《とろけるような、キスをして。》甘い香り(1)
「いただきます」
「いただきます」
二人で手を合わせて、カウンター前にある椅子に橫並びに腰掛けて食べる。
一人暮らしにダイニングなんて必要無いから、と先生はこの対面キッチンのカウンターをテーブル代わりにしているようだ。
ほかほかのご飯とデミグラスソースがかかったチーズインハンバーグ。付け合わせにはポテトのソテーとにんじんグラッセを。コールスローサラダも申し訳程度に添えて、ハンバーグプレートにした。
「うまっ!やば、うまっ」
先生はずっとそればっかりで、すごい勢いで食べてくれた。
私はそれを橫目にいつも通りのペースで食べる。
「……誰かに手料理振る舞うのなんて、初めてかも」
ポツリと呟いた言葉に、先生はこちらをじっと見る。
それは、驚きの表……かな?
「私の手料理、食べたの先生が初めてだね」
もう一度言うと、嬉しそうに顔を綻ばせる。
「おいしい?」
改めて聞くと、口いっぱいにハンバーグを頬張っていたからかうまく喋られなかったようで。
何度も頷いて"味しい"と教えてくれた。
食べた後、食やフライパンを洗ってくれた先生。
慣れた手つきで洗ったお皿を拭いて食棚に戻していた。
私も手伝おうとしたら拒否されて、家主に"テレビでも見てて"と言われてしまえばそれに従うしかない。
普段は見ない夕方の地方局の報番組を見る。今話題のお店とそのメニューが紹介されていくものの、なんだか落ち著かなくて容は全く頭にってこない。
食を洗い終わった先生は、お風呂のお湯張りのボタンを押してから私の隣にそっと腰掛けた。
「なんか面白いニュースやってる?」
「全然。ご飯屋さんの特集ばっかり」
「気になる店あった?土日に行く?」
「うーん、あんまり真剣に見てなかったからなあ」
「そっか」
ふと、沈黙が訪れた。
テレビから流れるアナウンサーの聲が、部屋に響く。
それを聞いていると、段々と瞼が重くなってくる。
「……みゃーこ?眠い?」
「……ん、ちょっと。今朝早かったから……」
時刻はまだ十八時くらいなのに。
お腹がいっぱいになったからか、急に眠くなってきた。
「寢る前に風呂ってきな」
「うん……」
口に手を添えながら、大きく欠をする。
なんとかグッと目を開いて、先生が沸かしてくれたお風呂にった。
そして、トラベル用に持ってきていたはずのシャンプーやコンディショナーなどを荷の中に忘れてきたことに気が付いた。
「……先生、ごめんね。ちょっと使わせてもらいます」
何故だか両手を合わせて、シャンプーボトルにお祈りするように目を閉じた。
そして普段先生が使っているであろう、シャンプーを借りて頭を洗う。
湯船にしっかりと浸かって、ほかほか狀態で上がってくるといくらか目が覚めて、あらかじめ所に置いておいたスウェットに著替えて髪を乾かす。リビングに戻ると先生がれ替わりにお風呂に向かった。
その間、私はバラエティ番組に切り替わったテレビをボーッと眺めていた。
そして次第にまた睡魔が襲ってくる。
思っていた以上には疲れていたらしい。いつもならまだまだ起きていられるのに、眠くて眠くて仕方なかった。
滲んだ涙を指で拭きながら、どうにか寢ないように目を開こうとする。
「みゃーこ?やっぱ眠い?」
もうそんなに時間が経ったのだろうか。あっという間に上がってきた先生は、私が寢そうになっているのを見ながら首に掛けたタオルでガシガシと頭を拭いていた。
また欠をしながら頷くと、
「おいで」
と隣に座った先生が私の背中から腕を回して引き寄せる。
コテン、と先生の肩にこめかみが當たる。
そのまま一定のリズムで私の腕の辺りをトントンとしてくれる手に、睡魔がさらに襲ってきた。
子ども扱いされているようなそんな気もするけれど、その手が優しいからあまり気にならない。
むしろ、そのリズムが心地良く脳に響く。
「……みゃーこ、疲れてんのに無理させてごめんな。ハンバーグ、味かったよ。ありがとう」
耳元で囁くような聲が聞こえ、ゾワリとした耳を隠すようにを捩る。
すると、先生からまた甘い香りがした。香水だと思っていたこの香りは、先生自のものだったのだろうか。
半分寢かかりながら、その香りのする方にり寄るように顔を近づける。
「……みゃーこ?……ははっ、マジで貓みたいだな」
先生の笑い聲が、子守唄のよう。
「……おやすみ」
らかなその聲を聞きながら、夢の中へ落ちていった。
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