《問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『霊使いで再起しました。』》

翌朝、疲れが殘っていながらも、ハルナは早い時間帯に目が覚めた。

前日は一日中寢ていたし。夜中にはほんのししか目を覚ましていなかった。

じっとしていることに、が悲鳴をあげ始めていた。

ハルナはを起こし、カーテンを開ける。

ハルナの泊った部屋の窓からは、立派な中庭が見える。

フリーマス家の中庭もすごかったが、さすがは王が住む城。

広さもしさも、この世界に來る前も含めて全てにおいて一番だった。

その様子をベットの端に腰かけて、しばらく景を眺めていた。

頭の中には様々なことが浮かんでは消えていく。

王選のことが始まってから、様々なことがハルナのに起きている。

エレーナのこと、ルーシーとクリエの言っていたこと、急に候補者の見極めに參加するようになったこと……

その回想の途中でフウカが起きてきた。

が、まだ眠気が取れていなかったため、ハルナの両ひざの上で重ねた掌の上でまた眠ってしまっている。

「ふぅー……」

ハルナはため息に似た息を吐く。

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久々に落ち著いた時間を過ごしている気がする。

しかし、ノック音でその時間も終わりを迎える。

――コン、コン

昨夜出會った方とは違う、他のメイドがやってきた。

「失禮します。……お早い時間に申し訳ございません、リリィ様が先ほど目を覚まされました」

昨夜、リリィが目を覚ましたら起こしてもらうようにお願いをしていたのだ。

モイスから聞いていた話もあったので、どういう狀況になっているか気になっていた。

呼びに來てくれたメイドにお禮を告げ、リリィのところに案してもらうようにお願いをした。

ハルナはメイドの後を付いて行き、リリィと一緒に寢ていた部屋に通してもらった。

メイドはノックした後に、ドアを開ける。

それに続いて、ハルナも部屋にった。

リリィはベットの上で、上半を起こしていた。

よく今の狀況が理解できていないようで、何とか考えようとしている様子だった。

そんな中、ハルナはリリィに聲を掛けた。

「リリィさん……大丈夫ですか?」

そう聲を掛け、ベットに近寄っていく。

リリィは一瞬、誰から聲を掛けられたか分からなかった。

しかし、ゆっくりと報が整理されていき、何が起きたのか・何をしてしまったのか。

數珠つなぎにあの記憶が蘇る。

「ハルナさん……ごめんなさい……ゴメンナサイ!!!!」

「大丈夫ですよ、大丈夫!!」

ハルナは、リリィが何を謝っているのかを分かっていた。

ひたすら謝って、泣きじゃくる。

ハルナは、リリィの上半を抱き締めてリリィを落ち著かせた。

ひとしきり泣いて、落ち著いてきたところでハルナは種明かしをした。

あれはモイスのスキルによって、見せられていた幻の世界。

だからこそ、今こうしてハルナはリリィをめているし、リリィの足も何の問題もない。

神的負荷をかけ、どういった判斷をするか見たかったようだった。

「……ひどい話よね?トラウマになっちゃうかもしれないのにね!?」

ハルナはリリィの代わりに、怒った。

リリィはきょとんとした顔で、ハルナのことを見つめる。

「――どうしたの?」

ハルナはリリィに聞いた。

リリィは首を橫に振り、応えた。

「いえ、何でもないです……」

――グゥ

ハルナのお腹が鳴る。

急いでハルナはお腹を押さえた。

リリィは、ハルナの顔をみて笑う。

ハルナもその様子を見て、つられて笑った。

すると、先ほどのメイドが話す。

「ハルナ様、リリィ様。お食事の用意が出來ておりますが、いかがしますか?一度ご浴されてからになさいますか?」

その問いかけに、真っ先に反応したのはハルナだった。

「リリィさん、ここのお風呂すごいんですよ!一緒にりませんか?」

リリィはその提案を、喜んでけた。

ハルナはメイドに、浴場まで案してもらえるようお願いをした。

お願いされたメイドは、ハルナの願いを快く引きけてくれた。

「うわぁ……本當に広ーい!」

お風呂も溫泉のようで、ぬるめのお風呂もあった。

ハルナは、疲れ切ったには高溫のお湯は危険だと言って、ぬるいお風呂に浸かるようにリリィに指導する。

そして、二人は一緒にぬるめのお湯に浸かった。

「リリィさんってスラっとしてて、うらやましいですね……」

「え?そんなことないですよ!?」

「リリィさんのこと背負ってたから、わかるんです。でもいま、それが本當だってわかりました」

「は……ハルナさんだって、おきれいじゃないですか。私なんて、結構カサカサになりやすいんですよ……それに」

「それに?」

「私、その……ぽっちゃりしたじの、とっても憧れるんです!うらやましいですよぉ」

「それなら……とっかえっこしてほしいですよ」

二人の楽しそうな笑い聲が、大きな浴場に響く。

が程よく溫まり、リリィの気持ちも落ち著いてきたようだった。

「ハルナさんって、とっても強いんですね……」

「そ……そんなことないですよ!だって、リリィさんを運ぶとき、何度か落としそうになったし……足なんてガクガクしてましたよ?」

その言葉を聞いて、リリィは吹き出した。

「違いますよ!そういう強さじゃないんです……私は……弱かったです……弱かったんです……」

し、暗い顔をするリリィ。

「リリィさん……」

リリィは、手ですくったお湯を顔に何度か顔にかける。

「でも、もう大丈夫です。私決めました、……今回の件、辭退します!」

「え?」

「本當は、王選には出たくなかったんです。コルセイル伯母様に言われて參加しただけなんです」

「そ……それ、言っていい話なの?」

しだけ事を知るハルナは、リリィを心配する。

「いいんです……もう。霊使いは、王國の役に立ちたくってなったから。……もう、自分に噓をつきたくないんです!」

そう語るリリィの表は、先ほどと違ってとっても生き生きとしていた。

          

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