《問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『霊使いで再起しました。』》

「ツヨクナリタイ、モット、モット……」

「ジブンヨリモ、ドウシテ……アイツガ……」

「ユルセナイ……ユルセナイ……ユルセナイ!」

――ハッ!!!

エレーナは、あまりの気持ち悪さに飛び起きる。

誰かを恨んでいるような夢だった。

(……誰?誰のこと??)

考えても思い當たる節が……

(――ハルナ?……私が嫌ってる?)

そんなわけはないと思いつつも、完全否定できない自分を不自然にじる。

カーテンの隙間からは、長かった暗闇が徐々にに染まっていく。

(なんで、夜が訪れるときは暗闇はを浸食していかないのかしら……夕方だって暗闇が増えていくのに最後まで明るさは殘るけど、その逆は起きないのかしら)

この世界ではまだ、判明されていないであろう疑問をエレーナは考える。

頭の中に生まれた嫌な覚を、塗り潰そうとしていた。

ベットの橫に置いている杖の先の石は、しだけ濁りを帯びていた。

やがて太は昇り切り、全てをで照らした。

結局エレーナは、そこから眠れなかった。

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だが、寢不足というわけではない。

ドアの向こうでは、家の世話をしてくれる人たちがき始めた。

今日も新しい一日が始まる。

「エレーナ、おはよう……」

「あ、ハルナおはよう。お風呂に行くの?」

「うん、じゃないと目が覚めないから……」

ハルナは寢巻のワンピースパジャマのままの姿だった。

いつも、お風呂にって目を覚ましている。

ありがたいことに、お風呂は朝と夜に沸かしてくれている。

ハルナはお風呂好きなので、この待遇はとても嬉しかった。

「ねぇ、ハルナ……」

「ん……なぁに?」

エレーナは昨晩の違和をハルナに伝えようとしたが、心臓の辺りが締め付けられるように痛む。

「……ううん、何でもないわ。またあとで、食堂でね」

「わかったぁ……あとでねー」

ハルナはひらひらと手を振り、まだ眠い目をしてペタペタとスリッパを鳴らしながら浴場へ向かっていった。

エレーナも痛んだ場所をさすりながら、自室へ向かった。

(飲み過ぎかなぁ……し控えた方がいいかしらね?)

そして、みんなが食堂に集まる。

ハルナも髪を整えて、眠気をお湯でさっぱりと落としてきた顔つきで座っている。

それぞれの前に、食事が並べられていく。

「おはようございます、メイヤさん」

「ハルナ様。しお顔の艶がよろしくなさそうなので、サラダのドレッシングには柑橘系をし多めにれております。酸味が足りない際には、追加でお持ちしますのでお申し付けください」

「ありがとうございます!」

メイヤはにっこりと笑い、後ろに下がっていった。

「……それでは、頂きましょうか」

アーテリアの一聲で、朝食が始まる。

「エレーナ、王都へ行く準備は進んでいるの?」

空腹がある程度満たされる程度に食事が進行した時期を見計らい、アーテリアは聲を掛けた。

「えぇ、順調よ。調も整えているし、今すぐ出かけても問題ないくらいよ」

「やっぱりすごいわよね。王選の霊使いに選ばれるなんて……」

ハルナは、未だにこちらの世界の基準や価値観がいまいちについていないが、王様の命令で招集されるというのは名譽なことだろうと考える。

「そうよ、凄いことなのよ。普通は聲なんて掛からないしね」

そのエレーナの目はハルナとは違うといった視線で、言葉からは棘がじられる。

「これ、エレーナ!」

アーテリアがなだめる。

「ごめんなさいね、ハルナさん」

「いえ、いいんです。エレーナもいま、大変な時期ですから……」

エレーナは最近、何かとハルナに突っ掛かってくるような言がみられる。

もしかして……と疑い、アルベルトに”そういうこと”があったのか聞いてみたが、照れながら【ない】と答えた。

その理由も話したが、アルベルトもしエレーナがピリピリしていることはじ取っていた。

最終的には、王都に行く前の張からきているという結論に達した。

だが、エレーナの心は落ち著かない。

(もう、本當にどうしちゃったのかしら……)

アーテリアは頭を悩ませる。

王都へ行くには、選抜された本人の他、二人まで連れて行ってよいことになっている。

一人はアルベルトかメイヤかマイヤのうちの一人。

もう一人はハルナを連れていく予定でいた。

本人たちにはもちろん、そう話をしてあった。

しかし、ここにきてエレーナがハルナに対して、何らかの拒否反応を示していることから考えてハルナは外した方がよいのではという考えが生まれてきた。

となると、最近ではオリーブが気にはなっている。

でも、エレーナとオリーブでの経験はないし……やはり、いつもいるハルナが最善なのだ。

この狀態が一時的なものなのか、そうでないのか……それすらもはっきりしない。

メイヤたちに聞いても特に喧嘩をしているという話を聞かない。

「もう一人は霊使いを同行させたいんだけど、どうしたものかしらねぇ……」

アーテリアはため息を付いて、引き出しの中の箱のことを思い出す。

そんな中、ある人がフリーマス家を訪れた。

――コンコン

「どうぞ」

アーテリアはドアの向こうのメイドに答える。

「失禮します。先ほど、アーテリア様に面會を求めておられる方がいらっしゃいましたが、いかがしますか?」

「――誰?」

「ティアド・スプレイズ様です」

          

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