《問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『霊使いで再起しました。』》

翌日、霊使いたちはまたハイレインの部屋に集められた。

今回は、付き添いの向も許可されている。

招集された容は、もちろん付き添いにも伝えてあった。

それが”裝合わせ”ということも。

ハイレインのメイドが、裝ケースを並べる。

そして、昨日の従者がハルナを見て頷く。

ハルナは昨日のうちに、全員に伝えていた。

”ハイレインの持ってくる裝に決して驚かないように”……と。

當然、その前のやり取りは隠して。

運んできた裝ケースが並べられ、メイド達はお辭儀をして退室する。

「さぁ、この中から気にったものを選ぶといい!」

そういうと、ハイレインは嬉しそうに裝ケースの上にかぶせてあった布を一気に引き抜いた。

「……」

「うわぁ!」

「素敵!」

「うわぁ……」

それを目にした、四人の反応は様々だった。

それは、あのハイレインなら絶対に著なそうなこてこてのロリータドレスだった。

中には、ゴスロリと呼ばれるジャンルのものもある。

ハルナは思い出した。

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フリマで、周りから似合わないから止められていたのに、自分の好みだと購して一度も袖を通していない服が並べられていたことを。

まさに、そんなじの裝ケースの並び方だ。

ただ、一人だけ大はしゃぎしている人がいる。

クリエだった。

はこの中で一番長が低い。

系はスリムではなく、どちらかというとハルナよりだった。

夢のような服を見て、目の輝きが止まらない。

「こ、これ!これ著てみていいですか!?

笑顔でにっこりと答える、ハイレインはクリエのはしゃぎ合に満足しているようだ。

エレーナはエレーナで、今まで自分では決して買うことのない服を目の前にして考していた。

この中で一番の拒否反応を見せていたのは、ルーシー。

(あ…ありない!?)

いつも、機能的な面と威厳を保つために軍用の制服を著用していた。

ソルベティも、同じような格好をしている。

どうやら、エレーナも決まったようだ。

裝ケースの服とアクセサリーを何點か持って著替えに行った。

ハルナも、心を決めたようで裝を持って著替えに行く。

ルーシーを見守る、ハイレイン。

その表は、し寂しげから怒りに変わる手前の表だ。

「……悩ましいのはわかりますが、そろそろお決めにならないと」

そう、フォローするソルベティ。

「え……あ、そうですねいろいろあり過ぎて迷っちゃって……」

(なんで私だけ!?)

そんな思いも浮かんだが、ルーシーは名案を思い付く。

「ハイレイン様。このステキな裝をこのソルベティにも著用させたいのですが……?」

――そう、道連れである

ハイレインの片目の表が、不機嫌から明るい表に変わるのがわかる。

「あ、あぁ。もちろん、構わないとも!」

その返事を聞き、ソルベティのがピクッといた。

ルーシーは、ホッとをなでおろす。

「さ、許可がでたわ。あなたも選ばさせてもらうといいわ」

は変えずに勝ち誇った口調で、ソルベティに告げる。

ようやく二人も、裝を選び著替えるために退室した。

しばらくして四人の著替えが終わり、ハイレインの部屋に戻っていく。

そして……

――ぶぅふぉ!

ハイレイン思わず、口から吹き出してしまった。

クリエの姿が、ピンポイントにはまったらしい。

し長めのスカートで肩とスカートの裾にふくらみがあり、白いタイツで登場する。

クリエは系のためハルナにはぱっと見で、お姉ちゃんのおさがりでの七五三かピアノの発表會に見えた。

今回のサイズはエレーナやルーシーたちの格好に合った裝ばかりでクリエには大きすぎたのだった。

しかし、ハイレインは大喜びだった。

「うむ、いいぞ!そのままでも私は構わないが、サイズを合わせた方がよさそうだな……」

なさそうにそう告げると、呼ばれたメイドがサイズをするために測りに來る。

次にハイレインが目を付けたのが、ルーシーだった。

嫌がっていた割には、一番似合っていた。

オフショルダーのワンピースドレスにアームカバーを付けており、大人の雰囲気が漂う容姿だった。

エレーナはワンピースで肩から元にかけてふわふわした素材が付けてあった。

袖はなく、ワンピースで丈は足首が見えるまでの長さだ。チョーカーと黒いリボンのカチューシャを付けている。

足元は紐で縛っているブーツだ。

ソルベティは、よくあるスカートがふんわりした素材で上半がしっかりとした作りになっているワンピース。

薄手の生地を使ったボレロを羽織っており、その姿はルーシーにも負けていない。

ハルナは、よくあるワンピースを選んでいた。

しかし、それだけではとメイドの方が帽子を選んでくれてそれなりの格好にはなった。

これで、ようやく全員の裝が決まった。

オリーブも勧められたが、今回の主役はエレーナということで上手く回避することが出來た。

エレーナも初めてのファッションに興気味で、オリーブが斷ったことにホッとしていた。

「よし、全員の裝が決まったようだな。後はこちらに任せてくれればいい。では、當日を楽しみにしていてくれ給え!」

一同は部屋の外へ出て、元の服に戻ろうとする。

その前にエレーナは、アルベルトの元へ行った。

「ねえ、アル。どうこの格好?初めてなんだけど、似合う?」

と、アルベルトの前でクルッと回って見せた。

そんな言葉が聞こえたハルナは、アルベルトの顔を見た。

すると、そんなに表は変えていないが拒否反応のオーラが漂っていた。

だが、アルベルトもハルナの真剣な視線に気付いたのか、元まで來ていた言葉を飲み込み答えた。

「あ……良いんじゃ……ないかな?」

「えへへへ!そう思う?私もちょっと気にってるんだ!」

そういって、エレーナは元の服へ著替えに部屋を出た。

その後を追っていくようにハルナも付いて行くが、その前にアルベルトに禮を言った。

「有難うございます……ああいう時は褒めてあげた方がいいんですよ」

「面倒な格ですね……」

「ふふふ。でも、きれいになるのはアルベルトさんも嬉しいでしょ?」

「(ゴホン)……まぁ、だらしないよりはいいですね」

「それでも、ああいう風に言ってあげてくださいね」

「わかりました、なるべくそのようにします」

その言葉に納得をして、ハルナも著替えようと先を急ごうとした。

だが、どこからか強い視線をじる。

(……な、なに!?)

見渡すと、廊下の途中に”アドバイス”をくれた従者がハルナのことを見ていた。

恐る恐るハルナは近づいていく。

そして、近くなったころにハルナから聲を掛けた。

「あの、昨日は……有難うございました。おかげで、ハイレイン様にも納得いただけるような裝選びができました」

と、お辭儀をした頭をゆっくりとあげながら、相手の顔を見る。

「――はっ!あ、ハルナ様。わたくしあなた様のような原石に気付かず、その量を見誤っておりました。これまでの失禮、お許しくださいませ!」

「え?な……どうしたんですか?顔をあげてください!」

ハルナは慌てて、相手の背中と肩に手を當てて深いお辭儀を正そうとした。

顔をあげたとき、そのの顔は至極の笑みを浮かばせていた。

「あぁ、ハルナ様はなんてお優しい……こんな穢れたわたくしにも手を差しべてくださるなんて」

ハルナは心の中で引いていた。

この、怪しい薬でもやっているんじゃないかと。

その思いをぐっと抑えつつ、に問う。

「どうしたですか?何か昨日と、様子が違うようですが……」

するとは、待ってましたとばかりに答えた。

「昨日もハルナ様の興味にわたくしも、大いに共するところがあり、もっとお近づきになりたいと思っておりました。ですが、今日の裝合わせにおいて、群を抜くファッションセンスを見た時にわたくしの全てを奪われてしまいました……」

「あ……ありがとうございます」

ハルナはかろうじて、返事をする。

「いえ、ハルナ様からお禮など勿のうございます!……あ、あの。できましたらハルナ様のシモベとして使って頂ければと思い……」

「え!?……あの、シモベとかではなく……その協力者とかお友達とかでいいんじゃないでしょうか?」

「あ……え……いいのでしょうか?」

「も……もちろんですよ!」

そう言って、笑顔を作って見せる。

心は、踏んじゃいけないものを踏んだ気持ちにもなっていた。

「ところで、まだお名前お伺いしてなかったですよね?」

は急に姿勢を正し、に手を當て片膝を付き頭を下げる。

「わたくし。エフェドーラ家のマーホン……”マーホン・エフェドーラ”と申します」

「マーホンさん、それじゃこれからよろしくお願いしますね!」

「こちらこそ、お任せください!」

挨拶をわすと、ハルナはやや足早に著替え部屋まで急いだ。

背中には、尋常じゃない汗が流れていた。

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