《格闘チャンプの異世界無雙 〜地球最強の男、異世界で更なる高みを目指して無雙する〜》37話 リキヤvs孤児たち

孤児たちに鳥の串焼きをあげようとしたら、逃げられてしまった。

俺の格から、暴でもされそうだと思われたのかもしれない。

俺は俊足を活かして、逃げる子どもたちの前に回り込む。

「知らなかったか? この俺からは逃げられない」

というか、そもそも逃げる必要もないのだが。

「う、うわあああ! レオナおねえちゃんを守れ!」

「「うおおおぉ!」」

孤児の男の子たちが俺に立ち向かってくる。

年長のであるレオナお姉ちゃんとやらだけでも逃がそうという魂膽か。

「ふむ。俺に対して怯まずに立ち向かってくる度は認めよう」

子どもたちが俺をポカスカ毆ってくる。

ただし、一切のダメージはない。

「く、くそ! なんだこのオッサンのは!」

「毆ったこっちの手が痛え!」

俺の鍛え抜かれたは、大の男が振り回す金屬製の剣や闘気を込めた木刀でもほぼダメージをけない。

痩せぎすの子どもたちのパンチ程度では、蚊が止まったぐらいの覚だ。

彼らと俺は長差があるので、目や首などの急所を狙うことすらムリだしな。

……いや、1つだけ狙える急所があったか。

「ここはさすがに鍛えていないだろ!」

「くらえ! 玉潰し!」

「竿ちぎり!」

子どもたちがそう言って、俺の間に攻撃を仕掛ける。

1人は玉を全力で握りしめ、1人は竿を握って引っ張ってくる。

「急所を狙う判斷力もあるのか。悪くはない。だが……」

百戦錬磨の下半は、その程度ではダメージをけない。

俺は地球において、表のきれいな試合だけではなく、裏世界の何でもありの戦いにもを投じていたからな。

急所に対する攻撃への対策も萬全なのだ。

俺は子どもたちの頭を優しく摑む。

彼らは逃げようとするがーー。

「は、離せやコラァ!」

「びくともしねえ……!」

優しくとはいっても、子どもの力では容易に抜け出せない程度の力は込めている。

「いかんせん、力が弱すぎるな。その力では、せいぜいマッサージにしかならん。俺の下半をお前たちがほぐしてくれるのか? 俺にそういう趣味はないのだが……」

この孤児の男の子たちは、まだいだけあって中的な外見をしている。

頭の中でだと思いこめば、ギリギリ何とかならなくもないかもしれない。

人生、何事も経験か?

「ぐあああぁっ! や、やめろぉ!」

「ひいいいいぃっ!」

俺の視線をけて、男の子たちがそう悲鳴を上げる。

「や、やめてください! 私たちが気に障ったのであれば、謝ります!」

後方で様子を見ていたレオナがそう言う。

いかんな。

本題を忘れていた。

話を戻そう。

「何かを得ようとすれば、何かを失う。こいつらを助けたければ……わかるな?」

「は、はい……」

レオナが観念したような顔でそう言う。

わかってくれたようで何よりだ。

この串焼きをたくさん食べて元気になれば、を鍛えてもらうことになる。

厳しい鍛錬になるだろう。

とはいえ、一時的にはつらくとも、子どもたちにとっても強くなることは悪いことではない。

街のチンピラたちに抵抗できるようになるからな。

そして數年後には、俺のライバルとなれるような者が出てくるかもしれない。

「ガハハ! こいつは楽しみだ!」

俺はまだ見ぬ強者との戦いを空想して、思わず笑みをこぼした。

「あ、あの……。できれば人目のつかないところで……」

レオナが何やら悲壯な顔でそう言う。

串焼きを食べるのに、わざわざ移する必要もないと思うのだが。

「よかろう。よし、ガキどももいっしょに付いてこい」

俺はそう言う。

と、男の子數人。

全員に腹いっぱい食べさせられるぐらいの量は買っている。

「ひっ……。みんなもいっしょにですか……?」

「不服か?」

いったいどうしたというのだろう?

この世界には、人前で食事をとらないという風習でもあるのだろうか。

フィーナやエミリーと過ごした限りでは、そんなことはなかったと思うが。

そうだ。

まずはエミリーに合流するか。

は大通りのところで待ってもらっている。

せっかく街の案をしてくれていたのに、ずっと放置も悪い。

俺はレオナや男の子たちを連れて、裏路地から表通りに向けて進み始めた。

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