《問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『霊使いで再起しました。』》

「な……何なのだ、お前たちは!」

次から次へと、ハイレインの想像を上回る事態が起きている。

ディグドはそんなハイレインの様子を、ケタケタと笑う。

「ハイレインってば、案外”頭でっかち”なんだよね。この子たちみたいに、起きたこと素直にけ止めれるだけで楽になるのにさ!」

「そうは言っても、こんなにも常識の範疇から外れた事案などそうそう無いものだよ……」

そういってハイレインは肩をすくめる。

「そうだね……僕はこの”霊”が気になるね。君は、契約しているのかい?」

ディグドは、フウカに向かって聞いた。

「うん……ハル姉ちゃんとは、繋がっているよ」

「そうか、では、この契約者は霊使いなんだね」

「普通、人型の霊なんていないんだ。何十年に一度見かけるけど、それは霊ではなくて人に懐いた妖の場合が多い」

ハイレインが、話しを付け加える。

「それで、君も……」

「フウカだよ」

「……失禮、名前があるんだね。じゃあ、フウカも霊の力は使えるのかな?」

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「使えるよ!」

そういうと、軽く部屋の中に風を通した。

ハイレインの機の上にある書類が、散らばってしまった。

「ほう!これはかなり優位だね。霊自も力を扱えるなんて!」

ハイレインは飛びそうになる書類を手で押さえながら、フウカの力に驚く。

「その反面、霊自に何か起きると契約者自も危なくなるから、そういう場面はないかも……ね」

ディグドは落ち著いて、その問題を指摘する。

それは実際にモイスティアで起きていた。

ヴェスティーユの攻撃からフウカが守ってくれた時、フウカの消滅でじた、二度と験したくないあの痛み。

ディグドはきっと、そのことを言っていた。

「あの、妖様も力を使えるのですか?」

そう質問したのは、新たな存在への遭遇に興味津々なオリーブだった。

「あ。もしかして、霊と妖の違いを知りたいのかな?……いいよ、ほら」

ディグドはそういうと、片手を前に出し石の粒を作り出した。

「——こんなじでいいかな?」

「有難うございます、霊様」

「ディグドでいいよ……その呼ばれ方は、なんだかむずいし」

「ところで、霊と妖の違いってあるんですか?」

今まで、黙って話しを聞いていたエレーナが問いかける。

「そうだな……その説明はこの私からしよう」

ハイレインが機の席から立ち上がり、ゆっくりとこちらに向かって歩き出す。

ディグドはハイレインの肩の上に乗った。

霊は自然界に存在する四元素から自然発生した意識だけの生命のような存在なのだ。その”存在”は、気にった人と契約をしその者に元素を元に自然の力を現化する能力を與えてくれる……これは、霊使いになるための講習で初期に習う容だ」

ハルナだけはそんな話しは知らなかったが、ここは知っている振りをすることにした。

「契約者はその力を使うに辺り、霊と”チャネル”と呼ばれる管のようなもので繋がれる。それにより霊から得た元素を契約者に渡し、その力を現化している。霊自は自然界では不安定な存在のため、存在の強い生きに頼りながら生きていく必要がある。……これは私の主観だが、霊なりの共存共栄の手段なのかもな」

その肩の上で、ディグドはそれで問題ないと頷いている。

「ということで、霊にも自我があることは理解してもらったと思う。それ以前に、自分の契約霊と一緒に居ると薄々じていたことだろう?……ここには例外が一名いるがな……」

ハイレインはハルナのことを、いたずらにちらっと橫目で見る。

霊は契約者と一緒に居る時間が長いほど、経験や実績を蓄積していく。そんな中、稀にだが契約者と話せたり、人型を形したりするものが出てくる。……それが、進化なのか、突然変異なのかはわかっていない」

オリーブもエレーナも所々で聞きたいことはあるが、今はそのタイミングではないと黙って続きを聞くことにしている。

「普段何もない場合は、生きには壽命がある。もしくは、霊使いとして活できなくなり、霊との契約を事前に解除する場合がある。霊には意識の存在のため壽命という縛りはない。通常は、始まりの森の時のように、契約が不立と同じく元素となり消えていく……一部の存在を除いてな」

「もしかして……それが」

エレーナが、言葉を挾む。

「そう……。その存在が稀に霊となり、この世界に殘ることがある」

「それじゃあ、ディグドさん……いや、ディグド様も誰かの霊だったんですか?」

間髪れずに、この質問をしたのはハルナだった。

自分がいなくなったときに、フウカはそういう存在になってしまうのか。

一人ぼっちにさせてしまう可能があることに、不安になった。

「そうだよ。僕の契約者は、……えっと、確かいまはお妃だっけ?」

「間違っていませんよ、ディグド。”彼”は、今のお妃の契約していた霊でした。私たちのパートナーでもあり……アーテリアたちのライバル的な存在でもあったはず。こちらが勝手に思っているだけかもしれませんがね」

アーテリアとオリーブは、ここで初めて理解した。

ハイレインは、前回の王選に選ばれた霊使いであることを。

「ということは、お二人はお母様をご存じ……?」

「あぁ、知っているよ。とても、聡明で責任の強い方だった。……その責任に押しつぶされていた時期もあったようだが、今では隨分と良くなったようだと聞いているよ」

そういって、アーテリアからもらった書狀を、ヒラヒラと見せた。

「……と、そろそろこの場も慣れた頃かな?」

とディグドは、ハイレインの肩から飛び降りた。

そして、ハイレインとハルナ達が向かい合う丁度真ん中なの位置で浮遊した。

「それでは、聞こうか。どうして僕がこの場に呼ばれか、その理由をさ」

「そうだったな。……実はこのエレーナの霊のことなのだ」

ハイレインは、今までの流れと思いついた疑問點とその確認した結果をディグドに伝えた。

「……なるほどね。ということは、エレーナの霊と話してみる必要があるね」

「——え?そんなこと、できるんですか?」

「エレーナ、ディグドは出來なければこういうことを言わないんだよ」

ハイレインはまたも、妖しい悪戯な片目でエレーナに微笑む。

「……さてと。じゃあ、その奧に引っ込んでいる君を引っ張り出すか!」

そういうと、ディグドはエレーナの中にっていった。

          

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