《天使と悪魔と死神と。》

「ちょっと靜かにして。」

 おそらくアペルは杏樹より年上だ。年上の異とこんなに近づいたことの無い杏樹は顔を真っ赤にして、アペルが離れるのを待った。しばらくしてそんな杏樹のことなど知らずにアペルはゆっくり離れた。

「――よし、もう大丈夫かなってあれ?どうしたの?顔赤いよ?」

「あ、あなたが急に近づくからじゃないですか……。」

 杏樹は俯く。…顔はまだ赤いままだ。暫しの沈黙が流れる。今度はアペルから話し出した。

「え、えーっと……な、なんかごめん……。……そうだ、質問は?もう質問ない?」

「うぅ……、えっとまず、なぜ私をさらったんですか?」

 かに1番気になっていた事だ。ついて行ったのは自分からだが、理由もなしに連れ去られても困る。

「あ〜……ちょっと長くなるし、信じてもらえるかわかんないけど……まぁとりあえず、ここから降りよ!」

 アペルに手を貸されて、そこから降りると民家の屋の上ということがわかった。だが、見慣れない形の家だ。やはり場所は分からない。

「君を連れ出したのは僕のしたいことを手伝ってしくてさ。」

 まだ降りている杏樹に手を貸しながらそう話を切り出した。

「手伝う……って何をですか?」

「1人でやるのは大変だからパートナーっていうのかな?手伝って貰えそうな人を探してたんだよ。それでピッタリだったのが君――杏樹ちゃんだったわけ。」

「でも一何を手伝えば……。それになぜ私の名前を?」

 一番驚いたのはそこだった。

 さっき自己紹介をしようとして止められたので、まだ言っていない。さっきのことを思い出し、また顔が赤くなりそうだった杏樹は軽く首を振った。

「君の名前は調べたから知ってる。手伝ってしいことは……え〜なんて言えばいいかなぁ〜……?」

 杏樹はますますわからなくなる。

 そんなに難しいことをしなければいけないのか?できれば孤児院に戻りたい。が、著いて行ったのは杏樹だ。それに孤児院に戻ったところでまたつまらない日々が始まってしまう。やはり孤児院には戻りたくないと思う杏樹だった。

「まぁ、簡単に言うと、」

 そんな風に考えていると、アペルが話を切り出す。アペルの方は考えがまとまったようだった。

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