《悪役令嬢は斷罪され禿げた青年伯爵に嫁ぎました。》第13話 彼り人形

私はエステル・ギャブリエラ・ステップニー男爵令嬢。第一王子エルトン・マイルズ・ホースウッド様の現婚約者の座を勝ち取った。

男爵令嬢と言う下位の立場をよく思わない貴族達もいる。正直國王陛下や王妃様にもどうにも疑いの目を向けられている。

「ようやく邪魔なセシリアをエルトン様から遠ざけたのに…のこのこと伯爵家で幸せに暮らしている?てっきり禿げに犯され辛い目に遭っていると思ったのに…報告によると仲睦まじくしているそうじゃない…」

目の前にいる虛な目をした赤の可い顔をしたウォルトは縛られて椅子に座りボウっとしている。

「……奧様と旦那様は仲睦まじく笑い合って幸せそうでした…」

と応え続けるウォルトに私は一度、

ぱんと両手を合わせて催眠狀態を解いた。

ウォルトは次第に焦點を合わせ私を見る。

「おはようウォルト」

「……!?君は…誰!?一ここはどこ?俺…帰らなきゃ…」

「あらあら…仕事をしてもらわなきゃ困るわ?貴方お金がしいからって仕事を探しに王都まで出てきたのでしょう?」

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「そ、そうだけど…」

私は笑い出す。

「完璧だわ!!やはりね!!」

そして彼の前に立ち肩を摑み顔の前でパチンと指を鳴らすと…ガクリと彼は首を垂れた。

『ウォルト…貴方はセシリアの浮気相手です。エルトン王子に依頼されセシリア・ミキャエラ・ファーニヴァル夫人と浮気をしているのです。夫に隠れてしい彼と逢瀬を重ねてし合っています。

目が覚めたらそれは貴方の現実です。いいですね?誰が何を言おうともそうなのです!…はいっ!1・2・3!!」

パァンと手を叩くと再び目覚めたウォルトは

「俺は奧様の人だ…」

と呟くことしかできない。

所変わり、エルトン王子の自室にて同じように椅子に腰掛けさせボウッとしている彼にまた指をパチンとさせ私は催眠狀態を作った。

「エルトン王子…。貴方は私エステルを心より信頼してしております。そして全ての諸悪の源はセシリアにあります。貴方はセシリアのことが大嫌いです。殺したいほど憎いのです。あいつは生きていてはダメなのです」

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と催眠と洗脳を施してゆく。

が私に嫌がらせをしていたというのも全てこの方法で刷り込ませてセシリアとの婚約を破棄させさらに私が妊娠しているとの催眠をかけた。

その通り、私のシナリオは進んでいた。

しかし、私とイチャイチャしようとした時に時折エルトンは爭うように頭を押さえる時があった。

彼といちゃついていても全く私は子供ができないのに苛々した。催眠で全てり好きだと言わせた。

彼の心の奧底にはセシリアがいるのではないのか?

そんなのはかけらだって許すものか!彼は私のものだ!絶対に破滅してもらう!!

王家専屬の醫師にも同じように催眠をかけ子ができたり、流産したとの報告もさせた。

セシリア達が私たちの結婚報告に夜會に來ると言う。憎らしい!ゴロツキ共を雇い落石事故を起こさせたが、セシリアは飄々として王宮まで來た!

禿げた旦那に寄り添いながら笑われてもそれは幸せそうに見え私は憎らしかった。

だからまたもう一度…今度は死罪にしてやろうとエルトンに催眠を施した。

なのに…。セシリアを庇う者はいた。

憎い!!セシリア!!

広間から出てエルトンに支えられながら直ぐにまた新しい催眠を彼にかけた。

「エステルと俺の子を殺したセシリアが憎い!憎くてたまらない!殺してやる!!…エルトン王子…セシリアを殺すのです。殺したくてたまらなくなるのです」

とパチンと指を鳴らすとエルトンはナイフを持ちフードを被りセシリア暗殺に向かったのだった。

しかしどうやら失敗したらしく彼は眠っているそうだ。私は素早く移した。護衛の者の手當てが済み、醫務室に彼と先生が殘ったのを見てる。

「マッケンジー先生…エルトン王子はどうなの?」

先生はボヤッとしながらも

「大丈夫です。エステル様…。どうやら吹き矢で眠らされたようですがには害は無いようです」

「そう…判ったわ…悪いけど外の井戸から新鮮なお水を汲んできなさい」

「はい…エステル様…」

と醫師のマッケンジー先生は出て行った。

するエルトン王子は譫言のように寢言を言い出す。

「うう…俺の事が好きなセシリア…俺もセシリアを……いや…誰だ?エステル?いや…セシリア…」

私は耳を塞ぎたくなる。何故だ。何故貴方の深層にあのが。この世にまだ存在してるからよ。

「今度こそきっと殺してやるわ!セシリア!」

だって彼は私の王子様なんだから!!他のなど必要ない!必ず殺すわ!

私は眠っているエルトンにキスをしてそしてまた彼に強い催眠をかけ始めた。

例え今は私のり人形だとしても必ず心も手にれて見せるわ!本當の心も!!

「國王陛下達も私を疑って辺を探らせているみたいね…」

同じように催眠をかけた親戚達は私の味方だ。王家の兵士達が何やら聞き込みに來たと報告の手紙を読んだのだ。

気に食わないわね。皆私のり人形なんだから!

「國王陛下と王妃様も私とエルトン様のことを応援してもらわないと困るわ…。邪魔する者は皆私の者にすればいいだけなのよ…」

そう…皆を味方に付けて…セシリアを今度こそ死罪にしてやるわ!

この世からセシリアを消すの!

「うふふふ」

と私は靜かに醫務室を出て陛下と王妃様の元へお茶を持ち訪れる。途中護衛の兵士にら止められたがさっと指を翳して催眠狀態にし言うことを聞かせてあっさり通された。

そしてノックをした。

「國王陛下、王妃様!夜會では大変に失禮致しました。エステルでございます」

と言うと従者が中から

々お待ち下さい」

と言って數分待たされた。

何をグズグズと?警戒しているのかしら?でも大丈夫。もう直ぐ貴方方も私の人形となるのだから!

「陛下からお許しが。どうぞおり下さい」

と中から執事らしき聲がした。

扉くらい開けてよね!

と自分で扉を開けて中へると…

上からバサリと網みたいなものが降ってきて更に後ろから黒服の男達に取り押さえられ私は床に顔を押しつけられた!

「ぐ!ぐえっ!」

と潰れたカエルみたいな聲が出た!

そこへ陛下と王妃様が見下ろす。

「すまんな…エステル嬢。先ほど影の者から報告が上がった。醫務室でマッケンジー先生やエルトンに催眠をかけていたそうだな…」

と陛下は冷たい目をして言う。

王妃様も哀れみの目で

「一時は私も騙されていたみたいね。エルトンとの子に浮かれていたわ…。あれも噓なのね?エステルさん。愚かなことを!」

「グゲェ!」

押さえつけられててうまく発生できない私に影の男の1人が近寄り言う。

「催眠が使えるのが自分だけと思わないことだな…。これは自分の思い通りにしていいものでない!怪我をして心を失ったもの、家族を亡くした者などにかけてやるべきものだ…!」

男は私の目の前でパァンと手を叩き、私の意識は緩やかになり、男の聲が脳で響き小玉した。

『さぁ、エステル嬢…君が今まで催眠にかけた者全てを正気に戻すのです…目が覚めたら貴方は全部白狀するのです…3・2・1…」

パァン

と音が響き私は目覚め自分のした事や催眠にかけた者全てのを解いて周り…

再びパァンと音がした時に正気に戻ると鉄格子の中の汚らしいベッドで寢ていた。誰か中に居たようだがもう気配は無い。

「え?」

髭面の牢番の男に話しかけてみると

「おっと危ない!」

と距離を取られた。

「危うく催眠にかかっちまうところだ!お前さん…もう終わりだよ…。ここは塔の牢獄。一生ここで罪を償い生きていくのだ。食事以外誰も來やしないし、催眠にかけられないよう皆近寄らないことにしているのさ」

「な…王子は?私の婚約者のエルトン王子は?」

「まだそんなことを言ってるのかい?夢見るお嬢さん。催眠はとっくに解けたってよ?あんたが催眠にかけた者も全員やっと正気に戻った。

あれから3日経っているぜ。あんたはもう婚約破棄され男爵家とも絶縁されたんだよ」

と男の言葉に真っ暗な世界が見え始めた。

「噓よ?噓よ!!噓よおおおお!!」

と髪を掻きむしり狂ったように暴れ続けたが男は階段下に降りて重厚な扉をバタンと閉め、金切り聲も何もかも消えてしまった。

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