《問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『霊使いで再起しました。』》
ハルナは暗闇の中を急ぎ足で進んで行く。
まだ、フウカとのつながりが持てないため、モイスの能力の外には出ていないのだろう。
壁のろうそくの間隔も徐々に短くなっていき、足元も徐々に確認できるようになってきた。
ハルナが探しているのは、リリィの姿だった。
無事に外に出てくれていればいいが、途中で何かあって倒れていたら……
モイスは実際のには、問題がないと言っていたが心が耐えることが出來なかった場合のことを考えると怖くなる。
急ぎ足により呼吸がれ始めたころ、床に倒れている人影らしきものが見えた。
ハルナは走って、その人影に近寄っていく。
その人はうつぶせの狀態で倒れている。
ハルナは念のため、そのを返し顔を確認する。
「――リリィさん!」
こういう時には、無理に揺さぶってはいけない……以前學校の、救急訓練で習ったことがあるのを思い出した。
肩を何度か平手で叩くも覚醒しない。
しかし、このまま置いておくわけにもいかない。
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「フーちゃん、フーちゃん!」
「……姉……!ハル姉ちゃん!やっと繋がった!」
「ごめんね、それより外に行って人を呼んできて!ハイレイン様でもいいから!」
「う……うん、わかった!」
フウカは、出口の方に向かって飛んで行った。
離れて行するが、この祠の中では問題ないだろう。
ハルナはリリィを背負い、ゆっくりと出口に向かって歩いていく。
「お……重い……」
リリィは細めなじだが長が高めで、ハルナの筋力と格では重くじる。
そんなリリィを背負いながら、ハルナは隨分な距離を歩いてきた。
が、そろそろ限界に近づいてきた。
膝がガクガクとし、リリィのを押さえる腕も力が抜けてくる。
それでもまだ、出口は見えてこない。
と、その時――
「……のー、聞こえますかーハルナ殿ー!」
遠くから、ハルナを呼ぶ聲が聞こえてくる。
左右に互に並べられたろうそく以外の炎が遠くに見えた。
遠くに見え始めた炎は數が増えて、ガヤガヤとした騒音も大きくなり始めた。
「――いたぞ!!」
どうやら向こうも、ハルナの姿を見つけてくれたようだ。
ハルナにもようやく人の影が確認できるようになり、その距離はまっていく。
フウカが先にハルナに近寄ってきた。
「みんな來てくれたよ!」
「ありがとね……フーちゃ……」
最後まで言いかけて、の力が抜けていく。
ハルナのが崩れ落ちかけて……
――ガシッ
ハルナの腕に摑まれたがした。
「大丈夫ですか、ハルナ殿!」
助けに來てくれた騎士団長にハルナは返事をしようとするが、言葉にならずただ頷いた。
そこでハルナの意識は途切れた。
(う……うーん……)
ハルナは、ゆっくりと目を開けると、見たことのない部屋で眠っていた。
をゆっくりと起こし、周りを見回す。
カーテンの外は暗く、どうやら外は夜のようだ。
(ずっと眠ってたのね……)
隣のベットにはリリィがいた。
じっと観察すると、ゆっくりとお腹が上下している。
どうやらリリィも靜かに眠っており、無事のようだ。
ハルナは掛っていた布を橫に避けて、ベットの淵に腰掛けた。
並べてあった、靴を履きなるべく音がしない様にゆっくりと立ち上がる。
扉も靜かに開けて、外に出た。
出ると廊下が続いていた、どうやらここは城の中の一室のようだった。
廊下の突き當りの通路を、仕事中のメイドが橫切る。
メイドはハルナを見つけ、こちらに寄ってきた。
「ハルナ様、お目覚めでございますか?おの調子はいかがですか?お食事は採れそうですか?」
そういわれてお腹がすごく空いていることにハルナは気付いた。
「あの……それよりも、どのくらい眠っていたのでしょうか?」
「ハルナ様は、昨日の夕方より眠っておられましたよ。今はその翌日の夜でございます」
「ということは、丸一日寢ていたってことですか!?」
「はい、そうです。王より目覚めたらお知らせするように言われておりますが、それよりもハルナ様たちの調を優先させてほしいとのことでしたがいかがしますか?」
目覚めてから時間が経つにつれ、活するための栄養がなくなっていることに気付く。
まず、食事を採りたいことを伝えた。
「先程のお部屋にしますか?それとも、別な場所になさいますか?」
そう聞かれて、ハルナは部屋の中でまだリリィが眠っていることを思い浮かべる。
「あの、別の部屋でお願いできますか?」
「では、食堂に準備いたします。もしよろしければ、浴場も準備できておりますのでそちらを先にいかがでしょうか?」
「ありがとうございます、そうします!」
メイドはにっこりと微笑み、ハルナを浴場まで案した。
ハルナは浴し、を洗った。
ラヴィーネでったお風呂よりさらに豪華なお風呂。
流石、國を治める王の城の中にある浴場だった。
當然この浴場は、來賓者向けの浴場だ。見栄えもよくしなければ、威厳も保てないのだろう。
長風呂を好むハルナであったが、空腹と疲労によりのぼせ気味になりすぐに浴槽から出てしまった。
別室にあるミストサウナのような部屋も気になるが、今ると絶対に倒れてしまう自信があった。
フウカからも、の巡りが良くないと指摘をけたので早々にあがることにした。
食堂に案され、テーブルについた。
目の前に置かれた、冷たい白いスープが置かれさっそく口に含む。
「おっいしーい!」
白いスープは、冷製ヴィシソワーズだった。
元の世界でもあったが、さすがお城の料理人が作る料理だ。
多分、元の世界では食べることのできないほどの料理人なのだろう。
次に出てきたのは白ワインとオイルの効いたビネガードレッシングのサラダと、ベーコンとアスパラガスなどの野菜がったレモンの香りのするスパイシーなパスタが出てきた。
空腹のハルナのに、負擔のないメニューにしてくれたようだった。
それらを良く味わい、ゆっくりと噛んで食べていく。
そろそろ食べ終わるハルナの席の前に、一人のが訪れる。
「お目覚めになられたのですね、ハルナさん」
ハルナは今口に含んでいたものを、飲み込んでその聲の主に顔を向ける。
「有難うございます。ご心配おかけしました、王妃様」
「こちらこそ無理をさせてしまったようで、ごめんなさいね……」
王妃はハルナに向かって、頭を下げた。
ハルナは急いで手にしていたフォークをテーブルの上に置いた。
「お顔をあげてください!こちらこそすみませんでした、途中で倒れてしまって……しかもこうやってお城の中で休ませて頂いてますし」
「ハルナさんは……キャスメルから聞いていた通り良い方ですね」
頭をあげて、ハルナににっこりと微笑んだ。
「キャスメルさんから?あ……そうですよね、王妃様ですものね」
「こういう時は普通に、ローリエンとお呼びください。わたくしも、ハルナさんと同じ霊使いでしたのよ」
ハルナは思い出す、ハイレインの近くにいた妖が元霊でその契約者が妃だったことを。
「そっか、ディグドさんの契約者って……」
「そうです、私でした」
ハルナはこれで、前回の王選の霊使いほぼ全員に會ったことになる。
いろいろ聞きたいこともあるが、今は自粛した。
「あ。フウカちゃん、王妃……いや、ローリエンさんにご挨拶なさい」
フウカが姿を現し、ハルナの頭の上に乗った。
「まぁ、これもハイレインから聞いていましたが……とってもかわいらしい霊様ですね!」
多分お世辭だろうと思うも、フウカを褒められて悪い気はしなかった。
「はじめまして、フウカです!」
ローリエンは、張しているフウカを安心させる笑顔で挨拶に応えた。
「フウカ様ですね。初めまして、ローリエン・エンテリア・ブランビートと申します。これからよろしくお願いしますね!」
ハルナはその様子を、さすが王妃様だなと思いながら見守る。
ハルナは、壁に掛けた時計をみて驚く。
今は、夜中の二時だった。
「え?こんな時間なの?」
「はい、ハルナさんとリリィさんがずっと眠っていらっしゃったので心配しておりました。大切な霊使いのに何か起きた場合は王國の損失ですし、その家の方々に申し訳がありません……」
後でこっそりメイドの方に聞いたところ、目が覚めたら起こしてもらうように頼んでたとのことだった。
「とにかく、今はゆっくりと休んでくださいね。城の中の施設は自由にご利用いただいて構いませんので、ご不明な點はメイドにお申し付けください。リリィさんもには問題がないようですので、目が覚めるまでこちらで対応しますのでどうぞご心配なく」
ハルナはローリエンの配慮にお禮を述べて、また部屋に戻ることにした。
長く話しをしていると、多忙なローリエンの休息時間を削ってしまうことになる。
「それでは、また明日」
「ローリエンさん、有難うございました!」
ハルナは、用意してもらった別の部屋に移しまた眠りについた。
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