《獻遊戯 ~エリートな彼とTLちっくな人ごっこ~》「俺はもうし一緒にいたい」5

扉の外では引き続き、ドタバタと慌てている足音がする。

その間にチャイムは何度も鳴らされており、「清澄ー」「清ちゃーん」と彼の名前を呼ぶ聲も聞こえた。

……誰なんだろう。

こんな時間に、がふたりも訪ねてくるなんて。

扉の外の様子はまったくわからない。

ドアの上部にほんの小さな磨りガラスの窓が付いているがそこから覗いたところでなにも見えないだろう。

洗面所の電気を點けることもできるけれど、この小窓かられたらバレてしまうため、私は暗い中で音を立てずに座り込んだ。

なにが起こっているかわからないのに、言われた通りに息を潛める。

「あ、やっと開いた。清ちゃぁん、會いたかったよー」

「お邪魔するねー」

「……麗奈、凜花……」

〝麗奈〟と〝凜花〟。

そう聞こえた。

自分も莉と呼ばれていることを思い出し、ギクリとする。

「今日は用事があるっつったろ!  なんで來るんだ」

「いいじゃない、私たちここにいるから用事済ませてきてよ。お風呂って待ってるから。あ、私のヘアマスクある?  」

「ねぇよ!」

「ふふふ、清ちゃんちにお泊まりするの久しぶりだぁ」

……え。これどんな會話なの?

あんまりの子と連絡とらないって言ってたのに、彼たちをいつも泊めているような口ぶりだ。

近づいて聞き耳を立てたいが、見つかってはならないという言い付けが脳裏をよぎり、私は洗面臺の隅で小さくなった。

外から帰って手を洗おうとすればいずれここは見つかってしまう。

もっと奧に隠れた方がいいだろうか。

私は音を立てないように慎重に、繋がっているお風呂場への押戸を開いて中へった。

「……え」

賃貸にしては綺麗で広い洗い場と湯船、そしてシャワーが備え付けられており、ホテルのようなブラウンのバスタオルとフェイスタオルが天井近くの棚に準備されている。

その橫には、用の人気のヘアマスクのボトルが寢かせて置かれていた。

間違いなくのために準備されたもので、ボトルのピンクみがかった中はすでに量使われた形跡がある。

「清ちゃん、今夜は三人で楽しもうね」

「清澄。寢かさないわよ」

じわじわと理解し、私は暗いバスルームの真ん中で、聲がでないよう口を押さえた。

今夜は三人で。

──清澄くんって、そういう人なの?

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