《問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『霊使いで再起しました。』》

「ハルナ様、今日はどちらにおでかけですか?」

「ハルナ様、食事の用意が出來てございますのでいつでもお申し付けください!」

お披目パレードが終わってから、従者からハルナ達の待遇がし変化が見られ始めていた。

どうやら、人気投票が火付け役となって施設の貴族の間でもハルナ達を応援する流れが自然と生まれてきたようだ。

覚的には、自分の好きなアイドルを応援しているじなのだろう。

ハルナの場合は、マーホンがファンクラブ會長を務めてくれているので、加熱し過ぎない程度の応援でハルナも安心して応援をれている。

中庭では、アルベルトとソルベティの弟シュクルスが模擬戦を行っていた。

は全て木製で、ラウンドシールドとミドルソードを付けての模擬戦を行った。

何度も打ち込むシュクルスに、アルベルトは冷靜に剣だけで弾いてゆく。

しかも、最小限のきで切り込み角度に対しても最も効果的に弾いていく。

シュクルスは弾き返されるたびに、が流れそうになるのを必死に堪える。

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でなければ、アルベルトから一撃を喰らうことがわかっていた。

だが、次第にが流れ始めるのがわかる。

――マズい

そう思った瞬間、シュクルスのに強い衝撃が走りは吹き飛ばされていた。

どうやら、盾でを突き飛ばされたようだった。

「……立てますか?」

アルベルトが、シュクルスに対して話しかけた。

「大丈夫です……何とか……立てます」

その隣で見ていた、ソルベティもアルベルトの強さは舌を巻くばかりだ。

「次は、私もお願いしてよろしいでしょうか?」

そういって、ソルベティはシュクルスの道け取るが、ラウンドシールドはけ取らなかった。

いつも腰に下げている父の形見の剣より軽い木製の剣を數回振って、そのを確かめる。

準備を終えたソルベティは、アルベルトと対峙する。

「ソルベティ・マイトレーヤ……お願いします!」

ソルベティは、両手で剣を持ち切りつける。

盾を意識すると、片手で剣を扱わなければいけなくなる。

そうすると、攻撃する力がらなくなる。

非力な部分を、剣のスピードと霊の力で補うようにしていた。

そのため、ソルベティの剣は切るのではなく刺す方に特化していった。

だが、アルベルトに通用するレベルではなかった。

霊の力を混ぜればそれなりに勝負になったかもしれないが、今回はソルベティから剣の扱いについてお願いをしていた。

當初はメイヤに稽古をお願いしていたが、多忙であることと技差があり過ぎるためメイヤが時々訓練しているアルベルトでということになった。

「……それでは、ここまでにしておきましょうか」

「は……はい、有難う……ございました」

息を切らしながら、ソルベティはアルベルトにお禮を言う。

その様子ずっと眺めていたルーシーは、思い出す。

今回の王選での付き添いにぜひ連れて行ってほしいと懇願するソルベティの姿を。

今はフレイガル(火の町)を任されているセイラム家に仕えているが、元々は王國直下の警備兵だったソルベティの父親。

またいつか國王の下で父に代わり、お役に立ちたい。

その強い思いに惹かれて、今回ルーシーの推薦でソルベティとその弟を一緒に同行させた。

當然、フレイガルの中で反対の聲も多かった。

旅の途中で、ルーシーや王子を守れなければセイラム家の大きな問題となる。

だが、これからの時代には新しい考えを持つ人材が必要だとルーシーは考えた。

とくにソルベティの”霊使い兵士”という二つの役職を掛け合わせた部隊を作るという目標に、ルーシーは惹かれたのだった。

そこからソルベティは腕を磨き、様々な知識をに著けた。

腰に下げた剣の重みをじながら、努力し続けていた。

クリエは、パレードで著用したドレスを部屋に飾って眺めていた。

案外気にったらしい。

ハイレインは、寸法も低長のクリエに合わせて直したため、そのままクリエにあげることにした。

なにより、それ以上にハイレインとしては良いものを見ることが出來た報酬のつもりだった。

クリエはその裝を、とても気にっていた。

一日一回は袖を通そうとしていたため、カルディはそれを止めた。

案外著用も面倒で、それを手伝わされるのは辛いものもあった。

カルディは、毎日著ると汚れてしまうのと破れてしまう可能もあると説得をし、眺めるだけに止めてもらった。

カルディは、順位のことを気にしていないかクリエに聞いた。

すると本人は、まったく気にしていないとのことだったので、それ以上のフォローは不要と、いつも通りに接しようとした。

しかしクリエの顔を見ると、目は真っ赤になっていた。

その姿を見て、思わずカルディはクリエを抱きしめた。クリエはの中で、聲を押し殺して泣いていた。

カルディはその間、ずっとクリエの頭をなでる。

悔しくないはずがなかった。

これから競う四人の中で、一番下だったから。

今までの自分と向き合い、変えていくと誓って參加した王選。

弱かったクリエが、自分の意思で參加を決めた。

そこからカルディも、何とかクリエのためにアドバイスをしてきたのだが、他人の評価だけは自分で何とかするしかない。

最後まで良いところも見せることができず、クリエはただこの結果をれるだけしかできなかった。

「お母様、見てくれた?私、二位だったのよ!」

人気投票の件では、あの虹は結構評判が良かったようだ。

あの日からずっと、エレーナはその喜びを噛みしめていた。

「それって、私が教えてあげたおかげじゃないの?……何にせよ、よかったわね。おめでとう、エレーナ!」

アーテリアもわざわざ喧嘩になるようなことは避け、ここは素直に自分の娘の結果を認めてあげることにしていた。

それでも、同じことを何度もずっと言われ続けるのは親であってもキツイものがあった。

そろそろ、次の話題でも起きないかと思っていたその時。

――コンコン

ノック音が鳴る。

オリーブがドアを開けると、そこには従者が立っていた。

「アーテリア様はこちらでよろしかったでしょうか?ハイレイン様より、お言付けをお預かりしております」

その聲を聞き、アーテリアはドアまで顔を出した。

「アーテリア様ですね。王妃様とハイレイン様が明日、お城でのお食事を希されておりますがご都合はいかがでしょうか?」

それは、前回王選參加者の同窓會の招待だった。

          

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