《異世界サバイバル~スキルがヘボいとクラスから追い出されたけど、実は有能だったテイムスキルで生き延びる~》STAGE1 第1話 異世界の森

目が覚めると、ジャングルだった。

「は?」

オレは周りを見回す。

目をつぶって、こすって、もう一度見回す。

間違いなかった。

前も、後ろも、右も左も、ついでに上も鬱蒼と樹が生い茂って、葉が覆っている。

おかしい。

オレは、ついさっきまで、高校の校舎の裏で、ウサギ小屋の掃除をしていたはずだ。

しかし、周りには、そのウサギ小屋も、近くにあった掃除道れも、校舎も、その周囲の住宅も、なにもかもがない。

なにがあった?

オレは考える。

目覚めたばかりのせいか、頭がぼんやりとして記憶が繋がらない。

「そうだ……地震……」

思い出してきたぞ。

ウサギ小屋の掃除をしてたら、地震が起きたんだ。

そのせいで、小屋の扉が開いてしまって、ウサギが逃げ出した。

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捕まえようと慌てて追いかけたが、もう一度大きな地震が起きた。

オレはバランスを崩して、小屋の柱に頭をぶつけ、そのまま気を失った……。

「いやいやいやいや」

オレは思わずツッコんでしまう。

地震で転んで気絶したのはいい。

それで、どうしてこんなところにいる?

なにも原因究明になってないじゃないか。

「しかし、なんか変だな、ここ……」

ちょっと思考が復活してきたので、オレは改めて周りを観察する。

周りに生えている樹や草は、見たことがない形をしている。

さっきはジャングルだと思ったけど、よく見れば、映像や寫真で見たことのあるジャングルの植とも、また違うように思える。

そう、そもそも、まったくべつの進化の道筋をたどってきた、地・球・以・外・の・世・界・の・植・・みたいな……。

「はは、まさかな」

オレは、自分の発想を自分で笑う。

いくらなんでも空想が飛躍しすぎだ。

べつにオレは植學者ってわけじゃない。

ただの高校生だ。

そのオレが見慣れないからって、地球上に存在しないなんて、そんなわけが――。

――ゴォ! と、風が吹いた。

「ぐぁっ!?」

その凄まじい勢いに、オレはその場にひっくり返った。

「な、なんだ……?」

そして見た。

すぐ目の前に、巨大なネズミがいた。

調は一メートルは優に超えるだろうか。

そんな化けネズミの時點で驚きだが、真に驚くべきはそいつではなく。

そいつを捕まえた、巨大な鉤爪だ。

生い茂った樹の葉をかき分けるようにして急降下し、大ネズミを、まるでただの石ころみたいに簡単に捕らえると、そいつはあっという間に空に戻っていった。

「ドラゴン……?」

見間違いじゃない。

ゴツゴツした赤い

コウモリみたいな羽

巨大な頭に、長い尾。

長は、五メートルはあるだろうか。

オレは學者でもないけど、さすがにわかるぞ。

あんな生、地球上にいるわけがない。

さて。

どうやらここが地球じゃないらしいことが明らかになった。

念のため、スマートフォンを見てみたが、當然のごとく圏外だった。

まあ、期待してなかったけどな。

それで、どうすればいいんだ。

普通こういうときって、近くに偶然村があったりとか、頭に神様の聲が響いていろいろ教えてくれたりとか、なんか便利な能力が備わっていたりとか、するもんだろ。

「…………待てよ」

最後の思いつきは、あり得るんじゃないか?

オレはし離れたところにある巖に向かって手を突き出し、聲をあげる。

「――フレイムっ!」

するとオレの手から巨大な炎の玉が現れて飛んでいき巖を々に打ち砕いた!――なんてことはまったくなかった。

いや、わかってたし?

べつに魔法を使ってみたかったとか、そういうわけじゃないし?

念のためやってみただけだし?

はぁ……誰にも見られてないのにめちゃくちゃ恥ずかしい。

とにかく、便利な能力も特に手にってないらしい。

なんなんだよ。

これで、さっきの巨大なドラゴンに襲われたりしたら、どうしろっていうんだ。

即死亡じゃん。

しかし……だからといって、ずっとこの場にこまっているわけにもいかない。

食べも水もないのだ。

飢えるか干からびるかして、やっぱり死亡エンドだ。

仕方ない、ちょっと歩き回ってみるか。

オレは石を拾うと、さっきの巖にバツ印をつける。

こんな、なにもないところを拠點にするのもなんだけど、一応な。

これでよし、と。

じゃあ、まあ、適當に歩いてみよう。

と、草をかき分けて、何歩か進んだところで、

――巨大な蜘蛛がいた。

いかにも「毒を持ってますよ」と言わんばかりの、黒と黃の模様の

太い八本の腳。

に針のような剛が生えている。

そして、その長は――三メートルはあるだろうか。

いやいやいやいや、おかしいでしょ。

もなにも持ってない狀態で、最初に遭遇するモンスターがこれとか。

ハードモードすぎる。

しかも蜘蛛は、こっちを向いていた。

頭部にある、不気味な八つの目に、オレの姿がしっかりと映っている。

キキキキキキキッ! と、金屬同士をるような不快な聲をあげる。

そして、口らしきところにある牙?をガチガチ打ち合わせながら、蜘蛛はこちらに向かって歩き出した。

「うわあああああああ!」

オレは全力で逃げ出した。

戦おうなんて発想が出てくるはずもない。

あんな化けに勝てるわけがないだろ。

とにかく走る。走る。走る。

もうさっきのバツ印をつけた巖がどこだか全然わからないが、仕方がない。

蜘蛛に喰われるよりはマシだ。

「いでっ」

樹のに足を取られて、すっ転ぶ。

背後からカサリカサリと音がする。

見れば、蜘蛛がすぐ近くまで迫っていた。

オレは全力で駆けていたのに、相手は軽く腳をかしているだけだ。

相手の一歩がオレの十歩分くらい。

不公平だ。

「くそっ……來るな、來るなぁ!」

もう、立ち上がって逃げる余裕はなかった。

オレは足元に落ちていた木の枝を振り回して、そうぶしかない。

無駄なんだろうな、と思いながら。

この巨大さだ。

こいつならこんな枝ごとオレを喰うことなんて簡単だろう。

オレは死ぬらしい。

ここがどこなのか。

自分のになにが起きたのか。

全然、なにもわからないままで。

――と思ったら。

『マズソウ』

「え?」

いきなり聞こえた聲に、オレは思わず周りを見回す。

誰もいない。

じゃあ今の聲は?

『イラナイ』

また、聲が聞こえたかと思うと、蜘蛛がくるりとを翻した。

そして、また巨に似合わない、カサリカサリという靜かな足音を立てて、草の向こうに姿を消した。

――助かった、のか?

巨大な化け蜘蛛の姿が見えなくなってから、オレは周りを(今度はモンスターに見つからないよう注意しながら)探ってみた。

が、人の姿はなかった。

ということは、さっきの聲はなんだったんだ。

聞き間違い、という可能はあるだろうか。

だが、あんなにはっきり耳にしたんだ。それはないと思う。

じゃあ幻聴?

それは否定のしようがないけど、そうなるとなんでもありになってしまうので、それは考えないでおこう。

異常事態で、オレの神がやられてないことを祈るしかない。

となれば、答えは一つ。

あれは、あの巨大蜘蛛の聲、という可能だ。

そう考えると、聲の容にも納得がいく。

――マズソウ。

――イラナイ。

あれは、蜘蛛が、獲を見つけたと思ってオレを追いかけたが、よく見ると味しくなさそうだったので、いらないと判斷して去っていた、のだと解釈できる。

人を追いかけ回しておいて不味そうとは失禮な話だが、命が助かったので文句はない。

とにかく、あれは蜘蛛の聲ということでいいと思う。

ということはだ。

この世界の生きは人間の言葉を喋るのか?

生き全部、ではないにしても、モンスターというか、魔というか、そういう特殊な存在は、知能も高めで、人の言葉を理解できる、とか。

しかし、それはそれで、違和がある。

異世界の生が、なんで日本語を話したんだ?

たとえ言語を扱えるにしても、発される言葉は異世界語(蜘蛛語?)のはずだ。

なのにオレは、蜘蛛の聲をあっさりと理解できた。

そこまで考えたところで、オレの頭には、ある発想が浮かんだ。

――スキル。

――異世界に飛ばされた人間が與えられる便利な能力。

さっきは巖に向かって魔法を放とうとしてスベってたけど。

実はちゃんとスキルがオレに付與されていたとしたら?

つまり――『生きの言葉が理解できる能力』が!

「…………」

オレは微妙な気分になる。

いや、すごいとは思うよ?

の言葉がわかるなんて。

もし日本でこの能力が備わっていたら、とても便利だったと思う。

けど、ここではどうだ?

蜘蛛の言葉が理解できて、意味があったのは「見逃された理由がわかった」ってことくらいだ。

あいつがもしオレを「ウマソウ」と思ってたら、助からなかった。「あーオレって蜘蛛からは味そうに見えるんだー」って思いながらむしゃむしゃ喰われてたんだ。

そう考えると、変に生きの言葉がわかるほうが辛くね?

ダメだ。

こんな能力じゃ、この世界で生き殘れる気がしない。

やっぱり、魔法とかのほうがよかった――

「仁飼くん!」

「ひぃ!」

今度はなんだ!

蜘蛛の次は蛇か!? それともムカデか!?

オレはまた逃げようとしたが、思い直す。

今の聲、オレの苗字を呼んだ。

異世界の生が、オレの名前を知っているわけがない。

ということは……?

オレは聲がしたほうに視線を向ける。

そこにいたのは、

「小見川さん……?」

小見川いやしさん。

オレのクラスメイトだった。

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