《僕の姉的存在の馴染が、あきらかに僕に好意を持っている件〜》第四話・2
──ピンポーン。
それは、僕が香奈姉ちゃんと一緒に勉強をしている時に鳴った、家の呼び鈴の音だ。
「ん? 誰かな?」
「さぁ……。僕に言われても……」
「こんな時に、誰なんだろうね」
香奈姉ちゃんにそう言われても、わかるわけがない。
「郵便か何かかな? だけどそんなものがくるなんて一度も……」
「とりあえず、出た方がよくないかな?」
「うん、そうだね。…ちょっと行ってくるよ」
僕は、しょうがないと思いながらも一人で玄関の方に向かって行く。
本當に宅配便だろうか?
でも母からは、そんな話聞いてないし。
一誰だろうと思いながら、僕は玄関のドアを開ける。
「はーい。どちら様ですか?」
きっと奈緒さんか、香奈姉ちゃんの親友の理恵さんあたりが來たのかなって思っていたんだけど。
そこにいたのはツインテールのの子──名取沙先輩だった。
「──あれ? 沙さんじゃないですか。…一どうしたんですか?」
僕は、沙さんを見て思案げな表を浮かべる。
Advertisement
どこかに出かける予定でもあるんだろうか、彼は私服姿で、背中にはリュックを背負っていた。
それにしても、なぜ僕の家に沙さんが? しかも一人で……。
そんな疑問をよそに、沙さんは口を開く。
「楓君。ひょっとして、今、勉強中だった?」
「ひょっとしなくても、今、勉強中だったんですけど……。何かあったんですか?」
「香奈ちゃん、いるかな?」
「あ、はい。僕の家にいますけど……。どうかしたんですか?」
香奈姉ちゃんは、僕に勉強を教えに來ている。…いや、今は自の勉強をしているのか。
「それなら、ちょうど良かった。今、お邪魔してもいいかな?」
「あ、どうぞ。何もおもてなしはできないけれど」
そう言って僕は、沙さんを家に招く。
「それじゃ、遠慮なくお邪魔するね」
沙さんは、中にると真っ直ぐに二階へと向かっていった。
しかもそれは、僕が案するよりも先にだ。
沙さんは、確実に僕の部屋に向かっている。
僕は、何も言わずに沙さんについていくしかない。
Advertisement
何回か僕の家を歩き回ったから、どこに何があるかよくわかっているらしく、沙さんは、迷うことなく僕の部屋に向かっていく。
「香奈ちゃん、いる?」
そう言って、沙さんは僕の部屋のドアを開ける。
「沙ちゃん ︎ どうしたの一? …家で勉強してたんじゃなかったの?」
香奈姉ちゃんは、沙さんの姿を見て驚いた様子だった。
沙さんは、バツの悪そうな表を浮かべる。
「いや~。香奈ちゃんの言うとおり、家で一人で勉強してたんだけど、その……」
「──もしかして、わからないところでもあったの?」
「そうなのよ。ちょっと見てほしいところがあるんだけど、いいかな?」
「仕方ないなぁ。…どこなのよ?」
香奈姉ちゃんは、微苦笑して聞き返していた。
沙さんは、背中に背負っていたリュックの中から教科書を取り出し該當するページを広げると、香奈姉ちゃんに見せる。ちなみに、教科書には數學と書かれていた。
「この部分なんだけど。…香奈ちゃんなら、わかるかと思ってさ」
「いや……。これって、先生に直接訊くのが一番かと思うんだけど……」
「あの先生はダメよ。私のことをエロい目で見てくるし……」
「そんなことはないと思うんだけどな」
「私には、そういう目にしか見えないの! …とにかく、香奈ちゃんにわかるのなら、教えてほしいな」
「もう……。しょうがないなぁ~」
香奈姉ちゃんは、ため息混じりに言う。
香奈姉ちゃんの言うとおり、こういうのって先生に直接訊くのが早い気もするんだけど、沙さんの格上なのか先生に問題があるのか、それはできないらしい。
「──これはね。こうやるんだよ」
香奈姉ちゃんは、教科書に書かれている問題の答案をノートにスラスラと書き込んでいく。
「ふむふむ……」
沙さんは、香奈姉ちゃんが解いていった答案の過程を小さく頷きながら見ていた。
「ちゃんと理解してる?」
「しっかりとわかってるって。──ところで香奈ちゃんは、楓君と何してたのかな?」
そんないやらしい笑みを浮かべても、何もでないですから。
「何もしてないよ。…弟くんに勉強を教えていただけだよ」
香奈姉ちゃんは、なぜか恥ずかしそうな表を浮かべて言う。
「へぇ~。勉強を教えていただけね。…それにしては、ずいぶんと仲がいいんだね。見ていて羨ましくなるくらい」
沙さんは、僕と香奈姉ちゃんの距離が近いのを見て、いたずらっぽい笑み浮かべる。
「仲がいいって言われてもな。弟くんは、私の馴染だし。…このくらいは、いいでしょ?」
そう言って香奈姉ちゃんは、僕の腕にしがみつく。
すると、対抗意識を燃やしてきたのか沙さんまで僕の腕にしがみついてきた。
「いやいや。楓君を獨占するのはずるいと思うよ。こういうのは、分かち合わなきゃ」
「沙ちゃんには、“彼”がいるでしょ?」
香奈姉ちゃんの言う“彼”って誰のことだろう。香奈姉ちゃんも知ってる人って事だよな。
沙さんの彼氏のことなのか。それとも──。
「“彼”は、私の彼氏じゃないでしょうが! …あの人は、私の兄みたいなものだよ」
「それだったら、弟くんは私の“弟”みたいなものだよ」
「だから、私が手を出したらダメって言うの?」
「沙ちゃんは、『彼氏にするなら年下よりも年上の人』って言ってたでしょ? …だから、弟くんは範囲外だと思うけど」
「それは、そうだけどさ。でも……」
沙さんは、何か言いたげな表を浮かべていたが、結局何も言えず、言葉を詰まらせる。
そして、しばらくしないうちに──
──ピンポーン。
と、家の呼び鈴が再び鳴った。
「え……」
「誰か來たよ」
「今度は誰だろう?」
「さぁね。とりあえず出てみればわかるんじゃないかな」
「そうだね」
僕は、軽く息を吐くと立ち上がり、自分の部屋を後にする。そして、そのまま玄関の方に向かう。
「はーい。どちら様ですか?」
そう言いながら、玄関のドアを開ける。
すると今度は、二人のの子が玄関先に立っていた。
一人は髪を背中の辺りまでばしたの子で、もう一人はショートカットのの子だ。
誰なのかは、一目見ればすぐにわかる。
髪を背中の辺りまでばしたの子は矢沢理恵で、ショートカットのの子は北川奈緒だ。
沙さん同様、もちろん二人とも私服姿である。
先に口を開いたのは、奈緒さんの方だった。
「やぁ、楓君。勉強中に悪いんだけど、香奈は來てるかな?」
「香奈姉ちゃんなら、僕の部屋にいますよ。それと沙さんも來てます」
「沙も一緒か……」
奈緒さんは、なぜか殘念そうな表を浮かべる。
「沙さんがいると、何かまずいことでもあるんですか?」
「まずいことはないんだけど……。わからないことがあったから、香奈に聞こうかなって思ってさ」
「沙さんも、同じこと言ってましたよ」
「やっぱり、考えることは一緒か……」
「まぁ、仕方ないんじゃないかな。…かく言うわたしも、同じことを考えていたからね」
と、理恵さん。
どうやら、この二人も香奈姉ちゃんに用事があるみたいだ。しかもそれは、勉強のことでである。
「そういうわけだから、ってもいいかな?」
「あ、どうぞ。おもてなしはできそうにないけれど、それでもよければ」
「それじゃ、遠慮なくお邪魔するね」
「お邪魔します」
二人は、そう言って家の中にった。
今度は、僕が前を歩いて、自分の部屋まで案をする。
まぁ、何度も部屋に招いているから、そんなことをしなくても覚えているんだろうけど……。
「誰だったの?」
僕と二人が部屋にってくると、香奈姉ちゃんは、沙さんに勉強を教えながらそう聞いてくる。
僕が答えようとしたんだけど、その前に理恵さんと奈緒さんが香奈姉ちゃんに聲をかけた。
「香奈」
「香奈ちゃん」
「え? 奈緒ちゃんと理恵ちゃん。…どうして弟くんの家に?」
香奈姉ちゃんは、困した様子で二人に聞いていた。
すると二人は
「香奈の家に行ったんだけど、留守みたいだったからさ。…もしかしたらと思って、近くにある楓君の家を訪ねてみたんだよ」
「そしたら、正解だった」
「いや、正解だったって……。何かのひっかけ問題じゃあるまいし」
香奈姉ちゃんは、呆れた様子で言う。
そして、背中に背負っているリュックを見て
「…ところで、その背中に背負っているのは勉強道一式かな?」
そう聞いていた。
二人は、香奈姉ちゃんに見抜かれていたことに微苦笑して答える。
「そうそう。実はわからないところがあってさ」
「わたしも、わからないところがあるんだよね」
「しょうがないな、もう。…それで、どの辺りがわからないのかな?」
香奈姉ちゃんは、そんな二人を見て苦笑いをして返し、そう聞いていた。
結局、いつものバンドメンバーたちがこの部屋に來たのか。
まぁ、気軽って言えば気軽だけどさ。
まだマシなのは、奈緒さんと香奈姉ちゃんからけ取ったパンツの事を、誰も言わないことだろうか。
他の二人にバレたら、変態扱いをけるのは確実だ。
特にの子っていうのは、男の子のプライバシーには平気な顔をして踏み込んでくるらしいから、その辺りはホントどうにかしてほしい。
お願いだから、部屋のがされだけはしないようにお願いします。
ヘタレ魔法學生の俺に、四人も美少女が寄ってくるなんてあり得ない!
魔法__魔力を使い、何かしらの現象や事象を起こす力。 そんな力が使える世界。そこで雨宮暁は、『魔導衛師』と呼ばれる職業に憧れ、魔導學園に入學する。そこで彼を待ち受けていたのは、刺激的な學園生活だった___ 追記:タイトル変更しました。 元タイトル:『俺と魔法と美少女ハーレム』
8 153とても人気ある生徒會長の姉は、ブラコン過ぎてヤバイ(暴走気味)
俺の義姉は生徒會長をしている。 容姿もよく、スポーツも勉強も出來るので全校生徒の憧れの的となっていた。だが、唯一とても殘念なところがあった。義姉がとてもブラコンなところだった。 「和樹ー!一緒の布団で寢ない?」 「ちょ!姉さん!わかった!分かったから抱きつかないで!」 6月21日 ジャンル別日間ランキング2位にランクインしました! 6月24日 ジャンル別週間ランキング4位にランクインしました! 7月27日に9話をかなり改変しました
8 162お久しぶりです。俺と偽裝婚約してもらいます。~年下ワケあり生真面目弁護士と湯けむり婚前旅行~
☆甘辛こじらせ両片思い×偽裝婚約×溫泉旅行☆ 初戀の思い出を支えに生きる司書の葉月の前に、その相手・朔也が十四年ぶりに現れる。 美しく成長し弁護士となった彼は突然プロポーズ! だが、それは遺産を得るための偽裝婚約に葉月を加擔させるためだった。 葉月は朔也の家族旅行に同行し、婚約者を演じることになってしまう。 朔也は悲しむ葉月の唇を強引に奪ったかと思えば、優しくエスコートしてくれたり、他人の悪意から守ってくれたり。 戸惑う葉月だが、彼が何か秘密を隠していることに気づき、放っておけなくなって…。 クールなようで內面は熱くて真面目、そして若干ヘタレな年下弁護士 × 気弱なようで相手を想う気持ちは誰より強い司書 波亂ありですがわりと甘々な再會愛&初戀成就ストーリー。 隠しててもヒーローは最初からヒロイン大好き! 8/30に完結しました!
8 186Waving Life ~波瀾萬丈の日常~
※題名を変更しました。 主人公、蔭山 剣也(かげやま けんや)が多くのヒロインと引き起こす、波亂萬丈の青春ラブコメディー。 岸川 蘭華(きしかわ らんか)は、いつも一緒に遊んでいた幼馴染。 皆田 絵里(みなだ えり)は、実は小學校時代に不良の自分を救ってくれた恩人。 そんな2人から入學して僅かの間に告白される。 そして更に、蘭華は留學することになり更なる問題に直面する。 その他沢山の問題にぶつかっても挫けずに頑張る主人公やヒロイン達に注目! 多くのヒロインと関わることで、主人公の感情は変化していく! 戀愛もの好き必見‼︎ ジャンル別日間最高19位、週間65位の作品です。
8 197元豚王子VS悪役令嬢
最悪な豚王子に転生したけど痩せて頑張る王子の一途な戀愛模様--- 俺は貧乏國ブッシュバウムの第一王子に転生していたんだけど體型が見事に豚で婚約者の悪役令嬢に捨てられそうなんだ…。 だから必死でダイエットに勵みます!! 見てろよ!俺は変わる!そして悪役令嬢クラウディアにギャフンのドキュンのバーンしてやる! 女神様!流行りの悪役令嬢攻略頑張ります!
8 117腐男子先生!!!!!
全編完結いたしました。 また會いましょう。 ごく普通の腐女子と、ごく普通の腐男子が出會った。イベント會場で。 ただひとつ、ごく普通と違ったのは、二人は高校の教え子と教師だったの……でした。 2018年3月、高校卒業とともに、完結。 卒業おめでとう。 そして、ありがとう!!!!! 同タイトル書籍化→ビーズログ文庫アリスさま コミカライズWEB連載→ジーンピクシブコミック様
8 87