著いた。
しかし.....
見つからない。
どうしても、神の試練がある魔部屋が見つからないのだ。
だから最終フロアにたどり著けても、先にダンジョンをクリアしてしまっては意味がない。
気ばかり焦るが、それでも今日もいつも通りダンジョンに向かうことにした。
・・・。
ギルドに著いた。
報収集しに立ち寄ったのだが、なにやら騒々しい。
多くの冒険者やギルド職員達が、悩ましげな表を浮かべている。何かあったのだろうか?
原因を探ろうとコシーネさんの窓口へ向かうと、
「あっ!お待ちしていました、冒険者さん!」
一際、明るい表で迎えられた。
コシーネさんだけに限らないのだが、この傍迷な大家族はそれなりに人だ。
ラズリさん未満ナイトさん以上といったじだろうか。日本でなら一線級のアイドルに匹敵する。
故に期待されるような眼差しを向けられると、照れると同時にドキドキしてしまう。
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「な、なにかあったんですか?」
「はい。現在冒険者さんが挑まれているダンジョンで、魔部屋が確認されたのですが.....」
今までにも普通の魔部屋は何個も発見されている。
それ自は特に珍しいことでもなんでもない。
大はすぐ討伐されて終わりなのだが、今回はどうやら事がし違うようだ。
「なにか?」
「討伐に向かったいくつかのPTが全滅してしまいました.....」
冒険者で、魔部屋に挑戦する以上はこういうことも覚悟の上だろう。
それでも、迷わず仏してほしい。
「それはまた.....。ちなみに全滅したPTの総合ランクはいかほどですか?」
「Aが3つとSが2つですね」
「Sもですか.....」
Aランクはともかく、SランクPTが全滅しているとなるとこれは當たりくさい。
この王都に滯在している冒険者の質はかなり高い。普通の冒険者のワンランク上の力はあると見ていいだろう。
それが全滅.....。
そうなるとその魔部屋には、恐らくは神の試練を擔當している強力なペットが控えているはずだ。
遂に見つけた!
俺が不謹慎ながらもほくそ笑んでいると.....
「はい。それなので、この案件はSSランク以上の方に委任されることが決まりました」
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「.....委任?」
なにやら聞き捨てならない言葉が出てきた。
「このギルドの長より、冒険者さんに指名依頼が出されています。容は魔部屋の掃討です。
この依頼の達を以て、冒険者さんを正式にギルド上層部に推薦することが決まっております」
要は、推薦するだけの力が本當にあるのかどうか実力を示せ、ということなのだろう。
巷ではドラゴン討伐も実は噓なのでは?と囁かれている。実際噓なのでなんとも言えないが.....。
どうやら酒場での土下座の一件が原因らしい。
人間誰しも見たこともない功績を信じるよりも、実際見たことのある恥辱の方を信じるものだ。
それはいい。それはいいのだが.....
困った。
正直目立ちたくないので、このまま笑い者扱いされている方が大英雄になるよりも萬倍もいい。
だが、魔部屋は攻略したい.....
でも、そうなると必然的に大英雄にされてしまう.....
そんなじで悩んでいたら、
「.....主。すまぬ」
しょんぼりした様子で、ドールが謝ってきた。
こうなった原因を作り出したことに責任をじているのだろう。
いまだお利口さんモードのドールに、らしさをじ取れない寂しさをじつつも言葉を綴った。
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「この依頼が終わったら、いっぱいもふもふさせてもらうぞ?それで今回の件はチャラな」
「よ、よいのか!?」
「行き違いはあったけど、俺の為にしてくれたことには変わりないからな。
でも罪は罪だ。だから罰として、いっぱいもふもふはさせてもらうからな?」
最終的には試練をクリアすることにはなるだろう。
それならばいっそのこと、ここでドールの罪の意識をなくさせてしまったほうがいい。
そして許すとしても、無罪放免は責任の強いドールでは到底けれ難いはず。
それならばなにか罰を與えたほうが、ドールもすっきりするというものだ。
俺は聖人君子でもなんでもない。一社會人として、信賞必罰こそが一番後腐れのない方法だと思っている。
こうして俺は指名依頼をけ、魔部屋へと向かうことになった。
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【指名依頼!魔部屋の掃討】 ランク:SS
依頼:フランジュギルド長
詳細:ダンジョン15階層にある魔部屋の掃討
報酬:特別報酬
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□□□□ ~蜂王配下バット登場~ □□□□
魔部屋は15階層にあるらしい。
こんな淺い階層にあるとは思いも寄らなかった。
神の試練だと言われれば、普通誰しもがもっと深い、そして魔が強い階層を予想する。
その予想の裏を掻かれた。こういうところに、アルテミス様の意地の悪さが垣間見える。
「多分だが、アルテミス様の試練だと思う。ドールは大丈夫か?」
「うむ、問題ない。いつも通りで良いのであろう?」
「ねー?なんで私にはきかないのー(。´・ω・)?」
お前に聞いても意味ないからだよ。ピンチの時以外は役に立たないし。
「その通りだ。敵は俺が倒すから、アテナを守ってやってくれ」
「任せよ。姉さまの面倒は妾が見る」
「まかせてー!コンちゃんの面倒は私がみるねー( ´∀` )」
「.....アテナ、うるさい」
「ふええ(´;ω;`)」
アテナがやる気に燃える程、これ以上に厄介で面倒なことはない。
おとなしくドールに面倒を見てもらえ!
ドールにアテナ用の大量のお菓子を渡して、俺達は魔部屋に突した。
・・・。
「.....いない?」
魔部屋に突したはいいものの、何もいない。
無數の留品が散見しているだけで、その原因を作りし存在が見當たらない。どういうことだ?
「.....いや、おるぞ。このおぞましい気配.....間違いなくおる」
歴戦の猛者であるドールがそう言うならば間違いないだろう。
どこかに隠れて、俺達の油斷をっているに違いない。
───ぱたっ
───ぱたっ
・・・。
刻々と時が流れるが、何も変化は見られない。
地面や上空を見渡しても、それらしきものは見けられない。
───ぱたっ
───ぱたっ
嫌な汗が額を伝う。
見えない敵、わからない存在というのは、人間に恐怖を與える。おばけや幽霊などがいい例だ。
今まさに俺とドールは、そんな得も知れない相手に張しているところだ。
辺りに警戒を払うも、それでも変化の兆しは一向に見られない。
───ぱたっ
───ぱたっ
それにしても、相手の考えていることがよくわからない。
俺とドールは間違いなく相手の存在には気付けていない。
俺達の隙や油斷を狙っているのなら、もう何かしらのアクションがあってもいいはずなのだが.....
───ぱたっ
───ぱたっ
そして、決まってこういう時に何かしらのアクションを起こすのは當然こいつだった。
「てか、さっきからうるせえんだよ!何をぱたぱたしているんだ!?」
さっきから、この場の張にふさわしくない軽快な音を立てているのはアテナだ。
なにやら地面を楽しそうに踏んでいる。
「見てみてー!この影うごくんだよー( ´∀` )」
「影がく?なにバカなことを.....うぉ!?」
アテナが楽しそうに踏もうとしている影をよく見ると、確かに影はアテナに踏まれまいと必死にいている。
原理はよくわからないが、非常に気持ち悪い。
.....てか、影?ダンジョンで影なんてできるのか?
疑問に思った俺は、ドールの足元を見てみると.....やはりない。
アテナにもない。影があるのは何故か俺だけだ。
.....つまり、そういうことなのか?
俺が確信に至ると同時に、その謎の影は地面から這い出し俺達の前にその姿を現した。
鳥とも、獣とも言えるようなその風貌。
広げれば、ゆうに2mは軽く越えそうな翼は、羽ではなくでできている。
前肢は、親指が普通の指の形で鉤爪あることをのぞけば、全て細長くびている。
翼のはその人差し指以降の指の間から、後肢の足首までを結んでいる。
これは恐らく.....いや、間違いなくコウモリと呼ばれる生に違いない。
ただ普通のコウモリと違う點があるとすれば、人間同様2本の後肢で地面に直立していることだろうか。
コウモリと言えば、天井にぶら下がっている印象があったので、なからず驚いた。
そしてこいつもボス猿同様、
「.....お見事です。我輩のスキルを見破りし汝らこそ、
我が主アルテミス様の試練を賜りし者達で間違いないですな?」
話せちゃったりするようだ。
まぁ、その方がコミュニケーションを取りやすいので助かる。
「その通りだ。俺がアルテミス様にお願いをした」
「.....なるほど。なるほど。汝からは凄まじい力をじます。
アルテミス様が、我輩をここに遣わされたのも納得できるというものです」
「.....わかるのか?」
「如何にも。我輩はアルテミス様が獣ペット、
五大王の一獣であらせられる蜂王様の配下『バット』と申す者。
蜂王様の元では偵察隊隊長を務めておりますれば、報を扱うことにおいて我輩の右に出るものはおりますまい」
五大王とやらがなんなのかはわからないが、これは想像以上の相手が來てしまったのではないだろうか。
仮に五大王をペットの頂點と考えると、バットはその頂點の1匹に仕える1つの部隊の隊長となる。
王の次に控える者となると、將軍クラス.....下手したら複數の將軍を束ねる大將軍の可能も有り得る。
ものには順序がある。
いきなり強敵を送り込んでくるのはやめてほしいものだ。
「そう構えることはないでしょう。
我輩はアルテミス様より、汝らの力を見てくるように、と承っただけです。
決して殺害する意思はありませんのでご安心ください」
「そ、そうなのか?」
確かにこの理知的なコウモリ男からは殺意が窺えない。
しかし、それだからこそ薄気味悪さが拭えないものも事実だ。
「はい。もしアルテミス様に汝らを殺害するご意思があるのならば、
偵察隊隊長に過ぎない我輩よりも、その任にふさわしい者が遣わされたことでしょう」
「つ、つまり何か?お前は他のペット達に比べると弱いとでも言いたいのか?」
「その通りです。もちろん我輩も隊長という役職におりますれば、ある程度の実力はあります。
しかし、我輩など吐いて捨てるほどの強者がごまんといるのも事実。その事だけはお忘れなきよう」
「・・・」
このバット以上の猛者がごまんと.....。
それだけで立ち眩みがしてしまいそうだ。俺、いつかは死ぬんじゃね?
「さて神界でアルテミス様も見ておられることでしょうし、
おしゃべりはここまでにして、そろそろ試練に移るとしましょう。準備はよろしいですか?」
準備はいいかって?苦笑しか出ない。
ここまでバカ丁寧な試練というのも珍しい。実にユニークな試練だ。
「我輩は偵察が任務。それ故に戦闘は不得手としています。
ですので、汝らのお相手はこの者達にお願いするとしましょう。.....行きなさい!我が眷屬達よ!」
バットはそう言うと、畳んでいた翼を広げ舞い上がり、ダンジョン天井に見事にぶら下がった。
そうそれ!それならコウモリっぽい!
そして、広げられた翼からは.....
キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。キィーキィー。
けたたましい鳴き聲とともに、
蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。蝙蝠。
無數の、それこそ何百いるのか數えられないぐらいの眷屬、もとい蝙蝠達が飛び出してきて、俺達に一斉に牙を剝いてきた。
またこのパターン。勘弁してくれよ.....
とりあえず敵を知らなければ、勝利は危うい。
無數の蝙蝠達が襲ってくる前に、敵を探るべきだろう。鑑定!
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『こうもり』 レベル:102(C) 危険度:小
力:1800
魔力:1650
筋力:1990
耐久:1700
敏捷:2200
【一言】こうもりって気持ちわるいよねーr(・ω・`;)
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無數に襲ってくる蝙蝠共は正直大したことはない。
この程度の強さならば、のままのドールの結界でもなんなく防げるだろう。
アテナとドールの安全さえ確認できれば、俺は全力で戦える。
問題は.....バットだ。
正直確認したくはないが、せずにはいられないだろう。鑑定!
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『バット』 レベル:351(SS) 危険度:特大
力:12200
魔力:20000
筋力:11500
耐久:13000
敏捷:24000
【一言】私はモンキーちゃんのほうがすきだなー(´-ε -`)
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ちょっ!?なにが偵察隊だから強くないだよ!十分に強いだろ!ふざけんな!!
今まさに、神の試練が始まろうとしていた。
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後書き
次回、神の試練②!
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今後ですが、ダンジョンでの戦闘は基本的に『神の試練のみ』となります。
主人公があまり無雙していないように思われるでしょうが、『ダンジョンの魔相手では無雙狀態』なので敢えて描寫はしていません。
ある要素の為に、もう一度ダンジョンのザコ戦も描寫する予定ですが、それ以降は神の試練のみとなります。
よろしくお願いします。
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