《遙か夢こうのデウス・エクス・マキナ》第五章 第三話 無邪気さに苦悩

楓が運送品の手続きから帰ってきてからイゼの姿が見えないので車を探し回っていると、格納庫のマキナの縦席で何かしらの作業をしているのか、イゼの姿を発見できた。

「イゼちゃーん!手続き終わったよー!」

「ん、はーい!」

そう返事するもすぐに顔を引っ込めてしまい何の作業をしているのかは分からなかった。

「…?」

楓も別段追及するほどのものでもないためそのままにし數分後にやってくる運送品の搬準備を行うのであった。

「こっちにお願いしまーす」

楓が業者の人々を倉庫へと導し積み荷を次々と搬してもらう。今回輸送するものは服や電化品などを中心としているのだが、一番の目玉となる運送品は2機の機である。楓の所有する反重力車は最大4機までの機を詰めれば格納可能であり、その上起は報酬金も多額になるため引きけない選択肢はなかったのだが。

今回運ぶ機はグラディエーター。名前からわかる通り闘技場などで使われる対機用起、ここ等の近郊都市、グロコムには闘技場がありその闘技場では賭け事が盛んである。そこへ運ぶよう指示されたのだ。

とある理由であまり近寄りたくない都市ではあるのだ…しかし運送品の輸送先をこちらが決めることはできないのでなるべく短期間で済ませようと決めている。

そんなことを考えているとグラディエーターがそれぞれ運ばれてきた。

「イゼちゃーん、ちょっとかすから揺れに気を付けてねー!」

返事はない、が恐らく聞こえているだろうし揺れもそこまで大きくはないだろうからマキナとアマディロをしずらす。

「アマディロもどっかで売り払わないとなぁ…」

盜賊たちが使っていたために所屬不明機扱いされているので売卻額もそこまで高くはないのだが、スペースを取ってしまうため早めに売っ払ってしまいたいところである。一応いつでも売れてはいいようにメンテナンスや修復を行っている。

グラディエーターも無事格納され最後の品も倉庫に積み込まれ固定も完了した。そろそろイゼを呼んで出発しなければ、そう考え楓はマキナの縦席へと近づくのであった。

「~♪」

楓が搬作業をしている中ずっとマキナの中で端末をいじっていたイゼ、夢中で端末に向かって何かを作していたようだ。時に笑顔になり、難しい顔になったりとコロコロと表を変えながら端末に向き合っていた。ふぅと一息ついた頃、そんなところに楓がやってくる。

「イゼちゃん、何してるの…?」

楓が端末をのぞき込む、そこには。グロコムコロシアムトーナメントエントリー完了の文字が。

「えっ…」

楓が固まりつく。

「ん!楓、次ここ行くんでしょ?面白そうだったからエントリーしちゃった。ちょっと時間はかかったけど一人で準備はできたよ!ね?いいよね!マキナと一緒に出るの!」

「う、うん…」

苦笑い狀態の楓、そのまま後ろを振り向き頭をガシガシと頭を抱える。本來であれば運送品を運び終わりさえすればすぐ次の街に行きそこでマキナの新たな強化パーツやアマディロの売卻などを考えていたのだが、その考えはイゼの行により瓦解したのであった。

「楓…?」

「う、うん…問題ない、問題ない…」

「…?」

頭に?を抱えるイゼをよそに楓は格納庫の外に出て今後の方針を急いで考え始めるのであった。

    人が読んでいる<遙か夢こうのデウス・エクス・マキナ>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください