《問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『霊使いで再起しました。』》

「よし、準備はいいか?」

ドイルは目の前に整列した二つの隊に対し、出発の準備が整ったかを確認する。

第一部隊は警備兵一名、エレーナ、アルベルト、ルーシー、ソルベティ

第二部隊は警備兵一名、ハルナ、ソフィーネ、クリエ、カルディ

作戦として、第一部隊で魔との遭遇した際の討伐を主に行う。

そのため、アルベルトの他にし剣が使える霊使いとして、ルーシーのサポーターとしてソルベティが加わった。

第二部隊は攻撃の補助および、戦況を把握しつつ第一部隊の防も行う。

ソフィーネは、第二部隊の対接近戦の要として加わってもらった。

コボルドと遭遇した際に、できれば最初のコンタクトは戦闘ではなく対話することで全員の意見は一致した。

今回アーリスは第一部隊に同行し、昨日の狀況や出現場所などの報提供として協力してもらうことになっていた。

その他の後方支援として、ドイル、オリーブ、アリルビート、シュクルスなどが山のり口の拠點で待機することになった。

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二つの部隊が対応仕切れなかった場合に、ここで食い止めことを目的とした。

また、山の中で何か起きた場合には、霊使いがその場で大きな合図を出し、麓から応援に駆け付けるようにした。

「それでは、出発!」

ドイルが掛け聲をかけ、エレーナたちは山にっていく。

ハルナたちは、その五分後に出発する。

最初から急な勾配を、登って行くことになる。

ゆっくりと進み、なるべく力を消耗することなく進んで行く。

「アーリスさん、西の國はどんなじのところなのですか?私、一度も行ったことがなくって」

そう話したのは、エレーナだった。

「そうですね……西の國は、一言で言うと”強さ”が全てです」

そこには西の王國が建國されてから、その歴史に関係があった。

初代の國王が二代目の王を決める際に、國で爭いが起きた。

それは、王子自の力とその王子に忠誠を誓う部下、厄介なのはその王子の力を利用しようとする者たちの力だった。

ただ、その爭いに対して、王は一切口を出すことはなかった。

王子たちはその全ての力を上手く扱うことができなければ、王座に就くことはできない。

反勢力の力さえも引き込む実力があってこそ、王様だと言うことだ。

武力がなくても知力で、知力がなくても武力で。

歴代の國王は、様々な力によって國を治めてきた。

幸い、未だ下克上のようなことは西の國では起きていないとのことだった。

王家の筋は、ここまで守られていた。

「へー……、やっぱり他の國はちょっと違うんですね」

「このディヴァイド山脈を隔てると、季節も違うようですし。その気候によってそこに住む人たちの生活様式が生まれ、それによりその土地の文化が生まれることにより、人々の考え方も大きな影響をけていると言った研究者もいましたね」

ルーシーは過去に見たことのある文獻から、その考え方に沿った容の報を思い出した。

「やっぱり西の方では、喧嘩っ早いというのは東の商人の方から聞いたことがあります。私もそこまで東の方に詳しくないので、比較したことはありませんが」

(上司の命令に逆らって、自分一人でここまで來てしまったアーリスも実は相當……)

エレーナは心の中だけでつぶやいた。

「それでは、一度ここで休息をとりましょう」

先頭を歩く警備兵が、後ろを振り返りそう告げた。

一時間ほどは、登ってきただろうか。

ふもとの方で聞こえていた音はもう聞こえなくなり、すっかり森の中の音だけになってしまった。

鳥の鳴き聲、木々が風でれる音、小が枝から枝に飛び移る音が、いまの森の中では主な音となっている。

遅れて、ハルナ達の隊も到著した。

おおよそ五分後に到著しているため、先頭を歩く訓練された警備兵の歩幅の正確さには驚かされる。

「頂上まであと、三分の二といったところですね。今日も頂上は雲に隠れていますが……」

クリエは、水筒の水を一口飲んで上を見上げる。

「昨日はもうし上の辺りで、一つの集団に襲われました。これからは、周囲に注意して進んだ方が良さそうです」

アーリスは、この場の全員に告げた。

「それでは、第一部隊は出発します」

おおよそ十五分間の休憩を終えて、エレーナたちはまた歩を進め始めた。

ハルナたちはそこからまた、五分後に出発することになる。

「ソルベティさん……でしたか。は”マイトレーヤ”ですか?」

一番先頭を歩く、警備兵は後ろを振り向かずに話す。

周囲を警戒するソルベティも、その言葉の元を見ずに応えた。

「はい、そうですが」

「では、あなたが”グレイニン”隊長の娘さんなのですね」

――!?

ソルベティはし、驚いて足をらせてしまった。

坂の下に転がり落ちる石は、曲がり角の森の中に消えていった。

「あなたは……父を知っているのですか?」

周囲の警戒を一瞬といてしまったが、ルーシーはその行為を見なかったことにした。

「やはりそうでしたか。若い頃に見た、その剣の柄の紋章に見覚えがありましたので。グレイニン隊長と一緒に隊を組んだことがあります」

ソルベティは、話しを聞きながら剣の柄をなでる。

「強くて誰からも慕われており、あの頃は憧れの存在でした。よく、騎士団への隊を目指している話しを聞かせて頂きました。グレイニン隊長なら、絶対に間違いないと思っていましたよ……」

先頭の警備兵の聲が、し暗くなる。

「それを知った。當時の警備隊の総隊長が、その事を耳にして、グレイニン隊長を町の警備兵に飛ばさなければあんなことには……」

「有難う……ございます。もうし、お話しを聞きたいのですが、今は作戦に集中しましょう。……任務が終わったらぜひ続きを聞かせてください」

「は!そうでしたね。今は作戦に集中します!」

警備兵は嬉しそうに、ソルベティの言葉に返した。

すると

――カン!

何かを弾き返す音がした。

後方左に、エレーナが作った氷の壁が見える。

「きました!コボルドです!」

アーリスは、んだ。

          

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