《格闘チャンプの異世界無雙 〜地球最強の男、異世界で更なる高みを目指して無雙する〜》28話 盜賊たちを奴隷として売卻

ノックスの街に著いた。

冒険者ギルドも気になるが、まずは盜賊たちを奴隷として売っぱらうつもりだ。

エミリーの父親に先導され、街の中を進んでいく。

なお、村の若者たち數名は他の用事を片付けるべく別行だ。

「リキヤ殿。ここが、ノックス奴隷商館です」

「ふむ……。なかなか立派な建だな」

さぞや儲けているのだろう。

それに、あんまりオンボロな建だと、奴隷たちが逃げるリスクもあるだろうしな。

俺たちは、奴隷商館のり口に向かう。

そんな俺たちの前に、奴隷商館の門番の男が立ちふさがる。

「ここは奴隷商館だ。冷やかしなら帰ってもらおう。……と言いたいところですが、どうやら奴隷を売りにきたようですね?」

門番は高圧的な態度だったが、俺たちが後ろに連れている捕縛された男たちを見て、態度を化させた。

「ええ。こいつらは、近くの山間部に巣食っていた盜賊です。こちらのリキヤ殿のお力で、こうして捕縛することができました」

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門番の問いに、エミリーの父親がそう答える。

「なるほど……。商館に案させていただきます。奴隷たちに関しては、人數も多いですので裏口から搬して鑑定させていただきます。よろしいでしょうか?」

門番の男がそう言う。

1人か2人、あるいはの奴隷であれば、売り主とともに正面から商館ることもあるのだろう。

しかし、10人以上の屈強な男の集団は、さすがに正面からはれないということか。

いくら捕縛されているとはいえ、萬が一縄が緩んで暴れだしたら大事になる。

妥當な判斷だろう。

「はい。それでお願いします」

エミリーの父親がそう同意する。

俺、エミリーたち行商一家、村長の5人で奴隷商館の中にる。

奴隷商館の店長の案のもと、廊下を進んでいるとき。

「いやぁ!」

「聞き分けの悪い獣人が! おとなしくしやがれ!」

奧の方の部屋から、何やら悲鳴と怒鳴り聲が聞こえてきた。

バアン!

奧の部屋のトビラが開け放たれ、1人のがこちらに向かって走り出した。

しかしーー。

「ちっ。この獣が!」

「ううっ!」

奴隷商館の店員らしき男に、は取り押さえられてしまった。

が悔しそうにうめく。

そして、彼は腕を摑まれてまた奧の部屋へと連れていかれた。

「これは失禮致しました。お見苦しいものを……」

店長が恐した様子でそう言う。

「今のは?」

「卑しい獣人の奴隷でございます。我ら人族に忠誠を誓うように教育しておりますが、まれにあのように聞き分けの悪い個がいるのです」

獣人か。

確かに、先ほどのには貓耳のようなものがついていた。

、魔法に続いて、獣人か。

この世界には、俺の知らないものがたくさんある。

獣人というからには、能力が高かったりするのだろうか。

「ふむ。奴隷商というのも、大変なようだな」

「いえいえ。それが私どもの務めでありますので。今回は奴隷の売卻ということですが、もし奴隷がご用でしたらいつでもお申し付けください。きちんと躾けた奴隷を取り揃えてございます」

店長がそう言う。

「ああ。そのときは世話になろう」

獣人とやらの能力を把握するためにも、試しに1人ぐらい買ってみるのもありかもしれない。

まあ、當面は先のことだが。

奴隷の相場などはわからないし、そもそも生活費もまともに持っていない狀況だからな。

そんな會話をしつつ、応接室に案される。

ソファに腰掛け、商談が始まる。

店長、エミリーの父親、村長があれこれやり取りしている。

「ふむ……。街の口の門番からも報がありましたが、確かにブラック盜賊団の構員たちのようですな。頭領である漆黒のシュバルツまで……」

店長が驚いた顔でそう言う。

彼が値踏みするような目で、盜賊たちを見ていく。

「ふむふむ……。犯罪奴隷は大した金額になりませんが、これだけの人數がいればそれなりの値段にはなります。それに、シュバルツの他、指名手配されていた者も數人います。そいつらの懸賞金も含めれば、一財産になりましょう。的には……」

店長がエミリーの父親や村長と、売卻価格の渉をしている。

「その値段で構わないでしょう。村長とリキヤ殿もよろしいですよね?」

「うむ。それでいいじゃろう」

「ああ。任せる」

エミリーの父親の問いに、村長と俺が同意する。

盜賊たちを奴隷として売卻する権利は、捕縛者の俺にある。

だが、俺はそういう渉事はあまり得意ではない。

いざというときは、腕っぷしで乗り切ってきたからだ。

今回の渉は、エミリーの父親に一任している。

名目上、売卻費は全て俺にる。

彼が値段渉をがんばる意味はないように思える。

しかし実際には、俺は得た金のほとんどをエミリーたち行商一家とフィーナの村に贈與するつもりだ。

その旨、彼らにも伝えている。

エミリーたちは盜賊たちによって財産をほとんど奪われてしまったので、立て直すためのまとまった金が要る。

フィーナの村は、長年ブラック盜賊団やビッグボアにより被害をけていたので、こちらも立て直すためのまとまった金が要る。

俺はこの世界で無一文ではあるが、この腕っぷしがあれば何とか稼いでいくことも可能だろう。

金に執著するつもりはない。

「では、こちらが今回の買取金額となります。お納めください」

店長がそう言って、たくさんの金貨を差し出してくる。

エミリーの父親か村長がけ取るのかと思ってが、2人ともかない。

「リキヤ殿」

「ん? ああ」

俺が捕縛した盜賊たちの売卻金だから、俺がけ取るのが筋ということか。

2人に促され、俺は金貨をけ取る。

後で、2人にも分けてやろう。

「では、これにて奴隷の売買契約は完了とさせていただきます。大金をお持ちになられておりますので、くれぐれもスリや強盜にはお気をつけください。……いえ、リキヤ殿の場合には、強盜などは返り討ちですか」

店長がそう言う。

「それはそうだな。しかし、忠告は確かにけ取った。気をつけるようにしよう」

俺は、エミリーたち行商一家と村長を連れて、奴隷商館を後にした。

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