《問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『霊使いで再起しました。』》

「それでは、ハルナさん。気を付けてね」

「はい!行ってきますティアドさん!」

「ソフィーネも、メイヤさんもお頼みしますね。……それと、ほどほどにね」

ティアドは優しく笑い、二人にハルナの安全をお願いした。

二人のメイドは互いの顔を見ずに、ティアドに挨拶を返した。

「「お任せください、ティアド様」」

なんだかんだいって、仲は良さそうだ。

ハルナは、なんで仲が悪いのか聞いてみた。

二人は全く同じ理由を告げた。

「「向こうが勝手に突っかかってくるのです!」」

特に問題も起きていないので、ティアドとハルナはこのまま放置することにした。

こう見えても、二人の息はぴったりだった。

先日のラヴィーネからの帰り道、コボルドの集団に遭遇した。

コボルド自はそんなに戦闘力は高くはない。警備兵や霊使いの初期の討伐対象としてよく依頼をける。

ただ、中には霊の力を使うものがいる。大きな數で集団で行するコボルドには霊の力を使うものがいると考えられている。

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棒や他の旅人たちから奪った裝備を持つものもいるが、練の技を持つ人間……しかも統率された集団となるなと、いくら數を集めても人間には敵わない。

そこで人間に対抗できる集団に集まり、その集団の數が上がっていく。その中心にいるのが霊の力をるコボルドだ。

遭遇したコボルドには、土の力をるコボルドがいた。

他のコボルドたちの中には、人間の裝備をしているものもいた。

ということは、どこかの人間は襲われてしまったのだ。

二人はティアドに確認し、掃討する許可を得る。

ハルナも出て行こうとしたが、ティアドに止められメイド二人に任せることにした。

結果は……圧勝。

そのきは、流れる様なきで次々とコボルドをこの世から消して行く。

メイヤは、雑兵をメインに狙っていく。

くるくると回るスカートの裾は、踴りを踴っているかの様にも見える。

危険とじたコボルドの長は、メイヤをメインに狙って礫をぶつけて行く。

が、その演舞の邪魔をすることはできなかった。

コボルドの長の止めはソフィーネが刺したが、その討伐した數は2:1でメイヤの勝利だ。

どうやら、囮かつ危険度を減らす役を買って出た様だ。

終わった後のメイヤは、息切れすら起こしていない。

とはいえ、ソフィーネもなかなかのものだったことは言うまでもない。

囮で引きつけてもらってたとはいえ、途中からは完全にソフィーネにターゲットは変わっていたが、全く問題はなかった。

二人は馬車に積んでいた樽の水で、手についたコボルドのを流し綺麗な布で水滴を拭き取った。

メイヤは、相手を何倒したかは気にしていない。

しかしソフィーネが帰りの馬車の中で愚癡愚癡とメイヤに絡んでいた。

メイヤ自は、しは技差を見せつける意図はあっただろう。

しかし、ソフィーネだからこそ安心して背中を預けることができていた。

ティアドが言うには、アレがメイヤのソフィーネの鍛え方なのだという。十分にソフィーネの、過去の格を理解してのことなのらしい。

ハルナは、関心する。

二人の強さと、そのコンビネーションに。

ハルナもいつかはこの二人の様に!と、頭にエレーナの顔を浮かべて心に誓うのだった。

「……忘れはないわね?」

ハルナは、ティアドに書いてもらった推薦狀がカバンの中にあるか確認した。

「大丈夫です、それでは行ってきます!」

ハルナは馬車の窓から、ティアドに向かって手を振る。

馬車はゆっくりと走り出す。

ティアドはその窓に向かって、手を振り返す。

今まで、こんな作はしたことがない。

自分でも驚くほど、が自然にいてしまった。

馬車は敷地の外に出て、門の角を曲がる。

そしてその姿は見えなくなった。

ティアドは、振っていたその手を靜かに下ろす。

ハルナと出會って、ティアドは充実していた。

我が娘は未だ消息が不明だが、ハルナがその寂しさを埋めてくれている。

容姿が似ているが、格はちがう。

それでも、実の娘の様に思えるのだった。

ティアドはの前で手を組んで、ハルナ達の道中の無事とこれからのことが問題なく進むようにと、目を閉じて大霊に祈った。

エレーナは、処置室に運ばれる。

アルベルトは部屋の中に荷を置いてくるとのことで、付き添ったのはオリーブだった。

狀態を確認されるが、やはりまだ指が痛む。

思い當たる節を聞かれるも、特には考えつかないと返答した。

そして話しを聞いてくれた人は、エレーナの指のどこかで見たことある指の存在に気付く。

「こ、これは……!?」

慌てた様子で、周りの人に支持を出した。

「室長をお呼びして!」

(な……なに!?一なんなのよ!)

急にバタバタと騒がしくなる周囲の気配に、エレーナは嫌な予しかしない。

オリーブもこの慌ただしさに揺し、エレーナの服の端を摑んだままだった。

しばらくして、ひとりのが連れられて部屋にってくる。

そのは、アーテリアよりは一回り歳上なのだが、その振る舞いと容姿は老いを全くじさせないしさがある。

長くばした髪の前髪が片目を隠して、妖艶なしさに拍車をかけている。

そんながエレーナ達の前に立つ。

「――手が痛いんだって?」

エレーナはボーッとその姿を眺める。

「……?」

は、不思議そうな顔でエレーナの顔を見る。

「痛みは……治まったのか?」

は再度話しかけて、エレーナはようやくそのことに気付く。

「え!?あ、はい。……いえ、まだズキズキしてます!」

「ふーん……その割には元気に見えるけどねぇ」

(言えない……!エレーナ様は見とれてただけなんて……絶対に言えない!?)

息を飲み込み、オリーブは心の中で呟く。

「ちょっと見せてみなよ、手」

「あ。はい!」

差し出しだ手を、そのは手にとって眺める。

エレーナはそのことに、何故か照れて耳が真っ赤に染まる。

オリーブに関しては、釘付けにするその振る舞いをただ眺めることしか出來なかった。

そんな二人を余所に、はエレーナに告げる。

「ふーん……この指、アーテリアのやつのかい?」

「え?そんなこと見てわかるんですか!?」

エレーナとオリーブはこのしいが、かなりの能力を保有する人ではないかと推測した。

「ん?……お前はラヴィーネからやってきた、アーテリアの娘のエレーナじゃないのか?この書類には、そう書かれてあるが?」

「――あ」

エレーナは、別な理由で顔の赤みが増した。

「まぁいいさ、それより……」

そのは、指れてじとる。

(これは……霊が暴走してるの……か?)

は目を閉じて考える。

「ふむ……そうか」

目を開けて、はエレーナに指示を出す。

「おい、ちょっとこのまま力を見せてみろ。あ、そんなに無理しなくいいぞ。そこのコップに水を注ぐだけでいい」

はエレーナの指れたまま、反対の手でコップを差し出した。

エレーナは左手の人差し指をコップの中にれ、恐る恐る水を注ぐ。

――!

「痛くない!ありがとうございます!」

喜ぶエレーナに対し、は告げる。

「當面お前は、霊の力を使うことを許さん。この【ハイレイン・ミカ】の名において……な」

          

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