《問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『霊使いで再起しました。』》
ハルナ達は始まりの場所を出て、関所をくぐった門の前に戻る。
殘念ながら、アイリスとはここでお別れとなる。
アイリスは最後までみんなの顔を見ることなく、宿舎に向かう帰りの馬車に乗り込んだ。
向かう時には一緒だった二人は、心配した顔で見送る。
「きっと大丈夫よ、アイリスは強い子だから」
指導員が笑顔でそう告げた。
殘りの二名は指導員と共に次の訓練に向かうべく、訓練所行きの馬車に乗り込んで出発した。
その姿をエレーナとハルナは見送る。
しんみりしながら、ハルナは言う。
「やっぱり、ああいう場面は……ちょっと、クルわね」
「何言ってんの、あんなの毎回なんだからね! みんなが功するなんてことないんだし、毎回悲しんでたら涙なんか枯れ果ててしまうわよ!」
そういうエレーナも、目から涙が零れ落ちそうになっていて、ずっと鼻をすすっていたのだ。
「さて……と、この後からハルナも訓練に參加してもらうわよ。覚悟はいい?」
「そうだった、忘れてた!」
しかめっ面をしてエレーナは、今朝乗ってきた馬車に向かう、ハルナも合わせて橫に並んで歩いた。
馬車に揺られて、町中まで戻る。
町と門を結ぶ道を通るのはこれで、三度目となる。
おで、今どの辺りを走っているのか景でわかるようになった。
屋敷のとなりの訓練所にり、馬車は止まった。
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前に出発した馬車は既に到著していたようで、訓練所の敷地の端に馬車は止まっていた。
エレーナとハルナは、今までとは違う指導員に案され前回とは別の部屋に通された。
どうやらここで本格的な訓練が行われる様だ。
森で一緒にいた指導員とその他數名の指導員。
その前には、肩に霊を乗せたオリーブとソルベティが立っていた。
霊は森の時よりもやや大きくなっているようだ。
これからは、屬の確認となる。
まずは、元素の現化から始めることとなる。
火の屬の指導員が、手のひらで火を起こしてみる。
――ぼっ
火が燈る。
ライターの様な炎がユラユラと揺らいでいる。
「霊をじながら、今見たことをイメージしてみて」
指導員はそう伝えて、二人にやってもらう様に指示した。
オリーブは、手のひらに先程の大きさの炎をイメージして現化しようとする。
しかし、特に何も起きない。霊も反応を見せることはなかった。
次に、ソルベティが試してみる。
手のひらに、小さな炎をイメージする。
するとの中に今までにじたことのない覚が流れ込む。
ちっ……じりっ……ぽっ
――!
手のひらに炎か浮かび上がった。
「やった!」
ソルベティよりも先にオリーブが喜びの聲をあげた。
フッ……
火を起こせたことに驚いたソルベティは、頭の中が喜びので埋め盡くされる。
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と同時に炎のイメージが消えたため、炎が消えた。
「ということは、私の霊様は“火”の屬ということね」
「そういうことになるわね。……おめでとう、ソルベティ!」
指導員はそう言って、ソルベティを祝福した。
「霊の力で作る火は、普通のが燃える火と変わらないのかなぁ」
ハルナは、エレーナに尋ねる。
「同じものよ。熱いし、火傷もするわよ」
「出してる手は、熱くないの?」
「そこまでは、知らないわよ…… 私は水なんだから」
いつかソルベティに聞いてみようと思うハルナだった。
四つの屬のうち、火ではないということがわかったオリーブ。
次は、別の指導員が出てきて、同じように手のひらの上に元素を現化する。
スライムに似た、丸いぷよぷよとした粒が現れた。
エレーナと同じ水だった。
「はい、やってみて」
指導員はオリーブに伝える。
オリーブは頭の中で水の球のイメージを作り、そのイメージを手のひらに伝えた。
が、しかし何も起きなかった。
霊は何も反応を見せない。
「それじゃ、次ね」
そういって、また別の指導員が出てきた。
これがダメなら、屬は結果的に絞られることとなる。
これでハルナは今までに三つの屬をみた。
殘るはあと一屬だけだ。
指導員は手のひらを上にし、元素を現化する。
そこに現れたものは…
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(……石?)
ハルナには普通に、そこの辺りに落ちている石のように見えた。
「ねぇ、あれって石?」
「えぇ、そうよ。土の屬は 四元素の中でも風と合わせて特殊な屬なのよ」
質は気と固があり、風は気で形がない、土は固で形を持つ。
火と水はちょうど中間地點にある質とこの世界では考えられている。
ただ、これについては屬の優位差は存在していない。
巖は風を防ぐが、風が強ければ巖を削ることもできる。
水は火を消すが、火が強ければ水を蒸発させることもできる。
要は使い手の力量や使い方が左右するということになると言うことだった。
オリーブは手を出して、先程見た石をイメージする。
今回は違う反応が起きている、に力が流れ込んでくるのをじる。
そして、手のひらにコロッとしたものをじた。
――!!
「できたー!」
どうやら、オリーブの霊は土の屬だったようだ。
パチパチパチパチ!
周囲から拍手が沸き起こる。
「よかったわね、オリーブ」
森に付いて來てくれた指導員が、オリーブを労う。
「よかったね!」
ソルベティも一緒に喜んだ。
「ありがとうございます!  ありがとうございます!」
オリーブは何度もお禮を言い、頭を下げた。
そして、エレーナが次の訓練へと導いた。
「それでは、屬がわかったところで次の訓練に移りましょう」
々なものが置いてある部屋に移した。
天井から吊り下げられた、撃訓練用の的など。
パッと見てわかるものもあるが、よくわからないものもあった。
ここからは、ハルナも合流する。
エレーナは、二人にハルナを紹介した。
「し事があって、お二人と一緒に訓練させてもらうわね。
名前は“ハルナ”、屬は風よ」
紹介が終わると、ハルナの背中を押して前に出す。
「ハルナです、よろしくお願いします!」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
「よろしくね、ハルナ!」
オリーブとソルベティは挨拶を返す。
「それでは、早速訓練にりましょう。最初は簡単なものからやっていくわよ」
森の指導員が訓練の開始を宣言する。
「では、最初にやることは、持続力の訓練です」
(走るのは苦手なんだけど……)
持久走と勘違いしたハルナは込みする。
「オリーブは、屬が特殊だから別メニューでやるから、こちらに來て」
先程、土の屬を見せてくれた指導員が、オリーブと共に別なスペースに移する。
「ソルベティは、先程作ったくらいの大きさでいいから、炎を出し続けること。ハルナさんは、このロウソクの炎が消えない程度の風でこの線の向こうから揺らし続けてみて。……そうね、お互い初めは五分から初めてみましょうか?」
指導員はロウソクの乗った燭臺を、テーブルの上に乗せる。
そして、指先に炎を出してロウソクに火を付けた。
「とにかく、これが出來たら今日の訓練は終了でいいわ。頑張ってね!」
嫌に優しい笑顔が引っかかるが、とにかくやるしか無い。
「うわ!なにこれ、キッつい!」
隣のソルベティが、悲鳴をあげる。
どうやら、30秒くらいでにだるさが出て炎をキープ出來ないとのこと。
ハルナの額に冷たい汗が流れる。
思い出したのは、あの森の中での暴走した時の意識が遠くなるあの恐怖の記憶が頭に浮かぶ。
しかし、ここまで來たらやるしかないのだ。
今回は周りに助けてくれる人もいるし、何しろ訓練する人が一人でないのは心強い。
ハルナはそっと右手をロウソクに向けて、風を起こすイメージをする。
するとの中に何かが流れる覚が右手に向かっていく。
右手の手のひらから起きた風は、ロウソクに向かって吹いた。
――ゴゥ!
臺風の日にが押し返されるくらいの勢いの風が吹く。
その風はロウソクの炎を消すにとどまらず、テーブルごと倒してしまった。
指導員は目を丸くして、倒れたテーブルをみる。
そしてこの部屋がシーンとした。
なぜかエレーナは、自慢気の顔付きだった。
ハルナは、またやらかしてしまったと思いこの場を取り繕ろうとする。
「ご、ごめんなさい。テーブル壊れてないですか?……あ、床に傷がつきました?」
その聲に、一同に止まっていた時間が戻る。
「――あ、あなた。本當に初めてなの!?」
指導員が慌てて、質問する。
テーブルとロウソクを元に戻しているハルナは答えに困った。
「この子は、ちょっと訳ありなのよ。ポテンシャルは見ての通りだけど、使い方がまだまだ未なの」
エレーナは代わりに答えた。
「確かにそうですね、意図的にやっていたとしたら、々脅威をじてしまう程の威力でしたからね……」
「そうなの、力のコントロールをメインに指導してもらえると助かるわ。もちろん持続力もね!」
なぜかまた、自慢気のエレーナ。
「わかりました。し練習プログラムを改修して訓練します」
「今見てわかったのは、力の方向はイメージ出來てるのだけれど、形や力の量は雑ね」
そして、もう一度ロウソクに火を燈す。
「勢いと大きさを先程の力よりも、もっと小さくなくしてごらんなさい」
「はい、やってみます……」
手をかざす前に頭の中で、イメージを作る。
細く小さな風の管を作り、勢いはなめにする。
ハルナはまた、ロウソクに手を出して風の力を流し込む。
――ピッ
……コトン
ロウソクが見事に切れた。
しかも燭臺が倒れることなく。
「――あ」
「えぇ……いいのよ、いいの。普通は最初からこんなことできないのだから」
(私、エレーナ様とこの子にバカにされてるのかしら……)
簡単なことをお願いしているはずなのに、それ以上の作で失敗するハルナにし嫌気がさしてきた指導員だった。
そして、時間が経ちコツがある程度摑めてきた。
「あー!!  あとしだったのに、意識が揺れたー!」
ソルベティは、足を踏み鳴らして悔しがる。
コントロールの仕方は、順調のようだった。
ハルナの方は、一本燃え盡きると一時間を示すロウソクが二本目に換された頃から、徐々にコントロールができるようになってきた。
周回クエが得意だったハルナの集中力と気は、こんなところで発揮された。
「うーん、コツはつかめてきたんだけど、なかなか安定しないなぁ」
「そうね……、安定はしてきているんだけど霊からの取りが安定しないのかしらね?」
(フーちゃんが、気まぐれだから??)
「そういえば、あなたの霊様はどちらに?」
(!? フーちゃんの姿って見せても大丈夫なのかなぁ……)
エレーナに確認しようとするも、向こうでオリーブの様子を見ている。
「えっと……それは」
ハルナが話そうとしたとき、ドアの向こうが騒がしくなっている。
「なぜ、アイリスにもう一度けさせてくれないのです!?   そこをお退きなさい! フリーマスの者はいないのですか!」
の怒鳴り散らす聲が聞こえる。
エレーナも、何か異変が起きていると気付いたようで、ドアに向かって歩いていくと
バン!!
扉が勢いよく開き、一人のがってきた。
ドアの向こうでは、他の指導員が困った顔でこちらを見ていた。
「わたくしはアイリス・スプレイズの母親です! フリーマスの者はおりますか!? アイリスにもう一度、契約の儀式をけさせなさい!!」
場の空気も読まずに、すごい剣幕で要求をしてきた。
エレーナはそのに歩み寄り、眼前に立ちはだかる。
「初めまして。私はエレーナ・フリーマスと申します。本日はこちらにはどのようなご用件で?」
「貴方、フリーマス家の者ね。私はアイリスの母親で、カルローナ・スプレイズです。今回はお願いがあり、こちらに參った次第です」
相手のは先程の態度とは異なり、一旦落ち著いた口調で挨拶をした。
「で、そのご依頼とは?」
なんとなくわかってはいたのだが、念のためにエレーナは聞いてみた。
「もう一度、アイリスに契約の儀式を行って頂きたいのです」
指導員達は皆、
“えっ?”
という顔をした。
「大変申し訳ございませんが、そのご要にはお応えすることができません」
エレーナは、はっきりと答えた。
カルローナというは、目を丸くする。
「貴方になんの権限があって、そういうことをおっしゃる事ができるのか分かりかねますわね」
「當家は霊との契約に関する祭事及びその規則は、王國から依頼されて管理・実施しております。ですので、王國に背くような規則違反を行う要求に対して、お聞きれすることはできません」
は歯軋りをする。
落ち著きを取り戻すべく、懐から羽の扇子を取り出して広げた。
そしてわざとらしく、大きなため息を吐く。
「……貴方では、お話しになりませんわね。貴方の上の方はいらっしゃらないのですか?すぐにわたくしのところに來るようにいいなさい。早急にです」
そう告げると、カルローナは勝手に椅子に座り、ふんぞり返って足を組んだ。
指導員達全員は、この招かれていない客人を“敵”として判斷した。
しかし、政治的な影響や相手から理的な損害をけていないためにこちらから手を出すことはできない。
せめてもの抵抗は、エレーナからの指示以外では絶対にかないと決めた。
「……どうしたの?早く行きなさい。わたくしも忙しい中、わざわざ足を運んでいるのですよ?」
「先程の話しの容は、私も権限を有しております。これはフリーマス家だけではなく王國とも同一の認識ですので、先程回答させていただいた通りです」
カルローナは聞いてないフリをする。
「ここの家は、格上の客人が來ているのにお茶の一つも出さないのかしら?」
部屋に殺気が満ちる。指導員の霊が一斉に飛び出した。
「あら?その霊は何のつもり?まさか、無抵抗の客人を攻撃するつもりかしら?……それに、この事実はもう消せないわよ?」
エレーナはしまったと思った。
これで相手に付ける隙を與えてしまったのだ。
(いっそここで行方不明にしてしまおうかしら……)
そんな恐ろしいことさえ考えてしまった。
「どうしたのですか、これは?」
この場に、新しい聲が加わる。
「あら、これはアーテリア様。お久しぶりですわね」
カルローナは姿勢を変えることなく、アーテリアの方に目だけを向けて挨拶する。
「これは、カルローナ様。こんな貴方様に似つかわしくない場所でお會いするなんて……本日はいかがなされましたか?」
広げた扇子を畳み、アーテリアに告げる。
「今回の契約で、我が子が霊との契約が結ばれなかったと聞き、參った次第ですの。要件はもう一度……いや、明日にでももう一度契約の儀式を行っていただきたいのです」
「その理由をお聞かせ頂いても?」
カルローナの眉間にシワが寄る。
「そうですわね、理由をこちらから伝える必要は本來なら不要ですが。今回は特別ですわよ?」
アーテリアは上からカルローナを見下ろす狀態のまま、その言葉には応答しない。
「今回の儀式では三人が挑み、契約できなかったのが我が娘だけというではありませんか。そんなことは許されるはずがありませんの。ですから、もう一度契約をさせるのです。そして、必ず功させなさい」
アーテリアは顔を変えずに、今の発言に返す。
「それはスプレイズ家からのご命令ということでよろしいのですか?」
「そうよ、これは命令ですわね。格下の家が格上の家の指示に従うのは當然で自然のことなのよ」
「では、スプレイズ家は王國に対してご命令されたということで、王國にはご報告させていただきます……それでよろしいですわね?」
――!!
「先程もエレーナからお伝えしました通り、當家は王國からの命令により霊様との契約に関する運営管理を任されております。その規則に外れる行為を依頼されるということは……スプレイズ家、全に関わる問題かと思われますがいかがですか?」
カルローナの持つ扇子は、あとしで折れそうなくらいに曲がっていた。
「アーテリア。貴方、スプレイズ家に抵抗するわけね。よく分かりましたわ」
そう言うと、席を立ち睨み付けるようにアーテリアの顔を見る。
「私に霊を見せて脅した責任もとっていただくことになるわね!」
「ここは、ご覧の通り訓練所です。霊様がいることには何の問題もございませんわ」
カルローナはアーテリアを怨むようにひと睨みし、部屋を出て行った。
指導員達は部屋のドアを見つめ続ける。
握り拳が震えているものもいる。
ハルナも、塩があったらまいてるところだ。
パン!パン!
「さぁ、ぼーっとしてないで訓練を再開しなさい!時間が勿ないわよ」
アーテリアは手を叩き、止まった訓練を再開させた。
「「「はい!」」」
指導員達は、アーテリアの命令に従い訓練を再開させる。
ソルベティがハルナに近付いて來て、耳元で呟く。
「あれがスプレイズ家なのね。フリーマス家がげられているという噂は本當だったのね」
「そ、そうみたいね……」
ハルナは事は知っているが、ここは知らないフリをしておいた方が得策だと判斷した。
「ホラホラ、そこの二人!お喋りしてると訓練の容増やすわよ!」
ソルベティは”怒られちゃった”という顔をしながら、ハルナの側を離れた。
その夜、ハルナはアーテリアに呼ばれた。
          
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【注意】 この小説は、執筆途中で作者の続きを書く力が無くなり、中途半端のまま放置された作品です。 まともなエンディングはおろか打ち切りエンドすらない狀態ですが、それでもいいよという方はお読み下さい。 ある日、パソコンの怪しいポップアップ広告らしきものを押してしまった青年「藤崎啓斗」は、〈1日100連だけ引けるスキルガチャ〉という能力を與えられて異世界に転移した。 「ガチャ」からしか能力を得られない少年は、異世界を巡る旅の中で、何を見て、何を得て、そして、何処へ辿り著くのか。
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