《格闘チャンプの異世界無雙 〜地球最強の男、異世界で更なる高みを目指して無雙する〜》65話 強くなりたいか?

ネネコに絡んでいた酔っ払いを追い払った。

「大丈夫だったか?」

「は、はい。ありがとうございました。助かりました」

ネネコは深々と禮をする。

「気にするな。それより、ケガはないか?」

「はい。アタシは平気です」

「そうか。しかし、ネネコも抵抗していいのだぞ? いざとなれば俺が責任を取る」

奴隷は一切の抵抗を許されていないとか、そういうわけではないだろう。

法的には、彼は俺の所有だ。

第三者が勝手に俺の所有を傷つけることは許されない。

ネネコ自が抵抗することも許されていいはずだ。

「ええと……。アタシなんかが男の人に抵抗したら、余計にひどいことをされちゃいます……」

……ふむ。

そういうことか。

言われてみれば確かに、奴隷云々は別としてもネネコが抵抗することは難しかったかもしれない。

相手は酔っ払いとは言え大の男。

そしてネネコは10代前半くらいのだ。

鍛えていないの力では、抗えるものではないだろう。

「……そうかもしれんな」

「はい。ですから……」

「よし。では、俺が鍛えてやろう。筋と技を手にれれば、大抵のことは解決できるぞ?」

我ながら、いい考えである。

俺が彼を鍛えれば、彼は抵抗する力を得る。

にとっては明確なメリットがあるわけだ。

それに対して、俺にもメリットはある。

まずは、獣人という未知の種族の能力や特について學ぶ機會を得ることができる。

もし彼が類まれなるセンスを持っていれば、將來的に俺のライバルとなってくれるかもしれない。

俺のライバルには一歩足りなかったとしても、彼がまた別の者を指導するようになれば、その者の中から俺のライバルが出てくるかもしれない。

もしくは、日々の冒険者活を手伝ってくれるだけでもいい。

協力的な人手が増えれば、俺の冒険者ランクも上がりやすくなるだろう。

高ランクになれば、その分いろいろな面で最強に近づく。

上げておいて損はない。

「え?」

「ネネコ、お前は強くなりたいか?」

「そ……それは……もちろん、強くなれるものならなりたいとは思いますけど……そんなの無理です……」

「なぜだ? 訓練すれば誰でも強くなることができる」

「だって……。アタシは奴隷ですし……。それにきっと、アタシは戦うことに向いていません」

なるほどな。

にとって、強さとは憧れの対象ではあっても目指すものではなかったというわけか。

奴隷という分に加えて、やや気弱な格ならそう思ってしまうのも無理はない。

「どうして諦めるんだ? 人間には無限の可能がある。それはネネコ、お前も同じだ」

「で、でもっ」

「俺を信じろ」

俺はネネコの肩に手を置く。

そして、彼の瞳を正面から見據えた。

「は、はい」

ネネコが顔を赤らめる。

「そうだな。まずは基礎力をつけるところから始めよう。とりあえず、今日はこの果実水を飲んでゆっくり休め。宿屋に向かうぞ」

「はい!」

ネネコは嬉しそうな顔で返事をしたのだった。

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