《ひざまずけ、禮》序章3話 彼と彼(3)
放課後、図書館で本を読んでいると、あっという間に閉館の時間になってしまった。ほんと、ハマると時間を忘れるよね。
気になる本を1冊借り、図書館を出る。貸出付の人の笑顔が眩しい。
で、いつも通り1人で帰ろうとした、その時。下駄箱へ行くと、聞き覚えのある聲が。
佐和「ちぇ、もう暗くなってきてるよ・・・ばぁちゃんめ、何もこんな時間まで拘束しなくてもいいよなぁ・・・。」
佐和さんである。どこか別のところに行ってから戻ってこようかとも思ったが、鍵の音を持った人が歩いてきたため、そのまま僕も下駄箱へ。
佐和「ん、あぁ比影君じゃないですか。なに、比影君も居殘り?」
比影「いや、図書館に居たらいつの間にかこんな時間になっちゃって・・・」
佐和「ふぅん、図書館かぁ。私もたまに行くけど、居心地いいよね。」
比影「本當にね。だからこそ熱中しちゃってさ。佐和さんは・・・今朝の?」
佐和「そ、ばぁちゃ・・・教頭先生のとこ。ちょっと口頭注意されるくらいかと思ったら、こんな時間まで居殘りさせられて、罰で掃除までやらされてさぁ。たまったもんじゃないよ。」
比影「そりゃ大変だったね。お疲れ様。」
佐和「ほんと疲れたよ。」
そんな話をしながら、校舎を出る。あんまり長話もと思ったため、その場から離れようとして・・・
比影「じゃあ、僕こっちだから。」
佐和「ん?私もそっちだよ?途中まで一緒に帰ろうよ。・・・そ・れ・に!こんな時間に、の子を1人にするつもり?」
比影「いやその・・・わかったよ。」
失敗しました。こういうのを何も意識せず、純粋に言ってくるから勘違いさせるんだろうなぁ、この人。
まぁ、そんなわけで一緒に帰ることになった訳ですけども。
僕はあくまで友達と思ってるからアレだけど、佐和さんだってれっきとしたなわけで。と一緒に帰るという、オタクの妄想の中でしか無かったイベントが、今現実で起こってるわけですよ。
そりゃあ、張しない訳がないですよね。僕の口數は徐々に減りました。
で、自然と2人とも話さなくなる時間ができるわけですが・・・その瞬間だった。
1歩踏み出した瞬間、目の前の景がガラッと変わった。さっきまで、夕日に照らされていた街並みは、朱へと変わった。
雰囲気とかそんなじじゃなくて、例えるとフィルターがかかったかのように、全的に赤黒い世界になった。
佐和「なに・・・これ!?なんなのよこれ!?」
どうやら佐和さんも、僕と同じように景が変わったようで、困していた。
佐和「比影くん!?これ見えてる!?」
比影「見えてる!なにこの赤黒い景!?」
佐和「なんなの!?なんなのよこれ!?」
2人して慌てふためいていると・・・聲が聞こえてきた。おおよそ、人の聲とは思えない聲。ゲームの中では、聞きなれた聲。
・・・1人のゾンビが、そこに居た。
佐和「ひ・・・ひぁぁぁ・・・!?」ズルッ
佐和さんは腰が抜けてしまったのか、もちをついた。その瞬間、ゾンビがこちらに気づき、走ってくる。
比影「いや歩けよ!ゾンビが全力ダッシュしてんじゃねぇ!」
佐和「つっこんでる場合じゃないでしょ!?逃げないと・・・逃げ・・・。あ、足がかないよ・・・」
僕に佐和さんを抱えて逃げられるほど、力はない。かといって、佐和さんを置いて逃げられるほど、僕は臆病者じゃない。
無理とわかっていながら、僕は佐和さんの腕を摑む。そのまま、佐和さんに肩を貸して走る。だけど、やはり簡単に追いつかれた。
僕と佐和さんは、抵抗虛しく─
そこで、気を失った。
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