《ひざまずけ、禮》第1章8話 ご利用は古典的に

が遮られ、周りの景全てが赤黒い世界、紅き街。

迷い込んだものを死へとい、一生満たされることの無い孤獨に苛さいなまれながら、彷徨い続ける。そんな化けが蔓延る世界。

その世界において、異質と言うべきか、影に飲まれようとするものが、そこにいた。

それの周りには、それがそこに存在するのかも定かでないほどに、モヤのようなものがかかっていた。

き回ることも、き聲をあげることもなく、ただただそこに居る。そんなやつだった。

そして、次の瞬間。近くで音がし、そいつはバッとその方向を見た。しばらくするとその方向から、人型の何かがそいつに向かっていていた。

すぐさま立ち上がり、逃げ出す。襲ったりしないところを見るに、本當に異質の存在なのであろう。

逃げて、逃げて、そしてそれは・・・

盛大にコケた。

比影「よしっ!作戦功!」

佐和「了解っ!」

??「ヴォォ・・・」

近くに待機していた僕は、佐和さんに報告した。そう、これは僕たちが立てた作戦なのだ。極めて古典的で、なおかつ果が見込めるもの。

言ってしまえば、道路に赤黒く塗裝した縄を張ったんですよ。電柱に括りつけてね。

立ち上がろうとするそれに対して、同じくショッピングモールで購した巨大ハリセンで引っぱたく佐和さん。それはまた地面に突っ伏した。影みたいになってるとはいえ、理攻撃は効くようだ。

佐和さんは手袋を裝著し、それに指を指す。そして、あの言葉を唱えた。

佐和「消えろ!ひざまずけ・・・禮っ!!」

その瞬間、それはに包まれる。き聲・・・というよりは、び聲のようなものがあたりに響き渡る。斷末魔と言い換えても良いだろう。

心なしか、その斷末魔が「助けて」やら「消えたくない」やら、そんな風に聞こえてならない。僕は耳を塞いだ。

助けてあげられなくて、ごめんなさい。恨むなら、僕を恨んでください。どうか・・・次は幸せな道が歩めることを、願っています。

の胞子となり消滅するそれに比例し、徐々に小さくなっていく斷末魔。聞こえなくなる頃には、既に紅き街は消滅していた。

比影「・・・」

佐和「・・・比影くん、帰ろ。」

比影「・・・うん。」

僕は、佐和さんとともに帰路へと著いた。途中、雰囲気を察してかほとんど話さなかったが、佐和さんは優しく手を握ってくれた。それが何より、嬉しかった。

今自分がしていることが、本當に正義なのだろうか。やはり、犠牲の上にしか、平和はり立たないのだろうか。

僕は々と悩みながら、布団に潛り込むのだった。

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