《問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『霊使いで再起しました。』》

警備隊は簡易テントを張って、手際よく拠點を造っていく。

アルベルト、アリルビートとシュクルスの男たちも協力し、素早くテントを組み立ていった。

すぐに必要になる火と水を霊使いたちが用意する。

オリーブとクリエは、土の力で即席のテーブルを用意した。

今回ハルナは、ただその様子を見ているだけだった。

下手に素人が手を出すと、危険でかえって邪魔になる。

暇を持て余していたハルナはその間、山のり口に向かった。

り口付近に何か看板が立っている。

だが、ハルナはこの世界の文字がまだ直ぐには読めなかった。

「……こ……こか……ら……」

とその時、上方から何かいものが激しくぶつかる音が聞こえる。

「な、何!?」

ハルナは、構える。

フウカも姿を見せて、ハルナの後ろで構える。

――ガン!ギン!

音が徐々に大きく聞こえる。

何度か衝突音が聞こえた後に、駆ける音が互にする。

どうやら、何かから逃げているようにも聞こえる。

そして、その音の正は突然に姿を現した。

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山道特有のジグザグな道の曲がり角からではなく、ショートカットで降りてきた。

その姿は途中で引っ掛けた草や蔦などが纏わり付いており、裝備の間には枝などで引っ掛けたのか線狀の傷がいくつも付いている。

――キシャー!!

遅れて數のコボルドがその人を追いかけて、姿を見せる。

どうやらその人を襲っている。

前の二匹が鎌とボロボロになったショートソードで、襲いかかる。

その人は、手にしたミドルソードでその攻撃を薙ぎ払う。

下まで降りてきた疲れが出てきたのか、足がもつれて制を崩した。

その様子を見た奧にいるコボルドの手に持つスリングが、その人の頭部に狙いを定めて目一杯引いている。

「危ない!!」

ハルナが風を起こすと同時に、その石は放たれた。

だが、人とコボルドの間に起こした上向きの風の壁によって、石は弾き飛ばされる。

「ふぅ……間に合っ」

次の瞬間、橫の茂みからコボルドが斧をもってハルナに向かって襲い掛かる。

――ドン!!

フウカはハルナの背中から、思い空気の塊を打ちコボルドを弾き飛ばす。

しかしさらに、二匹のコボルドがターゲットをハルナに変えて襲い掛かる。

ハルナの目の前に向かってきたその時。

黒いメイド服が飛び蹴りで、二匹を別々に蹴り飛ばした。

「油斷してはいけませんよ、ハルナ様」

「ソフィーネさん!!」

コボルドは、弾き飛ばされはしたが命に別狀はなかった。

蹴り飛ばされた勢いで、脳震盪を起こしたようにフラフラとした足取りではあったが、コボルドは茂みの中に逃げていった。

「有難うございます、助かりました……」

し姿が見えなくなったので、お探しに來たのですが……これはどういう狀況でしょうか?」

ソフィーネは、辺りを見回した。

逃げてきた人は、助かったと思い地面に伏せて気を失っていた。

その様子を見たソフィーネは、ここにいてはコボルドがまた來る可能もあるためこの場を離れることを提案した。

「とにかく、ひとまず皆さんのところへ戻りましょう。その方はわたくしが連れてまいります。そこで今の狀況を皆さんにご説明していただけますか?」

ハルナは承諾し、地面に付けていた腰をゆっくりと上げておに付いた砂を払う。

そして、人を肩に擔いだ狀態のソフィーネの後を追っていく。

「ど……どうしたの!?」

エレーナは様子の違うハルナを見て、思わずんだ。

「えへへへ、ちょっとね!」

軽くながすハルナを見てエレーナは呆れる。

「とにかく、その人をこちらへ」

その様子を見ていたアルベルトが、負傷者が橫になれるテントへ案する。

その人はよくみると、だった。

一人で行していたようで、よくあのルートを通ってきたのだと心する。

言い方を変えれば、”無謀”とも呼べる行為だ。

だが今は、こうして生きていることが何よりだった。

異変に気付いて、ドイルがやってきた。

「な、何事です? どうされましたか!?」

ドイルは何も気にすることなくテントのり口のカーテンを無造作に開いてってくる。

――ゴフゥッ!

ドイルはソフィーネの手加減のないバックキックを喰らい、テントの外に弾き飛ばされた。

ソフィーネは連れてきた人の裝備を外すと、薄著の下に特有のふくらみを部に確認した。

その途中でドイルは室してきたため、ソフィーネは意識のない人の尊厳を守るためにドイルを外に送り出した。

「な!何をするんですか!?」

ドイルは揺れた意識が正常に戻るが、足元はおぼついていない。

しかし、鍛えられたがドイルの意識をかろうじて繋ぎ止めていた。

「あら、ごめんなさいね。が勝手にいてしまったのね」

悪びれた様子もなくソフィーネはドイルに詫びた。

それ以上にソフィーネの意識は、力が衰えているこのに向かっていた。

「……おや?この者の裝備の印は。これは、西の王國のものですね」

ドイルは、ソフィーネに告げた。

この者はどうやら西の王國から、このディヴァイド山脈を越えてきたようだ。

最終的には一人であの山脈を下ってきており、その実力はある程度のものだと推測できる。

詳細は、このの意識が戻ってから聞くことになった。

これにより、討伐の山も遅れた。

それが良かったことか悪かったことか分からないが、これがハルナ達のこの先に変化が生じることになった。

          

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