《遙か夢こうのデウス・エクス・マキナ》第二章 第二話 初陣、機

丘向こうから現れた機1機が他の2機より先行し近づいてきた。3機の機とマキナの間にピリピリとした空気が流れる、そんな空気を割いたのは相手側からだった。

「そこの所屬不明機!いますぐ武裝を解除し投降しなさい!大人しく投降すれば手荒な真似はしないと約束する」

こう言ってきてはいるのだが、イゼは全く信用していなかった。恐らく先ほど蹴散らした奴らの中にこいつらを呼んだ奴がいるのだろう、十中八九手荒な真似はしないと言っているが噓だろう。近くの反応が無くなるまで奴らの仲間を躙したのだ、そんなすんなりと許すわけがない。自分だったらそうするに決まっている。

イゼはそう結論付け拳を構える、それに呼応するようにマキナも拳を構えるのであった。

どうしてこうなったのだろうか、いつものように仲間と駄弁りながら門番をしているはずだったのに。急に上司から所屬不明の敵対機が現れたから対応して來てくれと頼まれ、いざ現地に向かってみると燃えるスラム街の周辺に死累々の裝甲服を著た別部署の奴ら。目の前には所屬不明機が一機、見惚れるほどにしくだが禍々しさもある。

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とりあえず聲をかけて見ることにする。

「そこの所屬不明機!いますぐ武裝を解除し投降しなさい!大人しく投降すれば手荒な真似はしないと約束する」

これは本心である、こんな門番をしている年おいたおっさんたちが戦おうだなんて思うわけがない、戦わずに済むのであれば萬々歳だ。そんな相手の反応は…拳を構えていた。渉は決裂のようだ。

「駄目なようだな…覚悟を決めるしかねぇ」

「噓だろ、俺戦うの定期訓練以來だぞ」

「俺もだよ…」

男たちのけない聲が通信間でわされる。

「じゃあ囲んで叩くぞいいな?」

「おう」「分かった」

こうして戦いの火蓋は落とされることとなる。

マキナを中心にして敵機が囲むように移してくる。イゼはそれを目とマキナのセンサーで追い警戒する、こちらの手元には武になるようなものは無く接近するしかがない。敵機は大盾にを隠し學銃をこちらに向けている。

先にいたのは敵側だった、相手は牽制のつもりか機力を削ぐつもりか足元を狙ってきた。土煙が巻き上がり視界が防がれる、が弾が飛んでくる方向とセンサーで位置は分かる。土煙の中から目の前にいた敵機に向かってタックルをかます。

「ふんっ!」

タックルは見事命中するも大盾を構えられていたがためにノックバックさせただけとなる。

勿論それだけで終わるわけがない、全スラスターをフル稼働、半円を描くように移し敵機の真後ろを取る。頭を摑み足払いをかける、すると両手がふさがっているうえにバランスを崩された敵機は後ろに倒れるしかなかった。肩に片足を置き腕のスラスターを稼働させ頭を思いっきりねじりながら引っ張る、メキメキと音が鳴り始め徐々に敵機の首がびていく。

土煙が晴れたのかこちらに學銃を発砲する2機の敵、だがその銃弾はすべてマキナの裝甲に弾かれダメージを與えることは無かった。足元の敵機の抵抗もむなしく徐々に異音は大きくなっていく。

「うらあああぁぁぁぁ!」

揺する敵を目に全力で腕を引き上げる、そしてとうとう敵機の頭がバキバキと音を立てながら引き抜かれることとなった。そしてそのまま押さえていた足を振り上げ銃を持っていた腕の肩関節部分を狙い振り下ろす、ゴギャッっと音がした後足を退けると関節部分は潰れていた。恐らくもう自由にはかせないだろう。まだ片腕が抵抗する素振りをしているがもう問題は無いだろう。

「ふぅぅぅぅぅ…次!」

イゼは大きく息を吐き白い歯を見せながら次の目標を決めるのであった。

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