《僕の姉的存在の馴染が、あきらかに僕に好意を持っている件〜》第四話・5

數日が経ち、いよいよテスト當日になった。

さすがにテスト當日ということもあり、誰もこないだろう。

香奈姉ちゃんも、今回のテストは集中したいだろうし。

そう思っていただけに、家の呼び鈴が鳴った時は驚いた。

──ピンポーン。

時間はまだ朝で、學校に行く一時間前くらいだ。ちなみに朝食すら摂ってない。

僕はすぐに制服に著替え、玄関に行ってみる。そこにいたのが誰かなんて言うまでもない。香奈姉ちゃんだ。もう學校に行く準備はできているんだろう。子校の制服を著て鞄を肩に提げている。

僕が出ると、香奈姉ちゃんはいつも通りの笑顔を浮かべ、玄関前に立っていた。

「おはよう、弟くん」

「おはよう、香奈姉ちゃん。こんな朝早くに、どうしたの?」

「どうもしないよ。弟くんの事が気になって、家に來ちゃったんだ」

「えっと……」

僕は、正直驚いた。

まさかこんな時間に香奈姉ちゃんが來るとは思わなかったのだ。

どうしたものかと悩んでいると、香奈姉ちゃんは

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ってもいいかな?」

そう訊いてくる。

まだ學校に行く時間じゃないから仕方ないか。

僕は、咄嗟に「どうぞ」って言って、香奈姉ちゃんを家に招いた。

今回は居間の方に案をする。

僕も、朝食を食べないといけないからね。

「──ところで弟くん」

それは、僕が朝食のパンを食べているときにかけられた言葉だ。

僕は、パンをほおばりながら答えた。

「ん? どうしたの?」

「今度の子校の文化祭のことだけどさ。もし良かったら、私たちと一緒にまわらない?」

「別に構わないけど、私たちって?」

香奈姉ちゃんとならわかるけど、他のの子とも一緒にまわるつもりなのかな。

「いつものバンドメンバーだよ。私と沙ちゃんと理恵ちゃんと奈緒ちゃん。──昨日、連絡したらね、ぜひ弟くんと學校をまわりたいんだってさ。…ダメかな?」

「別に構わないけど……。その……」

「何?」

香奈姉ちゃんは、思案げに首を傾げる。

普通は、場券を渡してきたの子と學校をまわるんだけど。

僕とまわりたいってことは、奈緒さんたちには、場券を渡す人がいなかったってことなのかな。

この場合はどうすればいいんだろう。

「奈緒さんたちは、他の男子とまわる予定はなかったの?」

「そのことなら心配はいらないよ。──奈緒ちゃんたちね。弟くんにしか興味がないって言ってたから」

「そうなんだ。それなら安心……て、本気で僕にしか興味ないの?」

「うん。本人がそう言ってたよ。かくいう私も、弟くんにしか興味がないんだけどね」

「いや……。それって、かなり重癥なんじゃ……」

「どこが重癥なのかな? みんなの対象が弟くんに向いているだけだよ。健全だとおもうけど……」

「健全……なのかな」

「健全だよ。みんな弟くんにパンツをあげたでしょ」

「いや、あのパンツはその……なんていうか」

いや、どう考えてもおかしいでしょ。それって……。

だから4人とも、穿いてたパンツを僕に渡してきたのか。

「さぁ、弟くん。誰のパンツが一番可かったかな?」

「さすがに、その質問に答える事はできないよ」

「どうして? みんな個的なパンツを穿いていたでしょ」

そう言う香奈姉ちゃんの表からは、普段の品行方正な佇まいはどこにも見けられない。

こんな姿を他の男子が見たらどう思うか、正直不安だ。

「…香奈姉ちゃん。今日は、テスト當日だよ。そんな日に、の子のパンツの話題はちょっと……」

ただでさえ、テストに備えて勉強したのに、全て無駄になってしまう。

香奈姉ちゃんはそれを理解したのか、仕方ないと言った様子で言った。

「それもそうだね。テスト當日にする話じゃないよね。…ごめんね」

「いや、わかってくれたんならいいんだ。僕も、テストに集中できるから」

「弟くんなら、大丈夫だよ。絶対に赤點にはならないよ」

「うん、わかってる。わかってはいるんだけどさ」

僕だって、赤點をとるつもりはない。

しかし、あの香奈姉ちゃんが、テスト當日にの子のパンツの話題をしてくるなんて思ってもみなかったから、驚いてもいる。テストの話題ならわかるんだけど。

「どうしたの? 何か心配事でもあるの?」

香奈姉ちゃんは、心配そうに訊いてくる。

そんな心配そうな顔をしなくても、心配事なんてないのになぁ。

どうやら香奈姉ちゃんは、僕のことが心配みたいだ。

「ううん、特に何もないよ。香奈姉ちゃんの方は、今回のテスト、大丈夫かなって……」

「私の方は大丈夫だよ。今回のテストで赤點をとるようなら、進路もあぶないからね」

「進路って、もうそんな事考えて勉強してるの?」

「私ね。大學は、私立の方をけようかなって思っててね。今の時期から、ある程度勉強してるんだよね」

「そうなんだ。…大変なんだね」

「弟くんも、私と同じ大學に行くよね?」

「え、まだわからないけど」

「私がけようと思っている大學は、男子も子も一緒に通っている共學だよ」

「え……。それって」

「弟くんも私と同じ大學行くよね? それなら、今回のテストで赤點なんかとるわけがないのよ。いえ、赤點をとっちゃいけないんだよ」

なんか一人で暴走してる。

でも、そのことを言ったら、何言われるかわからない。…ていうか、前にもこの話はしたし。

そもそも、香奈姉ちゃんたちはまだ高校二年生だよね。進路の話はまだ早いんじゃ。

とにかく、今回のテストは、とりあえずできるところまでやってみるけど。

「まぁ、頑張ってみるけどさ。そこまで期待しないでよ」

「そんなんじゃダメだよ。弟くんは、私と一緒の大學に行くんだから、悪い點なんか取ったら承知しないんだからね!」

僕の言葉に、香奈姉ちゃんはキリッとした表になり、その場に仁王立ちになる。気のせいか、その時に放たれていたオーラがなんとも逆らいがたい雰囲気を出していた。

その迫力に押され、僕は

「わかりました。香奈姉ちゃんが恥をかかないようにしっかりと頑張らせていただきます」

そう答える。

よくわからないけど、今回のテストは、いつもどおりけていたら足元をすくわれそうだ。

僕は、軽くため息を吐いた。

正直に言うとテストの點數なんていうのは、平均點さえ維持できればそれでいい。赤點さえ取らなければ、問題児扱いされることはないし、何より目立つこともないのだから。

しかしそんな考えは、香奈姉ちゃんの一言で変わってしまった。

香奈姉ちゃんは、まだ二年生なのに進路の事を考えてテストに臨んでいる。

そんな香奈姉ちゃんから勉強を教えられてしまった僕は満點近い點數を取らないといけないじゃないか。

そんな事を考えているときに、隣を歩いていた風見慎吾に聲をかけられる。

「なぁ、今回のテスト、自信のほどはどうなんだ?」

「う~ん……。どうだろう。その時になってみないとわからないなぁ」

「やっぱ、今回ばかりは、周防も自信なしか」

「一応、今回のテストの範囲になる部分は復習してきたけど……」

「さすが周防だな。準備は萬端ってわけか」

「慎吾は?」

「俺はいつもどおりさ。平均點さえキープできれば、それでいいさ」

「なるほどね」

「…だが、あの先生はし意地悪だからなぁ。復習しとかないと、後が怖いんだよな」

「うん。ひっかけ問題も出てくるしね」

「まぁ、それでもなんとかなるからいいんだけどな」

「そうだね」

僕は、そこで相槌をうつ。

とりあえず、僕の場合はそうはいかないんだけど。

香奈姉ちゃんから勉強を教えてもらった手前、恥をかかせるわけにはいかない。今回のテストは、んな意味でプレッシャーがのしかかってくる。

萬が一にも、悪い點なんか取ったら……。

そんな事を考えるだけでも恐ろしい。

僕は、そんな事を思いながら學校にっていった。

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