《ワールド・ワード・デスティネーション》プロローグ
作を収穫するのは僕の役目だった。 夏も終わりかけて、ズッキーニはすっかりパンパンになってしまっていた。何本かは殘して來年の種にしなければならないだろう。こうやって僕たちは限られた土地でそれぞれの作を育てながら生活をしているのだ。
僕がここへやってきたとき、あかりは「ここで暮らすには全部自分で自分のことをしないといけないのよ。だからあなたは畑の仕事をしてね。あれは私がするには大変すぎるって前から思ってたのよ。」と言った。畑の仕事はむしろ好きだったので僕はそれに同意した。
まだ食べられるものを選んで収穫していると、沖から船が近づいてくるのが見えた。高橋さんの船だった。僕は収穫したばかりのズッキーニを數本持ってドッグ跡へ歩いて行った。ドッグに近づくと高橋さんはこちらに片手でロープを投げ、僕はそれをけ取ってビッドにしっかりと固定した。
「すまんね、わしもいろいろ用事があってこっちへこれなんだんじゃ。」と高橋さんは言った。
「構わないですよ。米以外の野菜はだいたい作ってますし、魚だって良く釣れます。日用品もいざというときのために貯蓄してあったので。」
「お前さんたちは準備がいいからの。わしなんていっつもぎりぎりの生活じゃ。」
そういいながら彼は船に積んである段ボールを二箱こちら側に持ち出す。僕はそれをけ取ってドッグの端に並べる。
「おお、そうじゃ。お前さんあてに手紙が來とったぞ。」
そう言って高橋さんは船からを乗り出して僕に手紙を渡した。僕はそれをポケットにしまってからズッキーニを渡した。
「さっき収穫したばかりなんです。もう終わりかけなんでボケてしまってますけどー」
「構わんかまわん。近所のスーパーだとなかなか売っとらんもんでな。」
高橋さんはズッキーニを大切そうに抱えると
「それを頼む。」とビッドを指さして言った。僕はそれをほどいてから船に放った。
「それじゃの、また近いうちに來るけぇ」と言い殘して高橋さんは船を出発させる。
僕は彼に手を振ってから手紙を読むために半島の先を目指して歩き始める。
巖場に腰かけて手紙を取り出し、海を眺める。海が太のをけてきらきらと輝いていて、向こうのほうを高橋さんの船が進んでいくのが見えた。
手紙は夕張からのものだった。(といっても僕に手紙をくれるのは夕張しかいないのだけれど)
彼は簡単な最近の出來事を綴ってあり、一枚の寫真が同封されていた。どこで撮ったかわからないけれど、とてもきれいな山の寫真だった。彼も自分なりの人生を楽しんでいるようだった。
僕は手紙と寫真をまた元の通り封筒にしまってから、それを紙飛行機の形に折った。立ち上がり指に唾をつけて風向きを読む。タイミングを見計らって沖に向かって紙飛行機を投げ出すと、それは風に乗ってひゅうっと飛んで行った。どこかに止まっていたカモメがそれを追いかけるようにバサッと羽ばたき、空へ舞い上がった。
手紙が海に吸い込まれて見えなくなってしまうと、僕は海に背を向けて家に向かって歩き始めた。赤レンガの家の煙突から煙が上がっているのが見えた。そこではあかりが僕の帰りを待っているはずだ。
ここはもはやどこにも通じておらず、すべての時間が収束しているのだ。
海沿いを歩いていると、遠くから船の汽笛の音が聞こえた。
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