紅き街に、重苦しい空気が漂う。たった1歩進むだけで、全然変わる。

今回も先程同様、すぐ近くから気配をじた。

比影「･･･さっそくか。好都合だね。」

佐和「比影くん、気をつけてね。何があるか分からないから･･･。」

比影「分かってるさ。佐和さんはし離れてて。･･･下手するとケガしかねないから。」

佐和「･･･うん。」

佐和さんが離れたところで、化けの足音がドンドンとちかづいてきた。僕は佐和さんから預かった赤いハンカチを広げる。

僕がやつを認識した時、奴も僕に気づいたようだ。･･･いや、正しくは僕が持っていた赤いハンカチを認識した、と言うべきか。

先程までもなかなかの気迫だったが、一瞬で全てが変わった。目のも変わり、パッと見で兇暴化したというのがわかった。

僕に対して、化けが突撃してくる。にしても、紅き街で既に景が赤いのに、赤いハンカチで兇暴化したもんなのね。

･･･いや、景が赤いから、最初から結構兇暴なんだろうけどね。

んでもって、普通闘牛士ってギリギリまで引き寄せて、サッと避けるわけだけど･･･僕がすべきなのは避けることじゃなくて、やつをけなくすること。

タイミングが遅くても早くても、これは上手く行かない。･･･というより、タイミングを間違えれば、命はない。

怖いけど、逃げ出したいけど･･･その気持ちを抑え、じっと待つ。その化けは、大きな雄びを上げ、角を突き立て･･･

比影「･･･ここっ！」ﾊﾞｯ

僕はハンカチから手を離し、隠し持っていた縄を化けの前足に引っ掛ける。それだけでなく、建の影から別の縄が飛び出し、化けの後ろ足を捕らえた。今のところ、佐和さんと立てた作戦は順調だ。

あとはし橫にずれて、佐和さんと別方向からヤツの足を引っ張る･･･のだが。

ヤツはそこで、僕が退ける方向にきを変えたのだ。なんとかに突き刺さるようなことは避けられたのだが･･･

比影「がっ･･･！」

肩に角がかすり、が僕の脇腹に激突した。僕のに鈍痛が襲う。･･･けど、このチャンスは無駄にできない。佐和さんのためにも･･･僕自のためにも･･･！

比影「ぃ、っどあぁぁぁぁぁぁっ！！」

縄を力強くひっぱる。佐和さんも引っ張るのが見えた。ヤツはそれぞれ逆の方向に引っ張られたことにより、制を崩して、地面に倒れた。

比影「っ、佐和さん！」

佐和「任せてっ！」ﾊﾞｯ

佐和さんは素早くからでてきて、地面でもがくそいつに向けて指さし･･･

佐和「ひざまずけ･･･禮っ！！」

そう、唱えた。ヤツはに包まれ、雄びを上げて消えた。紅き街も、霧のようになって消え去った。

佐和「やったやった、上手くいった！比影くんやった･･･ね･･･」

比影「･･･ぅぐ･･･」

佐和「比影くん！？大丈夫！？しっかりして！！」

僕はしばらくくことが出來なかった。