《元豚王子VS悪役令嬢》第25話 手にキスを…

「どうすりゃいいんだろう…。今更決闘はやめてくれとは言えない…、今更いきなり強くなれない!クラウディアは渡したくない!」

それにクラウディアはまた赤くなる。

もうやだ、クラウディア連れて逃げちゃダメかな?可い。二人でどこかの山奧で暮らそうよ!!俺農作業頑張るからぁ!!

「ジークヴァルト様は私がニコラウス王子の元に行くのは嫌ですか?」

「嫌だよ!さっきから言ってる!」

「……………」

「……………」

妙な沈黙の後クラウディアが言った。

「ニコラウス王子は闇の能力使い…。奇跡の力を持つジークヴァルト様の能力は治癒や浄化・魔避け効果の力…正直全く勝てません…」

うぐっ!!そうだよね!!萬策盡きたか?

でもクラウディアを渡したくないいいい!

「…私やはりニコラウス王子の元へ行くしか…」

「嫌だ!クラウディアを失うくらいなら死んだ方がマシだ!…そうだ!神の力を借りてくるか!?頭でも何でも下げてやる!」

「まっ!」

と口を押さえて恥ずかしげに震えたクラウディアは

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「そう言えば神様の髪の…あれはどうしましたの?」

「あれかあ…あれは俺が人形にしてみたよ一応。あれは量産できないし商會に説明するのも面倒だろ?だからとりあえず作って飾っとくかくらいで部屋に置いてある」

神様は崇め祀れとおっしゃられましたのよね?ならばその人形に祈りを捧げて何らかのお力をお借りできないかしら?奇跡の王子なら今までのように何か効果があるかもしれませんわ!」

なるほど…でもなぁ…

「でも…そんな大した効果じゃ無かったらどうする?今までも特に大したものではないしな…」

「貴方の認識がどうであれ、私たちには充分奇跡ですわ!行きましょう!ジークヴァルト様!神人形の所に!」

とそこでどたどた音がして

「どこぉー?ジークヴァルト様あああ!?出ていらっしゃーい!怖くないですわよおおお?」

「クラウディア嬢ー!どこですかー!あの王子にやらしいことをされてませんかー!?」

なっ!あいつら!まだいたのか!しつこい!!

「仕方ありませんわ…外から周って王子の部屋へ行きましょう!王族専用の隠し通路があり王子の部屋にも通じているはずです!」

「そんなのあったのか!?知らないんだけど!?」

「賊に襲撃されたとか萬一の為に必ず王族の部屋には抜け道がございますわ!大抵は暖爐ですわね…そして出口は…外に通じています。この城の庭園のどこかにあるはずですわ!」

そこでドンドンと扉を叩く音がした。まずい!見つかった!?

「いけませんわ!私が食い止めますのでジークヴァルト様は私の髪のをロープにするのでお早くバルコニーから降りてください!」

と彼は髪のをロープにして下へと下ろす。そして余った髪で扉を押さえた。

「こーこーかあああ!!」

ドンドンと家が揺れる。

「お早く!」

「クラウディアは!?」

「貴方が下に降りたら私もすぐ!」

ダメだよそれ捕まるパターンだぜ!

「ダメだ!一緒に行こう!」

と俺はクラウディアを抱えた。

「な…何を!」

「飛び降りるからクラウディアは髪ので衝撃を和らげてくれると助かる!」

「…解りましたわ…」

「じゃあ!行くよ!?」

クラウディアはうなづき俺はバルコニーに足を掛けた。

そして勢いよく飛び降りると同時にクラウディアはドアを押さえていた髪のを切り、すぐ様衝撃に備えてまるで一枚の布のように髪のを平たくばして端を周囲の木々に結ぶ。

一瞬の早業だ。ボスリとクラウディアの髪のらかな匂いとまるで布のようなものに落ちて助かった。

「大丈夫か?」

「はい!」

すると上から二人が覗いた!

「ジークヴァルト様あああ!!」

顔がもう閻魔みたいに怖いヒロインとヤンデレ王子が

「クラウディア嬢!!何故私から逃げるのです?照れているのですね?何といじらしい!待っていてください!すぐに下へ降ります!」

しかし俺は

「おい!決闘は明日だろ!我慢もできないのか!つうか著いてくんな気持ち悪いな!」

と言うとニコラウスは

「ああ…そうであったな…蟲ケラが…。私も一國の王子だ。取りして済まないな。今夜が最後となろうから特別に二人で別れを惜しむがいいさ。明日からは私のものだよ。クラウディア嬢…」

と彼は先程クラウディアが切り落とした髪のを拾っておりそれをベロリと舐めた。

クラウディアはそれを見て髪のをゾワッと逆だてた。

「ジークヴァルト様!!話が!!」

とヒロインは諦めず

「おい!よく見ろ!レーナ嬢!今お前とニコラウス王子は二人きりだろう!?俺たちは退散するから頑張れ!」

と親指を立ててやるとヒロインはハッ!と気付いたのか親指を立て返した!

こいつ単純だわー…。

「行こう!クラウディア!!」

とクラウディアを立たせて一緒に庭を探し回りやっと出口を見つけた。庭園の噴水近くの茂みに隠されていたのだ。

ガサガサと葉を避けクラウディアを中へと通す。

中は石造りの通路で暗い。クラウディアがマッチで火をつけて壁にあった燭臺を一つ手にして火を燈して歩く。

クラウディアは言った。

「ジークヴァルト様…もし…人形に祈っても無駄でしたら…今宵が貴方とお會いするのも最期ですのね…」

「そんな…!まだ判らないだろ?それに…もし俺が負けたら…クラウディアと一緒に逃げてもいい!」

「王子が馬鹿なことを…この國をかにするのでしょう?ならば私のことなど忘れて他の方を王妃に…」

「ダメだそれは…」

と俺はクラウディアの空いた手を取り初めての手にキスをした!

こんなキザったらしいことは前世でもイケメンしか許されないぞ!?いや今イケメンだからいいけど!

なんか本に書いてあったがの手にキスするのは々意味があるらしい。

一つは尊敬や敬

一つは信頼と安心。

もう一つは…特別な表現だ。

もちろん特別な方だけど解ってくれたか判らない…。

チラリとクラウディアを見ると顔まで赤くなっている。顔も髪も瞳も真っ赤!

「あの…俺はクラウディアが好きだよ…もちろん政略結婚とかじゃなくて…い…異として…」

と照れながら言うとクラウディアが

「ひっ!!」

と固まった!

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