《問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『霊使いで再起しました。』》
ハルナは小さな祠のり口が見える広場の中に立つ。
先日書簡で屆いた、見極めの通知に記載があった指定された場所だ。
今回は、エレーナやメイヤなど誰の同伴もは許されなかったためハルナ一人で來ている。
ここは城の敷地にある、山が崖のようになっている場所に祠はある。
り口の周囲に蔓や草は生えているが、綺麗に整えられている。
広場の中には小さなテントが設置され數段の臺になっており、一番高い位置には王が座る椅子が用意されていた。
二人はその前方に立ち、王が登場するのを待っている。
そこに騎士団長が登場し、この場にいる全ての者に向かって告げる。
「グレイネス王のご登場である!」
ハルナも周囲の人にならい頭を下げ、片膝を付いて王が登場するのを待った。
テントの橫に敷いているカーペットの上を歩き、王が登場する。
その後ろには王妃とハイレインが王の後ろに続いた。
王は段差を一段ずつ上がり、用意された椅子にゆっくりと腰掛けた。
「皆の者、頭をあげよ……」
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その言葉に一同が顔をあげ、王の姿を見つめる。
ハルナとリリィは、騎士団長から立ち上がるように指示された。
その様子を見守り、王は二人に聲を掛けた。
「二人とも、よく來た。これからお前たちが王選に參加する霊使いに相応しいかどうかを見極めを行う。その資質を我々に存分に見せてしい」
「はい!」
二人は王の言葉に対して、返事をした。
「――これより王選候補者となるための見極めを開始することをここに宣言する!」
グレイネス王は、この場にいる全員に対して見極めの開催を宣言した。
王の後ろに立っていたハイレインが、前に出てきて二人に告げる。
「これからお前たち二人はあの祠の中にってもらう。祠の奧に進むと臺座の上に水晶が置いてある、その水晶を見事持ち帰ってみせるがいい」
「両者、前に出て祠のり口まで……」
騎士団長の後に続き、二人は祠の前に立つ。
「それでは、これより祠の中にってもらう。もし、何かあれば自分の判斷で行してもらっても構わない。もちろん協力してもよい……が、その結果についても自で考えて行してほしい……以上だ」
ハルナはハイレインの言葉が、分かったような分からないような気持で頷いた。
「それでは、祠の中へ!」
ハルナとリリィは、その掛け聲とともに祠の中へっていく。
ゆっくりと薄暗い祠の中を進むが、まだり口からるで何とか足元が見える。
祠は隨分と奧まで続いている。中の空気はっており、気がにまとわりつく。
通路の奧には左右互に壁に備え付けられたろうそくの炎が揺らいでいるが、奧に進んで行くにつれり口のが屆かなくなり、ろうそくの炎の明かりの間にらない場所は足元も見えない。
ひたすら、ろうそくの炎を目印に進んでいくだけだ。
その間、二人は張のせいか何も話していない。
ただ、足音だけで近くにいるお互いの存在は確かめ合っていた。
「リリィさん……大丈夫ですか?」
ハルナは一緒に歩んでいる、人に聲を掛けた。
「え、はい……大丈夫です」
「この先、あとどれぐらいあるのかわかりませんけど、気を付けていきましょうね」
その言葉に対して、殘念ながら返答はなかった。
ハルナはそのことを気にせず、足元に注意をしながら進んでいく。
奧には、うっすらと明るい部屋がみえてきた。
「あそこに……今回の水晶がある場所かもしれませんね!」
ハルナがそう告げると、リリィは急に走り出した。
「リリィさん、危ないですよ!?」
そういってハルナも、リリィの後を追って走っていった。
明かるい部屋に近付くにつれ、その部屋の様子が見えてくる。
(ハァ、ハァ……)
ハルナはようやくリリィに追いついた。
息を整えながら、空間の中を見渡す。
部屋自は大きく、育館のような高さだった。空間はドーム狀に丸く削られてできていた。
壁には大きな壁畫が描かれており、大霊と大竜神が描かれている。
中央の祭壇に、左右の燭臺の明かりに照らされた水晶玉が臺座の上に置かれている。
あれが今回ハイレインから指示があった、持ち帰るべきものなのだろう。
ハルナは辺りを見回す。
この神的な空間に心を奪われているのもそうだが、何か罠が仕掛けられている可能もある。
ハルナは、ハイレインの言葉が気になっていた。
”――協力してもよい”
今回はどちらかが落とされる、試験のようなものだ。
それを見極めるためのものであるはずなのに、”協力”とは?
もちろんハルナとしては、相手を蹴落としたり競爭したりではなく協力し合って達する方がどれだけ気が楽か。
今までのエレーナ達との旅もそうだった。
しかし、今回はどちらかが落とされることになる。
王選に參加すること自は、特に強い思いれはない。
推薦してくれたティアド、協力してくれたアーテリアたちへの恩返し。
そして何よりも”エレーナと一緒に旅をしたい”という思いの方が強かった。
そんな中で、この流れに乗ってここまで來た。
これも何かの運命なのだろうと、ハルナはこれまでのことをけれてきたし努力した。
きっと、この先に関わったみんなが幸せになれる何かがあるのだと信じて。
その直後、リリィは突発的な行をとる。
何も用心せず、水晶が乗った臺座まで近寄りそこに手を掛けようとしていた。
「――ちょ、ちょっとリリィさん!?」
ハルナはリリィの行を止めようとしたが、間に合わなかった。
その途端、ハルナの目の前を白い霧が覆う。
視界は、僅かな時間のうちに奪われる。
「リリィさん!?」
ハルナはリリィの安否を確認するために、名前を呼んだ。
しかし、それに対する返事はまたしてもなかった。
徐々に霧が晴れて、視界が広がり始めた。
ハルナは、リリィの姿を探す。
だが、目の前には信じられないものが見えた。
――ド、ドラゴン!!
霧の中から現れた大きな生きは、水晶を大事に抱えてハルナ達の前に鎮座してこちらを睨んでいる。
          
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