「なるほど……そういう経緯がだったのか」

騎士団長は、アリルビートの説明に頷く。

「確かに、やり過ぎなじはするな……だが、勝負をけてやられてしまったことについては自己責任ではある」

騎士団長は、ソルベティの顔をチラっと見るがその表は崩していない。

「実力差を見誤って挑むことについては、実際には生死に関わる。何か策があったとしても、それが通用するのかどうかを事前に見極めておかなければならない。そのために我々は腕を磨き知識を増やし、日々鍛錬しているのだ」

騎士団長は強い意志で、ハッキリと告げる。

國を守るということは、こういうことも必要なのだ。

「騎士団長様、騎士には階級があるとお聞きしました。先ほどの方はどのくらいの実力をお持ちの方なのでしょうか」

アルベルトが問う、それは今の自分の実力を測るためでもあった。

「うむ……あの者たちは、はついているのか？」

騎士団長は隣の男に、確認した。

「いえ、あの者たちは一般騎士（アイアン）です」

騎士団には、四つの階級が存在する。

最も下の階級は一般騎士（アイアン）と呼ばれ、命令に従い行する騎士だ。その中でも、十の位が存在する。

次に銅騎士（カッパ―）と呼ばれる階級は、最大十名程度の小隊を任される。

次に銀騎士（シルバー）と呼ばれる階級は、通常二百名程度の中隊を任される。

最後に金騎士（ゴールド）と呼ばれる階級は、最大二千五百程度の大隊を任される。

最上階級として、騎士団長が存在する。

騎士団は、主に警備隊や兵士から希者が試験をけてることが出來る。

実力の他に、ある程度の作法や知識も必要となってくるが、合否は総合的に判斷されることが多い。

よって、知識や作法については騎士団にってからにつけるものも多い。

アイアンの階級では、その辺りの各個人のレベルの差が開きすぎている。

団當初は腕っぷしだけで果をあげる者も多いが、それ以外を磨かないものはやはりそれ以上うえに行けないのが通例だ。

「騎士の中には、地位や力だけをしているやつも多い。上の階級からの命令さえ聞いていれば何の問題もないのでな」

「……そういうやつの中には、自分の考えを理解してもらえずに厳しい”指導”をしてくる上もいる。その憂さ晴らしで新しくってきたものや、弱いものを”指導”するってことですか？」

アリルビートは、し嫌味を込めて騎士団長に聞いた。

「そうだな、そういう考えで行している奴がいることは否定せんよ……ただし」

「ただし？」

「上を目指すものは、そういう者たちをも従わせることができる者でなければならないのだ」

「確かに……そうですね」

アリルビートは騎士団長が何を言わんとしているか、理解を示した。

この場にシュクルスが戻ってきた。

騎士団長は、シュクルスの合を伺った。

「もういても大丈夫なのか？」

その気遣いにシュクルスは、申し訳なく答える。

「はい。ご迷をおかけして申し訳ありませんでした」

「そうか……無事ならばよかった。今度からは、相手の実力をみて挑むようにするのだな……自分の命が大切ならばな」

「お願いが……ございます」

「ん？なんだ？」

「騎士団の訓練に參加させて頂けないでしょうか？」

騎士団長の橫にいた男が、シュクルスの発言に驚いて告げる。

「な、何をバカなことを……先程自分自で、その実力差を見たであろうが！？」

「無理を承知でのお願いです。どうか、どうか……」

シュクルスは必死に頭を下げる。

それを見ていたソルベティもお願いしたい気持ちがあったが、ソルベティが頭を下げたところで何の効力もないのはわかっていた。

それに、ここは一人の男として自分の信念を貫き通すことが必要だとじたため、手助けは不要と判斷した。

その必死の態度をみて、騎士団長はシュクルスに告げる。

「シュクルス……と言ったか？お前はなぜそこまで、騎士団の訓練をけたいのだ？この者が言った通り、全くお前の実力では敵わなかったではないか。それに今ここで、どうこう判斷が出來る訳ではないが、その理由くらいは聞いても問題ないな？」

「はい……私の父は、王國の兵士だったと聞いております。今の母と一緒になる時にフレイガルへ移住し、その町の警備隊に所屬しました。父は町の警備で魔に襲われて、他の仲間を助けるために命を落としました。い頃の話ですので父の記憶がないのですが、そんな父が希した騎士への思いを引き継ぎたいと思っています」

ソルベティはその言葉を聞き、そっと剣の柄をれる。

騎士団長は機の上に両肘をつき、顎の下で手を組んでシュクルスの話しを真剣あ眼差しで聞いていた。

聞き終わると、目を閉じて一つ深呼吸をする。

「……よし。希する理由は分かった。だが、今ここでの返答はできないので、し時間を頂きたい。構わないな？」

シュクルスは、に手を當てて上半を折って禮をする。

「騎士団長のお心遣いに謝致します……」

「で、他の二人はどうなのだ？冷靜を裝っていても、気持ちが抑えられていないぞ？」

騎士団長の言葉に、アルベルトもアリルビートもハッとした顔をする。

「お願いするのに、一人二人増えても構わないだろう……もし、お前たちも実力を試したいと思っておるなら、併せて確認してみるが。どうだ？……あと、悪いがは騎士団にることはできない。よって、訓練の參加もおけすることはできないのだ。許せ」

アルベルトとアリルビートは姿勢を正し、同じように騎士団長に禮をする。

「「よろしくお願いします」」

ソルベティは、騎士団長の言葉をけ止め承諾した。

シュクルスだけでも、大きな果だった。

「うむ、分かった。では、し時間を頂けるかな？返事はなるべく早くできるように手配する」

騎士団長は、やや笑顔で三人の男の顔を見た。

（こういう者たちがいれば、騎士団もしは変われるのかも……な）