《問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『霊使いで再起しました。』》

鳥がさえずりを始める。

テントの外の焚火はすでに消え、り口の切れ間からはの明るさが見え隠れする。

ハルナ達は、無事に二日目の朝を迎えることができた。

「ン……うーん……」

ハルナの橫で、エレーナが目覚める。

「おはよう、エレーナ。……気分はいかが?」

「ちょっと、疲れてる気がするけど……平気よ。ハルナは?」

「眠れなかったのよ……全然」

「まぁ、初めての夜だしね。仕方ないわよ」

――フッ

「――?」

ハルナは冷たい笑いで、その話題を打ち切った。

エレーナは全く、何が起きたのかわからなかった。

ハルナは、バケツの水で顔を洗う。

そのタイミングで、アルベルトはエレーナに近寄る。

「昨夜はね、かなりゴロゴロ寢相が悪くてハルナさんにぶつかってたんだよ。最初からあまり眠れなかったみたいだけど、それがさらに……ってじだったんだよ」

「――え?」

エレーナは驚く。

確かに、のあちこちがギクシャクしているじがする。

しかも、昨夜テントに向かった覚えが……ない。

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エレーナはゾッとした。

(また、やっちゃった……)

モイスティアのことを思い出す。

でも。

ハルナも同じくらい飲んでいたはず……

しかも寢不足。

(強いわね、ハルナ)

違うことで関心をする、エレーナ。

「ごめん、ハルナ!」

ここは素直に謝るに限る、と判斷するエレーナ。

「もういいわよ……私もすこし調子に乗ってたみたいだし」

ちらっと朝食の用意をしているアルベルトの後姿を見る。

「今日は、飲むの控えようね……」

「うん、そうしましょ……」

パンの間にチーズと干しを、挾んだサンドイッチが朝食。

沸かしたお湯で紅茶を淹れて、口に食べを運ぶ。

「――それでは今日は、 扇狀に引いた線の一番左側のエリアを探索しましょう」

口の中にサンドイッチを含む二人は、聲ではなく頷きで返事をする。

そして、いよいよ出発。

アルベルトを先頭にして、ハルナ、エレーナと続いていく。

早速、アルベルトは手を出して二人を止める。

ハルナはそれに気付いてサッと止まるが、欠をしていたエレーナはハルナにぶつかった。

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「――シッ」

アルベルトは音をたてないように指示する。

そして指を指した方向の地面を見るように促す。

「これは……?」

「何かの生の足あと?……いっぱいあるわね」

「この形から見ると、【ギガスベア】だな。不揃いの大きさから見ると……親子か?」

足跡の位置は、アルベルトが仕掛けたトラップの先にあるが、完全にテントが見える位置あった。

これは、狙われている可能が高いと判斷した。

テントの高さは目立つため一度戻り、一旦支柱を畳むこととした。

「……これでよし」

「またこれを持ち上げなきゃダメなのね……」

エレーナの泣き言を無視して話しを進める。

この周辺にギガスベアが生息していることが判明したのだ。

「――この生きは、通常群れを作り生活をしています。そのため、集団で狙われると厄介なことになるので各自周囲を警戒し注意するようにしてください。あと、足跡を見つけたら知らせてください」

「はい!」

一同は元の足跡の位置まで戻り、そこから先の探索を始めた。

に関しては、普通の草木は対象とせずに、薬草や食用および希な植のみを調査対象にした。

さらに奧へ進んでいくと、なども見かけるが危険度はさほど高くはなく、參考程度に記録することにした。

その後も野獣と遭遇したが、向こうが警戒しているだけで通り過ぎることもあった。しかし、それ以外の行に出る生については威嚇し退散するように仕向けたが、それでも立ち向かってくるものにはなるべくダメージを負わない程度に攻撃をした。

その際のアルベルトの剣さばきは見事なものだった。

ハルナやエレーナも、數が多い場合には霊の力で援護した。

が頭上を越えて沈む方向に傾き始める頃、ハルナ達は本日の目標を達した。

はサンプルをとり、地図上に記載した番號と一致させ袋に保管してある。

その袋は二割程度余裕が殘っていたが、今日は拠點まで戻ることにした。

往路は調査しながらだったため進行速度は遅かったが、復路は記載したものを確認する程度だったため早く帰ることができそうだ。

その予測通りに、が落ちかける前に拠點まで戻ることができた。

「それじゃ、早いうちにテント組み立ててしまいましょ。まだ、力と気力が殘ってるうちにね」

やれやれ……といった態度で、アルベルトは荷を置いてテントへと近づいていく。

「ねぇ、テントって袋狀じゃない?り口から中に風を吹き込んで、膨らましてみればどうかな??」

「それは……やってみる価値は……ありそうね」

「さすがです、ハルナさん。では膨らみましたら中にって支柱を立ててきます」

「あ、フーちゃん?」

「なぁに?」

「私が最初にり口から風を通すから、ある程度膨らんだら中にって風を起こしてくれる?」

「まっかせてー!!」

フウカは今日は比較的自由に行させてもらったようだ。そのおかげで、機嫌よくハルナのお願いも承諾してくれた。

「ねぇ、エレーナ……」

「な……なに?ハルナ?」

「……こういう時に”風使い”がいて良かったでしょ?」

エレーナはきょとんとした顔でハルナをみて、昨日のことを思い出した。

「……フフ……ウフフ……あははははは!」

二人は手を取り合いながら、笑いあった。

「さすがハルナね!やっぱりあなたは最高のパートナーだわ!!」

ハルナはエレーナが昨晩のことを気にしているんじゃないかと思っていた。

今日はしお互いの口數もなく、し違和じていた。

だがこの瞬間、その悩みも杞憂であったことが分かった。

アルベルトもホッとし、テントを組み立てる作業にろうとした……その時。

――ガサッ

テントの中で、何かが蠢く。

アルベルトは、腰に下げていた短剣の柄を握り構える。

「フウカ様はまだ、テントにってないですよね?」

念のためアルベルトが確認をする。

ハルナはその問いに頷き、フウカは肩に乗って様子を見る。

アルベルトは迷う。

このまま、テントの中に剣を突き刺して攻撃するか。それとも、その正を確認した上で次の手を考えるべきか。

ハルナとエレーナは、アルベルトの行や指示を待つ。

すると……

「……キュー……キュー」

どこからか、鳴き聲が聞こえる。

ハルナ達もその音に気が付いた。

「……キュー……キュー」

その音から想像するに、小さな生のような鳴き聲のようだ。

「テントの中から聞こえてる?」

「ハル姉ちゃん。どうやら、助けを呼んでるみたいだけど?」

「「「――え?」」」

ハルナ達には、どう聞いても鳴き聲にしか聞こえない。

「フーちゃん、何を言ってるのか……わかるの?」

「うん。わかるよ。……助けてほしいみたい。仲間……いや、親を呼んでるみたいだね」

「……そうなんだ。じゃ……じゃあ、”助けてあげるからじっとしてて”って言ってもらえる?」

「うん。伝えてみる」

フウカはテントの近くまで行き、中にいると思われる生きに語り掛ける。

「…………」

すると、鳴き聲は止んだ。

「ハル姉ちゃん、もういいよー」

フウカの聲を聞いて、アルベルトはテントのり口を探して中の様子を確認する。

そこには、小さな生きがいた。

ギガスベアの子供のようだ。

アルベルトは両手で大事に抱え、テントの中から子熊を取り出した。

ざっと見た限りでは、ケガをしている様子はない。

「なんで、この中に子熊が??」

「ハルナ……それより、近くに親熊がいる可能が高いわ」

そう忠告すると同時に、背後から大きなシルエットが現れた。

ギガスベアだ。多分、この子の親熊だろう。

三人は息をのむ。

できれば、戦いたくはない。こちらにも攻撃する意思はないし、何もしていないのだから。

ただ、話しが通じる相手ではない。

子熊に対する怒りがあるのだろう。

子熊を親に返すべきだが、ここで返すとその途端に襲われたりしないだろうか?

様々な思を考慮しつつアルベルトは対処する。

そして靜かに子熊をハルナに渡し、背中の両手用の長剣を抜いて構える。

――グルゥゴァ

親熊はうねる。

それに反応したのは、フウカだった。

「ハル姉ちゃん、なんかあたしに言いたいことがあるみたい」

「――?」

親熊は、フウカに向かって何かを告げている。

それに対して、フウカもうんうんとうなずいていた。

一つの區切りがついたと思われるタイミングで、フウカに問いかけた。

「……ねぇ、なんて言ってたの?」

「なんかね、お禮を言っていたみたい。”子供を助けてくれてありがとう”だって。そして襲うつもりはないから、剣をしまってほしいって」

「――?」

「……………………」

フウカの話しによると、ギガスベアの親子はこの周囲で生活をしていたが、人間が縄張りにってきたので警戒をしていたとのこと。

その時、子供の一頭が見當たらなくなって探していたらテントの中に子供の臭いが続いていたが、その場所は人の臭いが強いため助けに行くべきかどうするか警戒していたところ、ハルナ達が戻ってきたという容だった。

「へー……。っていうかなんで、フーちゃんの言葉がわかるの?」

「それはね……」

ギガスベアには多知能があり、そこらの本能だけで生きている野獣とは違うようだった。

自然界に対する秩序を守り、この世界を構する四元素の霊に対しては最も尊敬の念を抱いていた。

ただ、霊も様々であり、意思の疎通ができない霊もいれば、フウカのように意思の通じる霊もいるとのこと。

「……フウカ様、ひとつ聞いていただいてもよろしいですか?ギガスベアは本來群れをなして生活をしているはずなのに、なぜ単で活をしているのかを」

『仰る通り、私たちの種族は本來であれば複數の家族が群れをなしていますが、私たちはある理由があり群れから外れて生活しています』

「何かあったのですか?その理由は?」

『それは……』

『おい、そこまでだ。敵である人間と戯れることなど許さんぞ』

ハルナ達と會話をしていたギガスベアの後ろから、別の個が姿を現した。

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