《婚約破棄予定と言われたので明になって見たら婚約者の本を知り悩んでいます》泣いている婚約者

それから…ニルス様は私と學園ですれ違うこともなくなったし、靴箱で待っていることもしなくなったようだ。

元々學年が一つ違うから會うことも早々ないのだ。休み時間や放課後の移時間でも會うことはなく私は明薬を使わずに真っ直ぐに家に帰れた。

その代わりニルス様の祖父のアルトゥール様から手紙が屆くようになった。

容はやはりお茶會のいだったがニルス様が喧嘩をしたと説明して會いに來れないと告げたらしい。

それからアルトゥール様は寂しくてニルスはどうでも良いからわしと話をしようと書いてくるけど申し訳ありませんと謝罪の言葉を書き斷り続けた。

その間私は明薬の研究を進めることができた。

私さえこの世から消えて無くなれば他の人に迷をかけることもない。

アンナ先輩を不快にさせることだってなくなるんだ。

ニルス様は私がいなくなったらきっと他の人を見つけて公爵家を継ぐだろうし、カミラ姉様が結婚したらこのキルシュ侯爵家もやってけるだろう。サラは心配するだろうな。マリーも…。

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本當にそうなのかな?

次の日の晝休みに私はそっと階段を上がり2學年の教室を除く。そう言えば婚約者なのにクラスを聞いてなかった。

階段の柱の影からそうっと覗いていると後ろからぼんと手を置かれ飛び上がる。

「きゃあ!!」

「おっと!」

と言う人は金髪碧眼のニルス様にし似たような青年であり生徒會長でこの國の王子ヘルベルト・ヨーゼフ・ワイスその人であった。

私は畏まり禮をする。

「どうかしたのかな?もしや…ニルスかい?」

と見かされあわあわとする。どう答えたらいいのだろう?

「あっ…あの…私…失禮なことを言ってしまってニルス様の機嫌を損ねたので…謝罪をと…」

私何言ってるんだろう?悪いのは私の時間を拘束するニルス様だと言うのに。いつも謝ってしまう。

「ん?あいつ?だいたいいつも機嫌悪いから気にしなくてもいいのだよ!!?癖みたいなもんだよ!!…そういや今日は休んでるようだ!ああ、昨日からか?いや、その前からだったかな!?とにかくしばらく見ていないな!!」

すると後ろから従者らしき人が耳打ちする。

「ヘルベルト様…ニルス様は1週間前から休んでおります」

と言う。えっ?そんなに?

「ご病気なのですか?」

と言うと

「仮病だろう!!」

と言い切った!!

「なのであいつを引っ張って來てくれないか?今頃君に嫌われたとわんわん泣いていると思う」

「ええ!?」

と困していると今度はアンナ先輩が前から現れる!!

「貴方…何してるの?こんなとこで?ここは2學年の教室があるのよ?1學年は下でしょ?それに私のヘルベルト様と親しげにしてどういうつもり?ニルス様に捨てられたからってヘルベルト様に乗り換えるなんて飛んだ悪だわー!」

と大聲で言うから人がなんだとザワザワしてまずいと思った!

このままじゃまた吐いてしまう!

「おお!我がしのアンナ!やきもちかい?仕方のない子だ!」

「ヘルベルト様!アンナはヘルベルト無しじゃ生きられなぁい!」

と二人は目の前で熱い視線をわし合っていたので私はささっと禮をしてから階段を駆け下り子トイレにり落ち著く。

「危なかった」

人が集まる前に退散できて良かった。

でも1週間も休んでるなんて。道理で接が無いはずだ。

「………」

私は覚悟を決め、ニルス様の所に行ってみようと思った。……でも正面から會いにくいしどうしようかな。

あ!そうだ。明薬があるじゃない!

私はここ最近の研究の果で明薬の効果を3時間程引き延ばせられるようにはなっていた!

とりあえず放課後者に公爵家に連れて行ってもらった。

中へ通してもらい案の人に

「ここでお待ちください!ニルス様や大旦那様に報告をして參ります!」

と言われて応接間に通され私は薬を取り出して飲んだ。は5分で消え始める。

そして暫くしたら大旦那様…アルトゥール様が従者とやってきたけど私がいないので

「おや?おらんではないか?」

とキョロキョロとしている。

「あれ?お手洗いでしょうか?」

と使用人も戸っている隙に扉からススッとしゃがんで這い出て私はニルス様のお部屋はどこかと彷徨う。するとお茶菓子を持ったメイドがいたので著いていくことにした。

は予想通り豪華な部屋の前に來るとノックした。

「ニルス様…お茶菓子をお持ちしました」

と言い中から

「そこへ置いておけ…」

と聲がした。

「しかし、この前も一口も食べられていませんでした。夕飯もお殘しになるしお醫者様を呼んだ方が?」

とメイドは焦るが

「うるさいな!!食べればいいんだろ!」

ガチャっと扉が開いて不機嫌全開のニルス様がメイドを睨んでいる隙に私はまたしゃがんでお部屋にり込んだ。

「とっとと行け!!」

「は、はい!申し訳ございません!!」

とメイドは足早に去る。

バタンと扉を閉め鍵を掛けるニルス様。しまった、どうやって出よう?

ニルス様は怖い顔からすんと普通の表になりどんどん眉が下がりとぼとぼと大きなベッドに座る。

「はぁーーーーーーーー………」

と長いため息。

暫くの沈黙の後、つっと涙が出て私は驚いた!!ええ!?なっ!泣いてる!!

「もうだめだ…死にたい。俺は最低だ。イサベルに合わせる顔がない!どうしたらいいかわからない!……マリアに相談に行ったらいないようだ。仏でもしたのか?もうだめだ。ヘルベルトの馬鹿には絶対に相談したくないし…。

あいつは俺が休んで生徒會の仕事が溜まって困るから學園に來させようとしている…。アンナもしつこいし…なんなんだ。

…イサベルにもきっと嫌われた。俺は彼が人混みが嫌いだとすら知らなかった!!學式に遅刻したのも吐いたのもきっとそうだ」

いや學式はアンナ先輩のせいで遅れた。

「お祖父様はイサベルを茶會に呼べとうるさいし…シシリーは未だに俺を噛むし」

まだ懐かれてないのか。

「……會えばまた俺はイサベルに酷いことを言ってしまう。もうだめだ。終わりだ!」

と弱々しく涙を流している。

これがニルス様だとは誰も思わないだろう!

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