《とろけるような、キスをして。》二度目の帰省(3)
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元々掃除は嫌いじゃない。だから始めると時間を忘れてしまったりする。先ほどの面接も然り、今の掃除も然り。何かに熱中すると、周りが見えなくなってしまうのは昔からの悪い癖だ。
ふと気が付いたのは、スマートフォンが著信を知らせた時だった。
「……もしもし?」
『あ、みゃーこ?今どこ?』
それは先生からの電話。
「まだ実家だけど」
答えて何回か會話をしているうちに外から車の音がした。
先生が來たのか。そう思って電話しながら玄関から顔を出すと、案の定そこにはスマートフォンを耳に當てた先生の姿が。
ひらひらと手を振ると、その端正な顔立ちは急にムッとした表になる。
「こら、誰か確認してから出ないと危ないだろう」
電話を切った先生は、開口一番にそう叱ってきた。
「ごめん。先生來たのかなって思って」
「うん。そうだとしても最近は騒なんだから、ちゃんとインターホン出てからにして」
「はぁい」
素直に返事をしてから、「る?今掃除してるから埃っぽいかもしれないけど」と家の中を指さす。
「うん。お邪魔します」
「どうぞ」
玄関にるように促して、私は家の中に戻った。
「掃除してたって?一人で?この家全部?」
「うん。だってこっちに帰ってきたら私ここに住むから。今のうちから整理しておかないと」
「なるほどね。それなら俺も手伝うよ」
「……ううん。大丈夫。ここは両親との思い出がいっぱいだから。それを思い出しながら一人でゆっくりやりたいなって、思って」
「……そっか。そうだよな。俺が無神経だったわ。ごめん」
「ううん。ありがとう」
先生の方は用事が終わったらしい。
窓から外を見るともう薄暗くなり始めていた。
続きはまた明日にしよう。
「先生、晩ご飯何食べたい?」
「うーん、みゃーこの得意料理が良い」
「得意料理……わかった。買い行っても良いかな?」
「ん。行くか」
先生の車に乗り込み、近くのスーパーへ。
先生がカートを押してくれて、私はその橫で食材をカゴにれていく。
「なんかこういうのって、夫婦みたいだな」
「なっ……変なこと言わないでよ。ほらっ、お見にいくよ」
「はいはい」
締まりの無い表の先生。何がそんなに嬉しいのか。
おコーナーで挽を手に取り、カゴにれる。
得意料理と言えるほどのクオリティかどうかはわからないものの、泊めてもらうお禮だ。
どうせなら頑張って味しいって言われたい。
「何作るの?」
「……ハンバーグ」
子どもっぽいかな。そう思いながら言うと、
「お、やった。俺ハンバーグ大好き」
と嬉しそうな顔。
「俺チーズりがいい」
と一人でチーズを探しに行く先生を後ろから追いかける。
付け合わせの野菜も買って、先生の家にある調味料を聞いて足りないものを買って。
明日の夕食分の買いも済ませておく。
「酒は?飲むか?」
「でも先生飲めないんでしょ?ならいいよ」
「弱いだけで酒は好きなんだよ。せっかくだからみゃーこと一緒に飲みたいし」
「んー……でも先生は明日も仕事でしょ?飲むなら明日の夜にしようよ」
「あ、それもそうだな」
どうやらあまりお酒に強くない割に家にビールはあるらしい。なんでも學生時代の友人が置いて行ったんだとか。
「じゃあ明日は唐揚げも追加しようか?」
「お、いいね。最高じゃん」
鶏も追加で買って、スーパーを出た。
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