《問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『霊使いで再起しました。』》

コルセイルがむものは、ガストーマ家の再興。

その一念で、二十年近い今までの人生の全てを費やしてきた。

家庭を持つことも、その他の幸せもまずに、コルセイルは全てをそれに費やした。

ようやく、再興のための協力者が得られそうな地位につながりを持てる……そのはずだった。

しかし、目の前のはそのつながりを斷とうとする。

コルセイルはその行いに対して、我を忘れて立ち上がり聲を荒げる。

「お前は自分の家がどうなってもいいっていうのか?ここでお前がここで斷ると、今まで……今までの努力が無駄になるんだよ!」

コルセイルは無意識に、リリィの方へ向かって歩き出す。

その時、一般席の中かからコルセイルに向かって矢が放たれた。

エレーナはその様子が見えており、その矢を阻止しようとしたが人が多く距離もあるため狙いが定まらない。

(危ない!!)

エレーナがそう思った瞬間……

ガギッ!

矢がいものに當たり、弾かれた。

ディグドだった。

ディグドが、石の壁を作り矢をコルセイルから防いだ。

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狙われたコルセイルは、何が起きたのか理解していない。

周りにいた警備兵が、矢を放った男を取り押さえる。

ローブの袖の下にクロスボウが仕込まれており、足元には毒のった瓶が転がっていた。

床に転がった矢じりには、同じ毒が塗ってあるのが確認された。

この騒で、玉座の間が一気に騒然となる。

「落ち著いて、皆さん落ち著いて!」

騎士団長が、この場にいる全員に落ち著くように聲を掛ける。

中には、この中が危険とじて逃げ出そうとする者もいたが、警備兵はそれを抑えて席に著くように指示する。

ハルナは、前方からエレーナの無事を確認しホッとする。

その視界の端に、何やら怪しいきをしている人を見かけた。

貴族の席の場所にいるその人は、落ち著きがなく、オドオドしている様子だった。

この部屋で起きているパニックではなく、別なことを心配している様に思えた。

今までこの世界で見てきた”勘”がそう告げていた。

男は左腕を前に出し、狙いをコルセイルに向けている。

(――あ、マズい!)

そう思った瞬間、ハルナはコルセイルとリリィの周りを竜巻で壁を作る。

それと同時に、男の袖から矢が飛び出してコルセイルを狙う。

が、ハルナが作った竜巻の壁に當たり、そのまま天井に突き刺さった。

二度にわたる襲撃に、警備兵も信じられないといった様子だった。

しかも王の目の前において、起きた出來事だ。

ただ、今回は妖霊使いによって大事に至らなかったことは幸いだった。

取り押さえられた男は、意味不明なことを言っていた。

その顔にハルナは見覚えがあった。

「あ。あの時、取り調べをしていた……」

ハルナの言葉が聞こえたステイビルは、前に歩んでその顔を確認する。

「ふむ、余もその顔に見覚えがあるぞ。その男、怪しいな……」

そういうと、騎士団長を一目見る。

騎士団長は頷いて、警備兵へ告げた。

「その者たちを、連れていけ!」

コルセイルは揺する。

警備兵に連れていかれようとしている男は、先日までコルセイルの元でこの王選の候補者を送り込むために協力していた男だった。

「な、なぜお前が……私を裏切ったのか!?」

男は、コルセイルを見て馬鹿にした様な聲をあげて笑う。

そして、そのまま兵に連れていかれた。

「今回の見極めの発表については、一旦解散とする。結果は別途、報告いたします!」

騎士団長はそう宣言すると、會場にいる者たちが一斉に退室し始めた。

「エレーナ!」

退室しようとするエレーナに聲を掛けたのは、ハイレインだった。

エレーナは退室する人の流れから外れ、前の方にいたハイレインの元へ歩いていく。

「どうされました、ハイレイン様?」

「うむ、これから重要な話になると思う。お前も殘ってその話しの容を知っておくがいい」

「え?いいのですか?」

「ぜひ、ハルナの傍にいてやってほしい」

そう言われて、エレーナは急いでハルナの近くに寄る。

「ハルナ!大丈夫だった?」

あまりにも急激に事が進み揺しているハルナは、その聲に自分を取り戻す。

「エ、エレーナ!!何が起きたのか、さっぱり……あの男の人は地下室で尋問をけた人だよね?」

「そうね……だけど、コルセイルっていう人を狙っていたみたいだし、私も狀況整理が追いついていないのよ」

バタン

関係者以外の者が、全て退室してドアが閉められた。

ここにいるのは、王、王妃、王子、騎士団長、王宮霊使いの長、ハイレイン、リリィ、コルセイル、エレーナそしてハルナだけになった。

そこで、まず聲をあげたのはグレイネス王だった。

「まずは、コルセイル殿を守ってくれた、ハルナ殿には禮をいう……」

「いえ……そんな。當然のことをしたまでです」

ハルナのその言葉に、隣にいたローリエンが微笑んだ。

「――次にリリィよ、もう一度問うぞ。先ほどの辭退の件は、お主の本心か?」

リリィは一度コルセイルに目線をやり、もう一度王に向き直して答える。

「はい、その通りです」

「その理由を聞いても良いか?」

「元々、王國に貢獻できるような霊使いを目指していましたが、今回の見極めにより、世間にはもっとふさわしい方がいることを知りました」

ローリエンが今の言葉に対して、リリィに問う。

「それは、あなたが王國に貢獻できるような霊使いになることを諦めたということ?」

「違います。それについては諦めていません……ただ、今はその実力がないことを今回の件で実したのです」

ローリエンはその答えに満足そうに頷いた。

「コルセイルよ……お主はいま、このリリィの話しを聞いてどう思っておるのか?」

「……わかりません」

コルセイルは下にうつむいたまま、王からの問いに答えた。

「そうか……そろそろ、お主には今までの本當のことを話した方がよいだろう」

グレイネス王は王妃とハイレインに目配せをし、二人とも王にお任せしますと言わんばかりに首を縦に振った。

          

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