《ひざまずけ、禮》序章6話 彼と彼(6)
がを包み込んだかと思うと、一瞬にして景が変わり、赤黒い世界が目の前に広がった。
戻ってきたのだ、この世に。いや、ここはこの世と言っていいのか分からないけど・・・まぁ、1度きりのチャンスだということは変わらないだろう。
佐和「・・・ふぅ、やるしかないのよね。」
比影「そう、だね。まだ実は湧いてないけど・・・僕らがやらなくちゃ、ここがなくなっちゃうんだし。」
佐和「そうね・・・」
佐和さんと僕は、ため息をつく。だが、この世界はそんな暇もを許してくれないようだ。
すぐに、やつの聲が聞こえた。耳にはりつくような、トラウマになりそうな聲。僕達はすぐに行に出た。
ゾンビに気づかれぬよう、音を立てずに近づく。
こいつがホラゲーや映畫のスペックであるなら、あまり目は良くないはず。その代わりに聴覚が発達しているような描寫もあるから、そこに気をつける。それが、僕と佐和さんが見出した策のひとつだった。
まぁ、最初に襲ってきた時點で普通のゾンビじゃなかったから、ホラゲー等のスペックじゃないだろうけど・・・。いや、今は考えるのはよそう。
策が功を奏したのか、何とか気付かれずに近づくことが出來た。ここまでくれば、あとは・・・。
僕は持っていたカバンから、おもむろにあるものを取り出す。それは、學校に出る前に借りた一冊の本だった。付擔當の人ごめん、ちょっとだけ無禮を許して!
僕はその本を手に、ゾンビの死角から近づく。そして・・・一瞬だけ、足に力をれて近づき、振り向かれる前に・・・本の角を脳天直撃させた。
ゴッという鈍い音と共に、ゾンビはしたじろいだ。そこで僕は膝を突き出した。そう、伝家の寶刀「膝カックン」である。・・・至って真面目ですよ?
比影「佐和さんっ!今だっ!」
佐和「オッケー、こっちも準備萬端!」ダッ
に隠れていた佐和さんが飛び出す。僕は逆にその場から離れた。あとは、佐和さんが、レア様から習った除去方法を行うのみ!
ゾンビが膝をつく頃には、佐和さんは既にゾンビの目の前へ。間に合え・・・!
佐和「さぁ、いっちょやってやりますぜ!って手ぇばしてくんじゃねぇ変態め!」ゴッ
ゾンビが佐和さんに手をばしたようだが、思い切り手にかかと落としを食らわせたようだ。容赦ないし、なんかキャラ変わってませんか?
佐和「よし、食らえや!」
佐和さんは、黃いラインがった手袋をつけた手をパン!と鳴らし、ゾンビを指さす。そして・・・言い放つ。
佐和「ひざまずけ・・・禮っ!!」
その瞬間、ゾンビがの胞子に包まれる。赤黒い世界に、そのが広がった。暖かく、優しい。
ゾンビ「あぁ・・・ぁ・・・」
ゾンビは力なくそう言い、全てがに包まれた瞬間、ポンと消えた。
僕らの、勝利である。
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