《問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『霊使いで再起しました。』》

昨夜は眠りが淺かった。

ベットはふかふかで、リラックスできる良い香りが充満する部屋の中で橫になったのだが。

昨日の事と今日の事を考えたり、元の世界に殘した人達を心配すると、なかなかゆっくりと眠ることができなかった。

ハルナ自は図太い格と思っているようだが、他人の評価は繊細と判斷されることが多かった。

フウカも隣で寢ている。

霊も睡眠が必要かわからないが、今までもハルナの元で寢ていたので眠るのだろう。

そういうことで、この世界で初めての夜を、とても長い夜で過ごした。

の時間が訪れたのか、メイドがハルナを起こしにきた。

(コンコン――カチャ)

「ハルナ様、もうしで朝食のご用意ができますので、ご支度をお願いします」

「はい、ありがとうございます」

「それでは、また後程お迎えに參りますので」

そういうとお辭儀をし、退室した。

ハルナは、欠をしながら部屋に用意された服を著て、髪のを整えて準備をした。

同じ時間にフウカも目覚めて、ハルナの首元に寢惚けたまましがみついた。

丁度、支度が終わったところで、メイドがハルナを呼びに來て食堂へ案する。

食堂には既にエレーナが著席していた。

「ハルナ、おはよう。昨日は眠れた?」

「う、うん。まぁね。いいベットだし、張しちゃった」

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「すぐに慣れるわよ。それに今日は朝食の後すぐに始まりの場所まで行くからね、しっかり食べて力をつけてね!」

そういうと、すぐにテーブルには食事が運ばれてきた。

スープとサラダとパンだった。

食事をしながら、エレーナは今日の予定を説明してくれる。

まずはこの後、関所まで馬車で移し、そこから始まりの場所まで徒歩でいく。

徒歩での移の間、先日とは異なり自衛の兵隊が同行する。

契約対象者に、ケガや萬が一のことがあってはならないためだ。

そして、契約が完了次第、町に戻り契約した霊の容を確認する予定とのことだった。

食事も終わり、メイドがお茶を用意し食を片付け始める。

このお茶を飲み終えたら、出発の準備に取り掛かる。

「では、そろそろ行きましょうか」

エレーナはそう言って、席を立った。

ハルナは先ほどの部屋に案され、用意されていた外出用のローブをまとった。

エレーナはハルナを呼びに行き、一緒にエントランスまで向かう。

そこには、昨日乗った馬車が待っていた。

アルベルトが、馬車のり口で踏み臺を用意して待っている。

「おはよございます。エレーナ様、ハルナ様。お気を付けていってらっしゃいませ」

「アルベルトさん、おはようございます」

ハルナは挨拶を返してアルベルトの手を借りて、馬車に乗り込む。

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続いてエレーナも手を借りて乗り込むが、會話はない。

おかしなことに目も、合わせることはなかった。

そして、馬車のドアが閉められ馬車はき出す。

見送るアルベルトと二人のメイドは、頭を下げたままで見送っていた。

(これじゃ、手を振っても見えないわね)

ハルナは諦めた。

そして門を出て、街中をある程度走った頃、ハルナは問う。

「……エレーナとアルベルトはどういう関係なの?」

――ガタッ!

絵に描いたような揺を見せる。

「ちょっ!   バ―― な!」

言葉になっていない、エレーナの様子を見てハルナは笑った。

「エレーナは、アルベルトのことが好きなんだね」

ハルナは核心を突く。

見事なまでに耳まで真っ赤なエレーナは、すごい顔をしてハルナを睨む。

「私たちは、そんなのじゃないのよ! アルは、ただの執事で……昔からの腐れ縁なの!」

ハルナの中で、フラグが立つ。

これは完全にラブコメ的な展開になることが、予測できる。

「へー……そうなんだぁ。 今はそういうことにしておくわ!」

ハルナは意地悪に答えた。

今度ゆっくりと事聴取しようと決めた。

そんな甘酸っぱい乙の會話をしている間に、関所の門が見える道に出てきた。

ターミナルに馬車を止めると、者が降りる準備を整えてドアを開けた。

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二人が馬車を降りると、昨日の訓練所で見た指導員が一名とあの三名がエレーナを待っていた。

指導員は、お辭儀をしてエレーナに近付いてくる。

「おはようございます、エレーナ様。本日は、よろしくお願い致します」

「こちらこそ、よろしく。もう、準備はできてるのかしら?」

エレーナは落ち著いたようで、先程の顔の赤みは完全に消えていおり、行の良い顔付きになっていた。

「はい、いつでも出発可能です」

エレーナは、今回のメンバーを集めて話をした。

「皆さんがこの場に選ばれたことを、大変嬉しく思います。しかし、今日が本番です。霊様とのご縁がみなさんに訪れるように願っております。 では出発しましょう!」

「「「はい!」」」

三名は力強く返事をする。

一行は門をくぐり、町の外に出た。

そこから、徒歩で始まりの場所を目指すこととなる。

公園を抜けて、森の中にるとって澄んだ綺麗な空気だ。

ハルナはその空気をいっぱいに吸い込む。

その様子を見ていた、三人の中で一番前を歩いていたオリーブが真似をして、に新鮮な空気を吸い込んだ。

二、三回繰り返すと、不思議と落ち著いた気持ちになる。実際、張していた顔が優しくなっていた。

この三人で最年長はオリーブだった。前回は選ばれず悔しい思いをしていた。

ソルベティとアイリスは一年目にして挑戦権を得ている。そのため、見た目もすごく若い。自信に溢れているのか、失敗してもまだ後があるからか。張もなくリラックスして二人でお喋りをしながら歩いていた。

狼に襲われた場所も通過して、今までは何も問題もなく歩いてきている。

こんなに大勢で歩いていれば、大抵の生きは襲ってこないだろう。

知恵のある敵意を持った人でもなければ。

そして、一同はたどり著いた。

初めてハルナがこの世界に降り立った『始まりの場所』。

木々の間からちょうど円形のライトが當てられたように、地面のふかふかの緑の絨毯を照らしている。

枝についた葉の雫が、でキラキラと輝く。

今はまだ、あの雪のようなは降ってきてない。

これと契約については、人の力ではどうにもしようがない。

一行はし離れた場所に、荷を置いた。

指導員は三人を集め、説明をする。

「これからあなた達は、あのの當たる場所にってもらいます。霊様が現れると雪のようなものが落ちてきます。その時にあなた達は、何もしてはいけません。ただ、霊様にそのを委ねるのです」

オリーブは落ち著いているが、殘りの二人はソワソワして落ち著きがない。

「今までもお伝えしている通り、霊様がれても怖がる必要はありません。れると消えてしまう場合は、契約不立です。消えなければ立と考えてください」

指導員は淡々と伝える。しかし、ここまで來たなら功を願う気持ちは強い。もう、この場で何も教えることはできないから。

霊の意思に任せることしかできないから。

「気持ちを落ち著かせて、靜かに祈りなさい。  私に言えることはこれだけです。あなた達はあの中から選ばれたのだから……  一杯頑張りなさい」

三人は目を丸くする。

今まで、こんな言葉をかけてもらった事はなかった。

自分達に厳しく、褒められることなどなかった日々。

「……先生」

三人は今、実している。

私たちはみんなの想いも背負ってることを。

そんな姿を見て、エレーナは三人に聲をかける。

「そろそろ、行きましょうか」

「「「はい!」」」

気持ちを落ち著かせるために、三人は顔を見合わせて頷く。

オリーブは、もう一度深呼吸して不安で満たされた空気を清々しい空気にれ替える。

(――よし)

オリーブは心の中で頷いて、歩き出す。

この中で一番年上だから、この二人を引っ張っていかなければという想いで。

それに合わせて、殘りの二人も付いていく。

どうやら膝の震えも止まったようだ。

ハルナは口から心臓が飛び出してしまいそうに張している。

握った手は、もう汗まみれになっていた。

三人は、の中に到著した。

そして、緑の絨毯の中に座った。

ハルナは思い出す。

あの中にいた時の気持ち良さを。

中の三人が、その気持ち良さに気付いてくれることを願った。

森にそよ風が一つ吹く。

(そろそろ降りてくるよ!)

フウカが小さくハルナに伝える。

すると――

(あ。)

あの中で最初に気付いたのは、オリーブだった。

ふわ……

ふわふわ……

一つの白いが落ちると、次第に白いが降りてくる。

(きれい……!)

オリーブはその不思議な景に見惚れる。

そして、次第にそのは自分に近付いてきた。

思わず手のひらを出してしまう。

するとの一つが、手のひらの上に落ちた。

(わぁ、軽ーい)

オリーブは、嬉しくなる。

しかも、ずっと消えずにそのまま手のひらの上で遊んでいた。

すると、そのは浮かび上がり、オリーブの周りをクルクルと周り初めた。

そのきは、風が吹いても流されることなく自分の意思で浮かんでいた。

オリーブは、そのきのかわいさに嬉しくなる。

先程の不安は、記憶の底に沈んでしまっている。

(こんにちは)

オリーブが心の中で呟くと、そのは肩に止まった。

その様子を見ていた指導員がオリーブに合図を送る。

(そのまま、こっちに來なさい)

オリーブはゆっくりと立ち上がり、の外に向かって歩き出すした。

すると、そのはオリーブを追って付いてくる。

そのまま、オリーブはエレーナ達の元に戻ってきた。

しかし、喜んではいられない。

殘りの二人がまだ契約渉中なのである。

指導員はオリーブから目線を離し、ソルベティとアイリスを見守る。

二人はオリーブがこの場からいなくなったことに、焦りをじていた。

この狀況がいつまで続くのか、どうすれば霊に気にってもらえるのか。

もしも契約できなかったら……

不安に心が押し潰されそうになる。

呼吸が淺くなり、回數が増えていく。

「アイリス、大丈夫よ。し力を抜こう?」

小さい聲でソルベティは伝える。

アイリスは、ハッと我に返りその聲に頷く。

ソルベティは、ふと上を見上げる。

と緑の景の中に落ちてくる白いは、不思議と落ち著く事が出來た。

今までのことを思い出す。

怒られたこと、辛くてもみんなでめあったこと、協力して乗り越えてこられたこと。

決して良いことばかりではなかったが、いまは良い思い出だけしか思い出せない。

そんな中、降りてきた白いれては消え、れては消えてを繰り返す。

どれほどの時間をこの不思議な空間の中で過ごしてきたのだろう。

ソルベティはとにかく、この不思議な景を心に刻みまた絶対にここに來ようと誓った。

――――――――――

(どうして?どうして?どうして?何が悪いの?)

アイリスは時間が経つにつれ、焦る気持ちが募る。

白いは、れてくれている。

息のかかる顔の近くまで來ている。

我慢できず、白いを摑みたい衝に駆られる。

ただ、選んでもらう立場として強引な手法で恐れられては困ると、理でその行を抑える。

(あとどのくらい、時間が殘ってるの?)

アイリスはハッと、橫にいるソルベティを見る。

(目を閉じている……諦めているの?)

――私はまだあきらめない!!

アイリスの心拍數は上がっていく。

しかし、狀況に変化はない。

その焦りに反して、白いしずつ、その數を減らしてきている。

アイリスはに、力がる。

今にも泣きんでしまいたいほどの神狀態だった。

この一年、自分のことを捨ててこの日のためだけにやってきた。

顔も知らない親戚の霊使いが行方不明になり、この時がチャンスとばかりに親からも大きな期待をかけられた。

(ここで……ここで躓くわけにはいかないのよ!!!)

しかも、アイリスよりきが鈍く、績もそんなに良くないオリーブがなぜ既にこの場にいないのか?

このことがアイリスをさらに混させ、狀況を悪くさせている。

――ついに、その時は來る。

明らかに白いの數が減っていき、元の森の風景に戻ろうとしていた。

ソルベティはこの狀況をれていた。

アイリスはこの狀況に反抗しようとした。

さらに白いの數が減っていく。

それは離れてみているハルナ達にも目視で數えられるほどだった。

そして……、白いはその空間から姿を消した。

森は、一番最初に來た元の狀態に戻る。

(ありがとう、とても素敵な時間だったわ)

ソルベティは、心でつぶやいた。

一粒、白いが降りてきた。

見守っている全員が息をのんで、その行方を見守る。

ソルベティとアイリスは、自然と両手の手のひらを上に向ける。

白いは、迷うように左右に揺られながら落下する。

どちらかに降り立とうか、迷っている様子だった。

その時、森の中に風が吹いた。

白いは、風にあおられ軌道を大きく外そうとする。

――!!

アイリスは、我慢できなくなりそのを手で摑もうとし、を起こし飛び出した。

しかし、タイミングが外れ摑むことができず、アイリスはその場に倒れこんでしまった。

その勢いで生じた風は、またしても白いの軌道を変え再び舞い上がる。

そして白いは再び落下を開始した。

腹這いの姿勢でその様子を見守るアイリス。

――あ

その起がソルベティの広げる手のひらの上に落ちて行くのが見えた。

ソルベティは最後に降りてきてくれた白い謝していた。

どちらの上に落ちたとしても、諦めていた今回の挑戦に最後の希を與えてくれたことに。

そして、ソルベティは気付く。

霊は人の道ではないのだ”……と。

この世界は、様々な生が生きており誰かが優位ということではないということ。

霊との契約は、そういうことに気付けるかどうかにかかっているのではないかと推測する。

この手ひらのが消えていったとしても、そのことに気付けただけでも良かったとソルベティは思う。

手のひらを眺めると、白いはまだ存在していた。

今回気付けたことに対して、手のひら上の謝を送った。

(ありがとう……)

すると白いはソルベティの周りを周り始めた。

數回周った後に、肩の上に乗っていた。

指導員の方を見ると、頷いてくれている。

ソルベティの目に涙が溢れる。

いま、ようやく一つの目標を達する事が出來た。

アイリスは、倒れ込んだ姿勢からゆっくりと起き上がる。

ショックでびたい気持ちを抑えながら考える。

なぜ自分だけ契約できなかったのか。

他の二人より何が劣っていたのか。

自分は契約できるのだと、どこかに自信があった。

自分が一番優秀だと思っていた。

しかし、一番森の景を見ていなかった。

的なしい景を、心に寫していなかった。

それを知るには、アイリスの心はく未であったのだろう。

これは、訓練所の中でも教えては貰えなかった。

このことは、本人が気付かなければならないことだったから。

指導員はゆっくりと歩き、アイリスを迎えにいく。

アイリスはまだ下に座ったままだった。

「お疲れ様、もう終わったのよ」

アイリスに、聲をかける。

顔は俯いたままゆっくりと立ち上がり、服に付いた砂を払う。

「アイリス……」

名前を呼んで、両手を広げる。

よろよろと近付いて、その腕の中に収まり顔を埋める。

広げた両手はそっとアイリスを抱きしめた。

「……う」

腕の中から聲がれる。

指導員は片手で、アイリスの頭を優しくでた。

「うわぁぁぁぁぁぁぁあぁぁ!」

アイリスはぶように泣いた。

何も考えず、ただひたすらに気持ちが収まるまで聲を出し続けた。

これで今年の契約の儀式は、終わりを迎えた。

          

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