《ひざまずけ、禮》序章2話 彼と彼(2)

佐和「全くあいつらは・・・懲りないんだからもう!お父さんに言ってとっちめてもらおうかしら。」

比影「そ、それはちょっと・・・やりすぎじゃないかな。」

佐和「あなたもあなたよ!ああいう奴らはもっとガツンと言ってやらないと!」

比影「僕はそういうの苦手だから・・・」

佐和さんは腕を組みながら怒っていた。さすがクラス1の切れ者である。

ここまで彼が正義溢れているのは、両親が警察なのが関係しているのだろう。・・・なんで知ってるのかって?だってこの人、最初の挨拶で堂々と「うちの両親は警察だから!悪いやつはとっ捕まえるわよ!」と言ってたからね。

佐和「うーん・・・どうすれば皆仲良くなれるのかしら。どれだけ正しても、正しきれないわね・・・。」

比影「佐和さん、佐和さん」

佐和「いっそのこと、1回真面目に捕まえようかしら。警察署に行けば、ある程度大人しくなるでしょ。」

比影「佐和さんってば!」

佐和「そうよ!やっぱりそうすべきよ!バカは死ななきゃ治らないって言うし!そうと決まれば!」

比影「佐和さんっ!!」

佐和「もう何よ?さっきからうるさいわね。」

比影「・・・うしろ」

佐和「うしろぉ?」クルッ

教頭「・・・楽しそうね、佐和さん?」

教頭先生、現る。うちの教頭は結構な人で、怖いと有名だ。で、ここにいる佐和さんは、目をつけられているのだ。まぁ、結構喋りがうるさいからね、仕方ないね。

佐和「あ・・・あはは・・・これはこれは教頭先生。今日はお日柄もよく・・・」

教頭「そう?雨降ってるけど。」

佐和「・・・えっと」

教頭「あんまり大聲出さないでねっていうのは、これで何回目かしらね・・・擔任にはきつく言っとくわ。」

佐和「こ、今回は私のせいじゃないんですよ!いや、今までも私のせいじゃないです!私はただ、生徒を正すために・・・!」

教頭「正す側が真っ先に校則破ってどうするのよ。」

佐和「ぐぅ正論。」

教頭「・・・あとで教頭室、いいわね?」

佐和「はい・・・」

教頭先生はどこかへ行った。佐和さんはその場で項垂れる。

佐和「これでもう何回目だろう・・・。比影君、どうしてもっと早く教えてくれなかったのよ・・・」

佐和「いや、教えてたからね?ずっと呼んでたのに、全部聞いてなかったんだね。」

佐和「うっそほんとに?ごめんごめん。ひとつの事に集中するとさ、どうしても他のことが頭から抜けるんだよね~・・・」

それはわからんでも無い。僕もさっきみたいに、本に集中してると周りが見えなくなるからなぁ。

佐和「やば、そろそろ擔任が來る時間だ!面倒事を増やさないように、今のうち準備しとかなきゃ!それじゃね!」

佐和さんはパタパタと自分の席に向かった。

優しい人だよなぁと、つくづく思う。んな人に気を使って、みんなに笑顔で・・・こんなキャにも嫌な顔ひとつせず、話をしてくれるからなぁ。

並大抵の人は好きになるだろうね。実際、何回か告白されたって本人が話してるの聞いたことあるし。すごい人だよ、ほんと。

そんなことを思いながら、自分の用意をするのだった。

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