盜賊どもを奴隷として売り払った金を、村長と行商一家に気前よくあげた。

村長は恐しながら、村の若者たちと合流するために去っていった。

そのまま、フィーナの村に帰るはずだ。

そしてエミリーたち行商一家も、同じく恐していた。

お金のお禮として何でもしてくれると言っていたので、冒険者ギルドに案してもらうことにした。

「リキヤさん。ここが冒険者ギルドです」

「ふむ。ここがそうか」

俺は眼前の建を見る。

なかなか立派な建だ。

俺たち４人で中にる。

エミリーの父親の先導のもと、冒険者ギルドの付まで進んでいく。

「あら、エミリーさんたちではありませんか。お久しぶりですね。本日は何かのご依頼でしょうか？」

付嬢がそう言う。

どうやら、エミリーたち行商一家とは顔なじみのようだ。

「いえ、今日は依頼ではありません。こちらのリキヤさんの冒険者登録をお願いしたいのです」

「リキヤだ。よろしく頼む」

俺はそう一言だけあいさつする。

「まあ。ずいぶんと鍛え抜かれたですね。これは期待できそうです。もともと、軍か何かで働いていた方なのでしょうか？」

付嬢がそう言う。

「まあそんなところだ。戦闘の心得は持っている。いろいろな技を學びたいと思って、武者修行のために各地を巡っているところだ」

「そうでしたか。それならば、冒険者登録はしておいた方がいいでしょうね。道中の魔退治でも、しっかりと報奨金が出ますし。それに……」

俺は付嬢からざっくりとした説明をける。

魔を退治すれば報奨金がもらえるらしい。

もちろん、ただ”討伐しました”と言って信じてもらえるような優しい制度ではない。

魔ごとに設定されている、討伐証明部位とやらを提出する必要があるそうだ。

もちろん、魔の死まるごとでも可である。

その場合は、素材の買取費ももらえるので１匹あたりの報酬はもちろん増える。

ただし、運んでこれる質量には自ずと限界がある。

街から遠い場所での討伐依頼なら、討伐証明部位だけを持ち帰って討伐報酬を取るほうが、結果的にはより多くの報酬を得ることが可能だ。

「詳しい説明をありがとう。だいたいわかった。とりあえずは、街の近郊で魔を討伐していけばよさそうか？」

「リキヤ殿の場合は、それがいいでしょうね。他にも採取依頼や護衛依頼もありますが、リキヤ殿にはしだけ不向きかもしれません」

付嬢がそう言う。

「なぜ俺には不向きなんだ？」

「採取依頼は強さとは関係ありませんので、せっかくのリキヤ殿の戦闘能力が活かせません。護衛依頼であれば活かせるでしょうが、殘念ながらまだ実績が足りないので信頼されないでしょう」

付嬢の言うことは一理ある。

だがーー。

「採取依頼も俺に任せておいてくれ。これでも、目や鼻は効く。探しものは得意なんだ」

最強に至るためには、力や技だけを鍛えればいいものではない。

視力や嗅覚も鍛えることで、より高みを目指すことができるのだ。

もちろん、どちらかと言えば力や技のほうが大切なのは間違いないが。

「まあ。そうでしたか。それは失禮致しました。ではさっそく、冒険者登録を進めます。いくつか質問させていただきますので、答えてください」

「わかった」

付嬢からいくつかの質問がなされていく。

名前は？

得意な武は？

犯罪歴は？

活拠點は？

などといったじだ。

俺は無難にけ答えしていく。

「ふむふむ。特に問題なさそうです。では、ギルドカードを発行しますね」

付嬢がそう言って、処理を進めていく。

しして、彼が１枚のカードを差し出してきた。

しっかりとした材質ではあるが、それ以外は何の変哲もないカードだ。

俺の名前や冒険者ランクが書かれてある。

最初は、ランクＥからか。

「これがギルドカードになります。なくさないようにしてくださいね」

「ああ。気をつけよう」

俺は付嬢からギルドカードをけ取り、懐にしまい込む。

「では、これにて冒険者登録は終了となります。リキヤ殿のご活躍に期待させていただきますね。何かあれば、お気軽にこちらまでお越しください」

付嬢がそう言う。

そんなじで、俺の冒険者登録は終了した。

さて……。

先ほどから、背後に何やら不穏な視線をじている。

視線の主がだれか、見てみることにしよう。