第八地區メイン工房にて、所長と呼ばれていたがマキナの縦席を開けようと試行錯誤している姿があった。普通の機兵ならばいじれば縦席を開いてくれる部品があるのだが、この機からはその部品が見つからない。他の部分にあるのかはたまた部品自がないのか。

現狀縦席が開けれないことが分かったので他の部分を見ていく、それにしても。

「こんな綺麗な機兵今まで見たこと無いんだよねぇ…ん？」

機の裝甲部分を指ででているとザラっとした部分に當たる。そこを見ると何かが彫られていた。

「…れてて全部は読みにくいな、なになに？ス…マキナ？読みにくいし…この機名稱かな？にしても掘った人は何考えてるんだ、こんな雑に掘ったら亀裂になって裝甲がはげちゃうのに…いや？」

は突然堀跡を爪でカリカリと削る。

「この裝甲…舊世代オルジェネ級じゃないの？なら裝甲が壊れてないのも納得だし、だとしたらこの機兵全部が舊世代級？殘ってるのが不思議なくらいだけど…だから見たことがなかった…？いやでもこの僕が…」

そうぶつぶつと呟くを周りが不思議な目で見る中、とことことどこかへ歩いていくのであった。

あれからニ日ほどたったのだが未だこの牢獄から出られる気配がない。イゼは看守に何度も説得を試みているのだが一向に開放してくれる気配もなく、というか反応すらしなくなってきたのだが。

「いい加減出してくれないかなぁ…ご飯は味しいんだけども」

そう、ここでは固形食糧ではなくパンや野菜が出てくるのである。逆に言えばそれだけなのであるが、イゼにとっては珍しいものである、さすが都市部。次はどんな手で看守の注意を引こうかと考えていると。

「おい、一応バッグの中の査は終了したぞ。端末からは、伝子報が一致するデータが見つかったことからお前のものであると一応判斷された。機兵に関してはまだ査中な上呼び出しが來ている、地図は端末にれておいたからそれで見るといい、今日中には工房まで行くように」

とうとう牢屋の中から解放される時が來たのである、イゼは空に向かって両腕を突き上げる。

「やっと出れるぅぅぅ！やったあああぁぁぁ！」

「あぁ、うるさい！さっさと行け！」

しっしと手を振る看守、荷をけ取ったイゼは急いで牢を出る。パタパタと足音を響かせながらイゼはその場を去っていったのであった。

晝食に久しぶりの固形食糧をかじりながら街中を歩くイゼ、周囲にはそれなりに人通りもあり、たまにイゼの方を見る人はいれどすぐに橫を通り去っていくため視線はそこまで気になるものでもなかった。イゼを見る人はぼろぼろな服裝を気にしてか、はたまたその容姿に見惚れているか恐らくその2択に分かれるであろう。

そんなイゼは工房までの地図をくるくる回し眺めながら歩いていた。

「それにしても便利なものだなぁ…でもなんで私の伝子報？とかってたんだろう。最初にったのはマキナの中だったしなぁ」

畫面をトントン叩くが反応はいまのところない、これをどうにかしていた人…ひょう爺ぐらいだろうか。ところで今ひょう爺はどこで何をしているのだろうか、そう考えるも勘當だと言い渡され喧嘩しているような狀態で腹も立てていたイゼはすぐさま頭を振りその思考を振り払った。

「工房？はここか…ちょっと遠いな。ん、商店街がある！先にこっちに行ってからでいいよね、よし！」

そう決めるとイゼはバッグを背負い直し歩道を駆け商店街方面へと走っていったのであった。