賊のリーダー機との戦闘後、楓と戦っていた取り巻きの賊は大人しく投降。賊のリーダー含め3人を捕縛、アマディロも1機あまりダメージの無い機を回収し商業都市を目指して移を開始した。賊たちは簡易輸送コンテナの中に放り込んである、乗せる際に子二人にやられたのかと悔しそうにしている顔は何とも言えない表だった。

そんな賊たちを乗せて移するイゼと楓の二人、襲撃されたもののマキナも反重力車も無事であり移するのにも何ら問題は無かった。下手をすれば両者とも撃破されていたかもしれないと思うとぞっとしてしまう。

「それにしてもイゼちゃん危なかったね…マキナの修理にメンテナンス、杭の補給も必要だし。私の貯金でしばらくは持つけど何かしら稼ぎ先を見つけないと、賊の捕縛金も出るといいんだけど」

「賊ってお金になるの？」

頭に？を浮かばせながらイゼが聞いてくる。

「一応ね、名が知れていればそれだけ捕縛金も高いんだけどうまくやってる連中は近郊都市に名前が知られにくいから。殘念ながら捕縛金はないね」

「因みに捕まった人たちはどうなるの？」

「鉱山か工場送りだね、罪によって行く場所は違うよ。それもどれだけ知られているかだけどね」

そう話しながら進んでいると前方に町の外壁が見えてきた、日もだいぶ傾いてきている。

「なにはともあれまずは報告からだね」

「はーい」

道路沿いに並ぶ車や反重力車の列の最後尾に反重力車を著け順番が回ってくるまで待機することとなった。

イゼたちの順番が回ってくると早速コンテナの中に閉じ込めている賊たちのことを報告、最初は子二人だけということで訝しまれていたものの、楓の分証を見せたのと実際に船とコンテナを確認してもらうと信用してくれたらしく賊のけ渡しは完了した。捕縛金に関しては楓に言われるがままイゼの分証を提示した後、そこに振り込まれるとの説明をけた。

次に生活必需品やメンテナンス用鋼材、杭の補給を行うことにした。街中は反重力車ではきがとりにくいので停車している場所まで持ってきてもらうことにしている。イゼはタッチパッドで購できる品々に目を輝かせながら楓の説明をけていた。

しばらくして格納庫に楓が室する。

「さて…どうするかなぁ」

現在楓には一つの問題がある、それはマキナのことである。この機裝甲は舊世代級のものであり現代では復元不可能とまで言われている代である、そんなマキナのメンテナンスを行うのは難易度の高いことなのである。

大変珍しい機であるマキナをメンテナンスできるのは嬉しいことではあるのだが、早速楓はイゼから聞いていた攻撃をけた場所を調べてみる。

パイルバンカーを裝著していた腕部分は損耗が激しく一部パーツの置き換えが必要となっているのを確認した。

次に脇下部分を思いっきりあの大剣撃ちつけられたといっていたがどれだけの被害が出ているのか確認してみる。楓がマキナの脇下部分を確認してみるとそこには………新品同様の裝甲がライトに反され輝いていた。

「…は？」

おかしい、確かにイゼからここに強力な攻撃をけたと聞いている。なのに目先に映っている裝甲にはけた傷らしきものが一切見えない。より近づいて裝甲をじっくりと観察する、見てれて何が起きているかを確認する。すると違和をじた部分が出てきた、そこはすこしふっくらしており位置としては攻撃をけたといわれる場所と一致する。

まるで側から何かに押し出されたような、周りの素材とは違いはないのにどこか違和をじる。

ほかの攻撃をけた場所を確認してみる細かい傷は見けられたもののどれもそこまで気にするほどのものではなく研磨すれば綺麗になる程度、脇下と同じようなところは発見することはできなかった。

「どういうことなんだろ…？」

疑問は盡きないがメンテナンスは続けなければならない、関節部分も見ていく。ここは他と同じく損耗しており締め直しなどの作業が必要であった、だが進めていくとわかるのだがやはり違和をじる部分はあの脇下部分だけであった。

楓は作業用ドローンに指示を出しながら裝甲部分を研磨していく、きれいに磨かれたマキナのをってみるとほのかに暖かい、まるで生きているようにもじる。まぁメンテナンス用に溫水を各部分につながるチューブに流しているので當たり前ではあるのだが。

こう人型のものが溫かさを持っているとまるで生きているあのように錯覚することがある。これは自分だけだろうか、そう思ってしまう楓であった。

一通りのメンテナンスが終了しあとは異常がないかスキャンをするだけである。すると格納庫にイゼがってきた。

「楓～！そろそろ晩飯にしよう～。あと新しく買った見てみようよ！」

イゼがそう無邪気に上から呼んでくる。

「わかったー！今行く！」

メンテナンスをドローンたちに任せ楓がその場を立ち去る。そんな微笑ましい二人の後ろ姿をマキナは見ていたのであった。