《悪役令嬢は斷罪され禿げた青年伯爵に嫁ぎました。》第6話 夜會に向けて

王家主催の夜會が迫り明後日には王都へ向け3日かけて出発しなくてはならない。

のリネットはあの王子が差し向けた庭師の罠にまんまと嵌り香水の作用でボウッと彼が気になっていたことに悔いていた。

「あんな罠に嵌ってしまい本當にお嬢様に合わす顔がございませんわ!!」

「合わせてんじゃないの。まぁ顔は可いしリネットのタイプだったものね。香水に引っかかっても仕方なくてよ」

と言うリネットはガクリと項垂れた。

「すみません。もうちょっと警戒すべきでした…」

と反省した。

「そうよ!男は顔でなく中をまず見るべきよ。王子みたいに顔が良くても格が最悪な奴はゴロゴロいるわ」

「ですね!その點旦那様はご安心ですかね?お嬢様から見てどうです?いえ、いい加減奧様ですわね」

とリネットが言う。

「別にどう呼んでもいいわ。まだ結婚という実もないし初夜もしなかったし寢所は別。何もないし…茶飲み友達か良きアドバイザーかしら?ホホホ」

と私は言う。

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「お嬢様には男のタイプというものは存在しないのですか?」

「タイプねぇ…。そう言われても今までは王子の婚約者だったし別に王子もタイプでは無かったし夜會でダンスにわれた男達も下心丸出しでジロジロ人のから顔ばかり見て鼻の下をばしていたわ…」

なんだか男が全員そう言うものに見えてきてやだわ。

事実あの庭師のウォルトもそうである。命令とは言え目的なのだから。

慣れしてないというか馬鹿にされている旦那様は純粋ですよね。お嬢様を見て赤くなるし手を握られると震えるし」

「そうねぇ。自信も無いしね」

これでも勵ましてはいるけど現狀禿げた頭であるから自信がつかないのだ。

「夜會では旦那様は間違いなく笑われることは判ってますが本當に大丈夫なのですか?」

本人も散々解っているから落ち込んでいるが王家主催の國中の貴族が呼ばれる夜會に出席しないのは角が立つ。

私だってできれば行きたくは無い。

誰が好き好んで笑われに行くものか。

旦那様には頭にいい食材やお薬などを渡しているし、ストレスがかからぬよう優しく接しているし、屋敷の者にも心をれ替え仕えるように言ったのでだいぶ改善はされているはずだ。

私は禿げが治ったら子作りしょうとも言い勵ましたが。ローレンス様にはやはり私に遠慮があった。

何となく自分とはけして縁のない人間だと思われている。心に深く鍵があるようだ。

加えてうちの実家の方が家格は上なので妻に対して頭が上がらない狀態だ。

ローレンス様の良いところは気遣いができるくらいだ。だが裏を返せば人に気遣ってばかりで自分のことは二の次で疲れてしまう。それでは余計に心労が嵩む。

私はお茶を持ちローレンス様の部屋をノックする。

「はいっ!すみません!!本日の練習ですか!?」

と慌てて出てきて中へれる。きちんと整頓はされている。椅子を引き座らせてくれる。

「ローレンス様…私に遠慮なく。このお屋敷に來て數ヶ月…まだ張なさってますわね?」

「それは…本當に勿ないくらいおしいセシリア様ですから」

「ほらまた!様はいいですから!」

「す、すみません!セシリアさん!」

「謝らなくともいいのですよ?肩は懲りませんか?私みましょうか?良いマッサージのツボを教えましょう。リラックスできますわ。

明後日から3日も馬車旅ですわ。

私の顔を見ると張なさるなら別の馬車に私リネットと乗りますわよ?王都へ著く前にささっと一緒に乗ればいいのですよ?」

と言うと

「えっ……そ、そうですか…」

としょぼくれるから察した。

「勘違いなさらないでください!けしてローレンス様と同じ馬車が嫌だとかではありませんのよ?張して疲れて病気になるより一人でびされた方がいいかと。一人が不安ならもちろん乗りますわよ。面白い話を沢山してあげますわ!」

「面白い話とは?」

「それは今話しては意味がないですわ!」

「た、確かに…そうですね!」

と気付いたので私はおかしくなり笑った。

「ふふふ、旦那様ったらおかしいわ」

と笑うと赤くなり

「で、では一緒に乗って面白い話を沢山聞かせてしいです…」

とボソリと言うから了承した。

「いいですよ!楽しみにしててくださいな!」

禿げてはいるが本當に悪い方ではないしむしろ気遣いすぎて優しい。

私はギュッと手を握ると言った。

「夜會では片時も離れませんよ!笑われても私は恥ずかしくなどありませんし外見ばかり見る者の方が恥ずかしいと思ってくださいまし!」

「何かセシリアさんはそれを信念のように思ってらっしゃるのですね、凄いなぁ」

「恥じることはありませんよ!大丈夫ですからね!ローレンス様!」

と力強く言う私にローレンス様は言った。

「貴方がいれば僕は自信が持てるような気がします…!」

と前向きになった。一歩前進されたと思いし嬉しくなる。

私は男の人に対して乙のような幻想は持ち合わせていないし本目的な奴ばかりだわと思っていたが、私の旦那様はし違う。そう、今まで會った男の人は皆積極的に話しかけて気を引こうとしたが、ローレンス様は真逆で消極的だったからだ。

しかも禿げている。

今までとは全く異なる欠點だらけの男。応援したくなる。

「ローレンス様…それでは明後日の準備の確認をしてきますわ」

と立ち上がると慌てて

「は、はい!ありがとうございました!」

と禿頭を下げそうになるのを手で制した。そして私はローレンス様に近寄り頰にチュッと挨拶のキスをした。

すると見る見ると赤くなり

「え…へ?セシリアさん??」

とローレンス様は突然のことに対処し切れず戸っている。

「挨拶ですよ?これくらいできないと社界では仲を疑われてしまいますわ!さぁ、ローレンス様もどうぞ?」

と私は頰を差し出すようにする。

「えっ!ぼ、僕も?そそそんな!」

後ずさる旦那様ににじり寄る私。

「ただの挨拶です!夫婦は皆やってます」

「あ…ふえ…そのう…」

ともじもじしつつも一向にかない旦那様。

とりあえず待ったが張でけないらしい。

「はぁ。とにかく出発までに何とか…できなければ馬車の中で練習ですよ?出來る様になってくださいね?」

と微笑み私は部屋を出て荷作りの確認やらを始めた。

          

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