《悪役令嬢は斷罪され禿げた青年伯爵に嫁ぎました。》第4話 しい妻と禿げた旦那

「セシリアさん、注文していたドレスが屆きました」

と朝食の席で禿げた旦那様に申し訳ないような顔で言われる。まだ自信のない旦那様だ。

「後で試著しますわ。ありがとうございますね」

と優雅に微笑むと照れたのか視線を外した。今までの男たちは皆私を見ていたので視線を外されるということはあまりなかった。

朝食が終わると早速試著してみる。

中々に良いものだ。きっと値がしたろう。一応注文の時に旦那様の髪の淡いクリームががった合いのドレスにするよう言って…瞳は碧だから綺麗なエメラルドグリーンの寶石類をに付けてみた。

鏡の前でくるりと確認する。

中々に良いスッキリとしたデザインで元は控えめにフリルで飾られ肩は出ないが著てみると腰のラインも良くドレスのスカート部はレースがあしらわれ薔薇のモチーフが所々に有り良い。

でも、ボディライン良すぎてまた男達寄って來そう。しかし旦那様もいることだしそんなに手を出してくるかしら?もちろん鬱陶しいので斷るが。大近寄ってくるのは私の目當てだろう。私はまだ純潔だ。

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トントンとノック音がして旦那様が聲をかけた。

「セシリアさんってもよろしいでしょうか?」

「ええどうぞ!ローレンス様」

と言うとそろそろと室し、私を見て絶句し、赤くなり口をパクパクさせた。

「セシリアさん!ととと、とてもおしく似合っております!!眼福です!」

と恥ずかしさからか手で顔を覆った。

「……當日はよろしくお願いしますね!」

と言うと申し訳なさそうに

「は、はい…」

と言う。

それから

「僕とのダンスの後はきっとたくさんの方に申し込まれるでしょう…。その後良い方が見つかれば良いですね。僕のことはお気になさらず!」

と言うので

「いえ!他の方とは踴りませんわ!旦那様!そんなに私を誰かと浮気させたいのですか?ダンスが終わったら挨拶してとっとと帰りましょう!長居は無用!」

と言うと驚く。どれだけ浮気してもいいとか思ってたのか。

「………出會いの場ですよ?こんなチャンスは…」

「もう結婚しているのです!私は!浮気は致しません!!」

「でもセシリアさん…勿ない…」

とまた言う。

「まぁ!勿ない勿ないとうるさいですわねぇ!私は浮気などしません!!夜會で私に近寄るのは下心を持った下品な輩達ばかりですわ!目當てです!そんな方との浮気など勧めないでください!」

「すすす、すみません!!」

と怯えてローレンス様は謝る。もっと自信持てばいいのに。

「また背中が曲がってますわよ!」

バシと気合いをれる為背中を叩いてやるとローレンス様は弱々しい顔で

「頑張ります…」

と言った。

彼は夜會でのカツラの著用はしないと私と決めた。もう噂になっていることだし付けてても意味がないのだ。笑われることは判っている。だが私だって悪と罵られている。

せめて王子の前で今とても幸せだとアピールしておくのが目的だ!それさえ果たせたらいい!

奴は私達を笑いに來て恥曬にするだろう。

ムカつく!あのクソ王子め!

「ローレンス様!エスコートの練習とダンスの練習をしましょう!常に私の腰に手を置いて自信を持ち微笑んでいる練習も!」

すると真っ赤になるローレンス様。

「ローレンス様!?赤くなっていてはダメです!私達は一応新婚なのです!仲睦まじい姿と周りに印象付けなくては夫婦仲を疑われます!」

「……はい!すみません、頑張ります!」

と言い私達は練習を始めるがの人に全く慣れていないローレンス様はガチガチに張している!も固くダンスがガクガクとしている。これではダメだ!疑われる!

「ローレンス様…私達…もっとスキンシップが必要なのかもしれませんわ」

日頃から慣れておくべきだ。

と言うと彼はまた赤くなり

「スキンシップ!?そんな!恐れ多い!!」

と言う。

「全く恐れ多くありませんわ!まず、貴方の張を無くさないと。これからは手を握る練習もしましょう」

と手を差し出してみると照れて目を瞑りギュッと握る。

し震えていた。

「大丈夫ですよ?何も怖いこともありませんしリラックスなさって力を抜いてください。ね?」

と笑むとますます張されるから困る。

しいとは罪だわ!

それから手繋ぎは毎日行われた。やはり張して目を逸らしてばかりだ。

一応髪にいい分の食事や塗り薬も渡しておく。喜んでくれたがやはり申し訳なさそうだ。どうしたら心から笑えるのだろうか彼は。ここに來てからは彼の本當の笑顔を私は知らない。きっと辛い思いばかりしてたからだ。

今彼に必要なのは優しさなのかもしれない。

食卓には花を飾り心を癒させることにした。

リラックスさせる為に毎晩マッサージ師を呼びつけた。もちろん男のだ。

「私がやってもいいのですよ?」

と聞くとブンブン首を振り

「とんでもありませんっ!!」

と言った。

「旦那様…ローレンス様…夜會ではきっと私達のことを勘ぐる輩もでます。せめて張しないように!」

「わわ、判ってます!ですが!あまりにもセシリアさんがおしく僕には太のように眩しいのです!」

と言う。

「まぁ…ローレンス様お上手ね。うふふ」

と笑うとますますタコになった。

「そうですわ!今度皆で池を掃除しますの!私も作業著に著替えてやりますの!ローレンス様もどうです!?たまには!」

「僕もですか?」

「はい!かして元気になりましょう!張も解れます!」

「はっ…はい…」

と返事して池の掃除を了承した。

私リネット・ハンフリーはセシリアお嬢様の侍だが、お嬢様はあのような禿げた旦那様にも嫌がることなく接して禿げだけに勵ましている。

影ながら応援したくなるほど。旦那様も自信がないだけで悪い方では無いようで安心した。々地味な顔だけど。

そこで新しい庭師が面接に來た。まだ若い男だ。ウォルト・バロウズと言う、赤だが真面目そうだ。し可らしい印象だ。庭を案してやると

「こんな酷い庭初めてだ。植が可哀想だ!薬草園も枯れてる」

「そうなの…酷いことだわ。直せる?」

「ええ。給金もらえるし仕事だからちゃんとやりましょう」

とやる気だ。ここの使用人も見習ってしい。

「奧様をチラリと見たけどしい方だな!」

「手を出してはダメよ!!言っとくけど!奧様はセシリア様は心だって綺麗な方!不埒な真似するなら許さない!」

と牽制すると

「…はい…。あんなしい方遠くから見ているだけで充分でしょう。

しかし判らないな。何故奧様は旦那様とご結婚されたのだろう?噂じゃ初夜どころか一度も床を共にしてない未だに純潔とか聞きました」

と言うのでガッと襟首を摑んだ!

「ちょっと!そのこと…外で言いふらさないでよ!?他の使用人たち…ベラベラと話しすぎだわ!そんなこと社界で知れたら…セシリア様に群がられたら!」

ひっきりなしに口説かれるだろう!セシリアお嬢様は昔から外見で判斷しない人だ。

どんな人の欠點を見つけるのも上手くアドバイスした。

でも今回の夜會では特に注意すべきだ。私も気を付けておかないと!

そんな私にウォルトはしあどけない顔でやんわり笑い私の手を両手で包んだ。

彼からはとてもいい匂いがした。

「な、何を!」

「もっと…奧様の話が聞きたいな…」

と目を見ているとボウッとしてきた。

          

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