《格闘チャンプの異世界無雙 〜地球最強の男、異世界で更なる高みを目指して無雙する〜》85話 來る者は拒まず、去る者は追う

多數の弟子り志願者を得た。

元は襲撃者だが、細かいことはいいだろう。

「ふふふ。さあ、楽しいトレーニングの時間だ!」

「ちょ、ちょっと待ってくれ!」

リーダー格の男が聲を上げる。

「どうした? 途中會は認めていないぞ」

俺の指導方針は一つ。

來る者は拒まず、去る者は追う。

時に厳しいトレーニングの前では、人は弱気になることもある。

的に鍛錬をやめようと言う者もなくない。

現代風の価値観で言えば、本人の意思を尊重してやめさせてやるのが良いのだろう。

俺もそれぐらいは分かっている。

だが、本當にそれが本人のためなのか?

心を鬼にしてトレーニングから逃さない方が、最終的には本人のためになるのではないか?

それに何より、せっかくの弟子が逃げてしまうと、俺の將來的なライバル候補が減ってしまう。

そのため、一度俺の元に來た者は逃さない。

(まぁ、本當にヤバそうなら認めてやるがな。今のところ、過度の鍛錬で潰れた奴はいない)

俺は最強を目指している。

ガムシャラにトレーニングするのではなく、きちんと最新理論やトレーニングの歴史を學んだ上、自でその効果を検証している。

そんな俺の元に來る弟子に対しては、ちゃんと細部まで目をらせつつ鍛錬の負荷を調整してやっていた。

そのため、口では弱音を吐く者はいても、トレーニングそのものが嫌になったり追い詰められて自殺したりした者は皆無だ。

殘念ながら格闘技において俺のライバルに長した者はいなかったものの、し方針転換をして陸上競技や球技などで世界トップクラスの実力を持つ者をたくさん育て上げた。

オリンピック金メダルはもちろんのこと、プロスポーツでも活躍できるレベルになっている者も多い。

(懐かしいな……)

最強を目指す俺とはし道を違えたものの、可い弟子であることは間違いない。

この世界で言えば、今のところはネネコがそれにあたるだろう。

『赤い三連星』もそうなるかもしれない。

そう言えば、フィーナもしだけ鍛錬に興味を示していたな。

そして、今目の前にいるこの男たちも、俺の新たな弟子になるというわけだ。

「――それで? 言いたいことは何だ?」

「と、とりあえず、その壺を下ろしてくれ。な?」

「んん?」

俺は首を傾げる。

俺は大きな壺を持っている。

部屋に置いてあった調度品だ。

純粋な自重スクワットでは足りなかった俺は、これを持ってトレーニングをしていたのだ。

重さは100キロ以上あるし、いいじの荷重である。

「この壺を下ろす? まぁ、確かにずっと持っているつもりもなかったが……」

俺にとっては、ただの重りだしな。

俺は元の位置に戻すべく、部屋の中を歩き始めるのだった。

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