《問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『霊使いで再起しました。』》

「準備はいい、ハルナ?そろそろ出かけるわよ!」

エレーナの気合に押されそうなハルナ。

見極めの際には付いて行くことが出來ず、その際に大変なことが起こっていたと聞いたときには、大切な時に助けてやれない自分をエレーナは責めていた。

ハルナが城から戻り休養している間、エレーナは話し合い手になってくれた。

どちらに転んでも結果はれるつもりだが、合否判定を待つ間というのはどうにも気持ちが落ち著かなかった。

「絶対大丈夫よ!見極めで起きた話を聞くと、ハルナが絶対有利だしリリィも辭退するって言ってくれたんでしょ?今日はきっと、その報告よ」

エレーナはそういうが、ハルナはその言葉に何かの”フラグ”が立った気がしていた。

意気込んで、馬車に乗り込むエレーナ。

今回はメイヤとソフィーネの代わりに付き添うことになった。

ここに至るまでには、ハイレインに必死にお願いをし何とか許してもらえたのだった。

馬車は進んで行き、進行方向の小さな窓からはお城の姿が確認できた。

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「うわぁ……いつ見ても立派よね。中も素敵だったわよね!」

「もしかして……お城にりたいがためについてきたんじゃ……」

ハルナは、エレーナを見つめる。

「ば……ちょっ!そ、そんなことないわよ!?」

揺を隠しきれてないエレーナを見て、ため息を付く。

「……でも、こういう時にエレーナが傍にいてくれて心強いわ。ありがとね」

ハルナは素直な気持ちを、口にした。

エレーナは、ポーっとした顔でハルナを見る。

「……エレーナ、どうしたの?」

エレーナはハッと我に返る。

「いや……いや、何でもないのよ!?」

エレーナの耳と顔は真っ赤に染まり、外に聞こえるくらい心臓の鼓が強くなっていた。

そんな二人のやり取りをよそに、馬車は城の敷地へとっていた。

二人は馬車を降り、そのまま玉座の間へと案された。

今回は、王宮で務める霊使いがハルナ達を案してくれた。

そして玉座の間に著き、エレーナは來賓席という一般席へ、ハルナは王座の前に用意された椅子に腰かけた。

隣には既に、リリィが到著していた。

「ハルナさん、この前はどうも有難うございました!」

「リリィさん、調もよさそうですね。ほんの二、三日しか経ってないですけど、隨分前のようにじますね!」

遠くからその様子を見て、エレーナはし機嫌が悪くなる。

(仲が良さそうじゃないのよ、ハルナ!)

手にぎゅっと力がっている。

「……って、何イライラしてるのよ。私……」

自分を恥ずかしく思っているエレーナ。

そして、玉座の間に張が走る。

「――グレイネス・エンテリア・ブランビート王のご場である。一同敬禮!」

席に座っていた者たちは、一斉に立ち上がり頭に手を當てて敬禮する。

王、王妃、王子二人と騎士団長、王宮霊使い長が並んで室する。

王たちは玉座に腰を下ろし、室を見渡した後に片手を挙げる。

「一同、敬禮止め!」

一般客席と、ハルナ達は著席するように指示された。

「それでは、先日行われた”王選候補者の見極め”を行った結果を本日ここに発表する!」

騎士団長は、全を見回しながら告げた。

「リリィ殿、ハルナ殿……両名、王の前へ」

リリィとハルナは席を立ち二、三歩前へ歩み、王の前で片膝を立てて跪いた。

「二人とも、面をあげよ」

王に言われ、二人は王の顔を見る。

「今回の見極めの試練、ご苦労だった。これにより、お主たちの王選參加の候補者としての資質を十分に見ることができた。參加してくれたことに禮を言う」

二人は、王の言葉に頭を下げた。

「それではこれより、今回の見極めにより見事、権利を勝ちとった者の名を発表する!」

発表までの數秒間、音が消えた。

大きな広間で大人數いるが、誰もが息をこらえ王からの言葉を待っていた。

「……”リリィ・ミヤマエン”に正式な王選參加の権利を與える!」

會場がざわめく。

本來の推薦者から、異議申し立てでその権利を奪ったことに功したためだ。

正直なところ、どちらが選ばれようが構わないのがほとんどの貴族たちの考えだ。

今回は、王國が取り決めた容に異議を唱え、それに対して立させたことが貴族たちにとっては大きな出來事だった。

それをあのガストーマ家が、やって見せたのだ。

失敗すれば、王家から睨まれることになり貴族としての稱號をはく奪されるのではという噂が広まっていた。

他の貴族は別にそれでもかまわなかった。

一人ライバルが減るだけのことなのだ。

だが、ガストーマ家はそれを功させた。

その事に対してのざわめきが今も止まずに、玉座の間を埋め盡くしている。

コルセイルを見ると落ち著いてるが、表はその喜びを隠しきれていなかった。

「――靜まれ、靜まらぬか!」

この場を取り仕切る騎士団長が、聲をあげて制する。

そして、この場が再び落ち著きを取り戻す。

この場にいる全ての者が証人となるべく、その頃合いを見計らい騎士団長は言葉を告げる。

「それでは、これより確認を行う。……リリィ・ミヤマエン、お主は正式な王選參加者となるべく見極めを行い、それにより國王より辭令を賜った。このことに対して何か申したいことはあるか?」

この場にいる全ての者の意識が、この質問への返答に向く。

リリィはこの問いに対し、まず立ち上がった。

そして目を閉じて、に手を當てる。

息を吸い込み閉じた目を開け、玉座に座る王を見つめて……

「このお話し、辭退させていただきます」

――!!!

この場において、二度目のざわめきが起こる。

周りからは、”信じられない!?”といった聲があちらこちらから聞こえてくる。

「王よ、リリィは今、揺をしておるのです。このような大役を前にして、気が転しているのです!」

そう告げたのはコルセイルだった。

だが、その言葉に対してリリィは落ち著いた言葉で返した。

「王の決定に謝しておりますが、ぜひお話しを聞いて頂きたく思います……」

リリィは真剣な眼差しで、王を見つめる。

その視線に応えるように、王は発言を許可した。

「……よい、申すがいい」

リリィは、その言葉にお辭儀をして語り始めた。

「私は今回の件で、自分自の未さを知りました。霊使いとなってから、王國に貢獻すべくその努力を行ってきたつもりでしたが、まだまだ自分には足りないところが多いのです。これでは、王選において他の方に迷をかけるだけでなく、大切な王子様へも安全にお守りできるかもわからない狀況です」

この場のざわめきが消えて、全ての者がリリィの言葉に耳を傾けている。

ここで、王の隣にいたローリエンが告げる。

「……リリィ。お主では、この任務は荷が重いと申すか?では、隣にいるものならどうなのだ?」

リリィは一度ハルナの顔を見て、ローリエンの問いに笑顔で答える。

「はい、私では荷が重すぎます。ですが、このハルナさんなら問題ないと思っております」

その発言に、會場が再びざわめく。

「リリィ、お前は――!!」

我慢が限界に達したコルセイルは、席を立ち怒鳴った。

「お前は自分の家がどうなってもいいっていうのか?ここでお前がここで斷ると、今まで……今までの努力が無駄になるんだよ!」

と、その瞬間コルセイルに向けて何者かが矢を放った。

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