《格闘チャンプの異世界無雙 〜地球最強の男、異世界で更なる高みを目指して無雙する〜》13話 盜賊団のアジトへ 見張りを撃破

盜賊の尋問は無事に終了した。

結局、1人目の指を5本ほど折ったところでアジトの場所を吐いた。

まあそんなものだろう。

ただの盜賊にしては、粘ったほうかもしれない。

そして、翌々日。

村の若い男たちを引き連れて、ブラック盜賊団のアジトに向かっているところだ。

「野郎ども。目的地はもうすぐだ。大きな音を立てないようにしろよ」

俺は同行している男たちにそう聲をかける。

盜賊がアジトの場所を吐いたあと、俺が1人で付近の様子を探りに行っておいた。

報通りの位置にアジトらしきものがあることを確認済みである。

「「了解しやした。リキヤの兄貴」」

男たちがそう言う。

ビッグボアの一件と、イノシシ鍋の日に村の若者の中でも強いらしい男を一蹴したことにより、いつの間にか兄貴と呼ばれるようになっていた。

しばらく歩き、無事にアジトを目視できるところまでやって來た。

俺たちは、そろりそろりとアジトのり口に近づいていく。

アジトは、山のほらにある。

「(あそこだ。り口に見張りが2人立ってやがるぜ)」

俺の言葉をけて、男たちがゴクリとつばを飲み込む。

張しているようだ。

「(どうしやすか? 2手に分かれて左右から奇襲しやすか?)」

「(それとも、俺がおとりになって引きつけやしょうか?)」

男たちがそう提案してくる。

初めての盜賊対峙にしては、なかなか現実的な作戦を立ててくる。

悪くない。

しかしーー。

「ここは俺に任せろ。お前たちは後ろで見ておけ。見るのも勉強になるぞ」

俺はそう言って、前に進んでいく。

見張りの2人がこちらに気づく。

「なんだ、てめえは!?」

「ギャハハ! 迷い込んだ冒険者ってところか!? 俺たちに見つかるとは、運が悪かったな!」

2人がそう言って、こちらに近づいてくる。

アジトを見つけた俺を消しておく心づもりだろう。

歩き姿を見ているだけでもわかる。

こいつらはザコだな。

「ふん。お前たちとは戦うだけ時間のムダだ」

「な、なんだと!?」

「ギャハハ! 丸腰で勝てるとでも思ってんのか? 死ねやぁ!」

俺の言葉をけて、2人が剣を抜いて斬りかかってくる。

俺は彼らの剣を軽く避ける。

まあ、この程度であればけてもダメージはないだろうが。

「遅い。あくびが出るぜ」

「き、貴様ぁ!」

「なめるんじゃねえぞ、ボケが!」

2人が怒り、攻撃の手を強める。

ビュンビュンと剣を振り回している。

しかし、怒ったところでこの程度が限界か。

やはり、盜賊団の下っ端程度では修行の相手にもならん。

「もういい。寢ていろ」

俺は2人に腹パンをする。

「「がはぁっ!」」

彼らは意識を失い、その場に倒れた。

あえて殺しはしなかった。

しかし、別に俺は不殺主義を持っているわけではない。

この世界には、奴隷制度がある。

盜賊の罪狀がある者は、奴隷として売られるらしい。

そして、その売卻価格の一部は捕縛者に還元される。

俺は、この世界の金をまだ持っていない。

せっかくの現金収のチャンスなので、生かしておいたのだ。

それに、フィーナの村にしでも援助できるかもしれないしな。

俺が見張りの2人を撃破したことを確認して、遠くから見ていた村の男たちが近寄ってくる。

「す、すげえ! リキヤさん」

「あっさり倒しましたね!」

「お、俺もリキヤさんみたいに強くなりたい……!」

男たちが俺を褒め稱えてくる。

「この件が終わって村に戻ったら、手ほどきをしてやろう。その前に、せっかくの実戦だ。俺の戦いを見て、しっかり盜めるところは盜んでおくんだぞ」

俺はそう言う。

もちろん、慈善行為で教えるわけではない。

俺の將來のライバルをつくるためだ。

前の世界では、自が強くなることしか考えていなかったからな。

いつの間にか、ライバルと呼べるような者がいなくなってしまっていたのだ。

最強を目指すには、やはり切磋琢磨できるライバルが必要となる。

見たところ現時點で強い者はいないが、もしかすると隠れた才能を持つ者がいるかもしれない。

さほど期待はしていないが、最低限の指導ぐらいはしてやってもいいだろう。

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