ネネコが赤い三連星のリーダーと対峙している。

もちろんガチの殺し合いなどではない。

ネネコの長ぶりを確かめるための模擬試合である。

「試合のルールは簡単だ。相手を戦闘不能にするなり、降參させるなりすれば勝ちだ」

「はい。分かりました」

ネネコは真剣な表で言う。

「へっ！　そんなルールじゃ、俺が簡単に勝つだろうな」

「むう。……ご主人様ぁ」

ネネコが上目遣いに俺を見つめてきた。

「大丈夫だ。ネネコは強い。を張って戦えばいい」

俺は優しい聲音を意識してそう言った。

「はい……。頑張ります！」

ネネコは力強く答えた。

「では、始め！」

審判役の俺が開始の合図を出す。

「先手必勝だ！」

赤い三連星のリーダーであるモヒカンが、素早いきでネネコに接近していく。

悪くはないスピードだ。

彼は元々Ｃランク冒険者として、一般人やそこらの盜賊よりも高い戦闘能力を持っていた。

その上、ここ最近は俺が定期的に指導してやっている。

俺のライバルになるにはまだまだ遠いが、可能をじさせる程度の強さはある。

「ふぅんッ！！」

モヒカンが気合と共に、右拳を突き出す。

ネネコはそれをスウェーバックで回避した。

「やるじゃねえか！」

続いて左ストレートを放つが、ネネコはそれも軽々と避ける。

「くそったれが！」

さらに攻撃を加えようとするが、ネネコはそれを避け続ける。

そうしている間にも、ネネコのきにはキレが増してきた。

「おい、どうなってんだよ……」

「あのガキ、めっちゃ強くなってないか……？」

２人の攻防を見ていたデブとスキンヘッドがつぶやく。

「確かに強くなっているな」

俺は心でほくそ笑む。

ネネコの実力は、既にこいつらを超えている。

見立てではそう思っていたが、実際に手合わせしてみると、想像以上に強くなっていた。

１か月前と比べ、格段にきが良くなってきている。

（やはり、才能があるな）

ネネコの才能を実しつつ、俺は口元に小さな笑みを浮かべる。

「おらああっ！！」

ついにリーダーの攻撃が當たる。

ネネコは強くなっているが、モヒカンもただでは負けない。

彼は衝撃に耐え切れず、後ろに吹っ飛ばされる。

「ぐっ……！」

地面に倒れ込んだネネコは、すぐに立ち上がる。

「はっはー！！　これで終わりだぜぇ！」

そう言って、モヒカンがネネコに近づく。

そして、懐から取り出した木刀を振り上げた。

「まだです！」

ネネコは素早く立ち上がり、手を構える。

「なにぃ！？」

モヒカンが驚きの聲を上げる。

ネネコは、自分のに當たる寸前で、モヒカンの木刀をけ止めたのだ。

「なんつう反神経だよ……。さすが獣人ってところだな」

モヒカンが嘆の息をつく。

「てやああっ！！」

ネネコが木刀を弾き飛ばすと、すかさず彼の蹴りが炸裂する。

「ぶげっ！？」

強烈な一撃をくらったリーダーは、その場に崩れ落ちた。

「それまで！　勝者ネネコ！！」

俺が高々に宣言すると、周囲から歓聲が上がった。

いつの間にか観客が集まっていたようだ。

「やったぁ！　勝ちました、ご主人様！」

ネネコが嬉しそうな顔で言う。

「ああ、よく頑張ったな」

俺は微笑みながら、ネネコの頭をでる。

こうして、俺はネネコの長ぶりを確かめたのだった。